つい先日、職場におけるAIエージェントの登場について書いたら、早速そのとおりの記事が現れた。
生命保険会社の明治安田が、社員にAIエージェントを使えるようにするという新聞記事。見出しは、「明治安田「AI秘書」5万人」「指示待たず営業提案や助言」とある。
営業職の社員が持って帰ってきた客の面談データを元に、「AI秘書」が客の好みに合わせたイベントの案内文を作成したり、保険の提案書をまとめてくれるのだ。
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日経 2025.9.5 |
便利この上ない。だが、ちょっと待てよ。
今後その会社では、営業マンがお客さん個人についてのデータ、例えば趣味や健康状態などをAIに伝えると、AIエージェントが自律的に効果的な営業アプローチを考え、同時に適切な保険の提案書を作成して持たせてくれるというのは、何か変じゃないか。
それだけ聞いて感じるのは、仕事を実際に仕切っているのはAIエージェントであって営業職の社員じゃないってこと。営業マンたちがやるのは、ただの御用聞きの仕事だ。
つまり「AI秘書」は、実際は「AI課長」「AI部長」で、人はその小間使いをやることになる。
明治安田生命の経営者はそれを分かっていながらも正直にそうとは言えないから「AI秘書」と呼んでいるのである。
その先に何があるかというと、提案書をAIが作成していることくらい客にもすぐ分かるので、やがての「人抜き」がされるようになる。
つまり、顧客が保険会社のAIエージェントと直接やり取りして、最も気に入る生命保険の提案を受けるのが一般的になるはずだ。
結果、明治安田生命の場合では現在3万7千人いる営業職の多くは不要となる。
これが経営者の狙いだろう。なんせ圧倒的な費用削減が実現できるのだから。
社員は自分にも秘書が付いた、などと喜んでいる場合ではないのである。