2025-08-19

報道がつくる外国人忌避のバイアス

元法政大学総長の田中優子さんが、こんなことを書いていた。

7月28日、29日の複数の新聞で、佐賀県の殺人事件を報道する際の見出しに、容疑者の外国籍が記載されていた。容疑者を報道する時になぜ国籍を見出しにつけるのか? 参院選後とりわけ気になった。国籍を見出しにつけるルールがあるなら、日本人も書くべきではないだろうか。

確かにその通り。

まだ犯人と確定しているわけでもないのに、容疑者が外国籍の場合だけ、その国籍を見出しにするのはどうなんだろう。これは、いわゆるアンコンシャス・バイアスの典型である。

以下は、田中さんが「複数の新聞」と書いてあった7月28日掲載の見出しである。

朝日
「佐賀の強盗殺人 容疑者逮捕、否認 技能実習で寮生活 ベトナム国籍」

 毎日
「強盗殺人:外国籍の20代逮捕へ 佐賀・2人殺傷 娘に複数の傷 」 

読売
「伊万里強殺 容疑で逮捕 佐賀県警 ベトナム国籍の24歳男」

産経
「佐賀の母娘死傷 強殺疑い ベトナム人逮捕 技能実習生 寮のナイフに血痕」

日経
「佐賀の母娘死傷、ベトナム人実習生逮捕 強盗殺人疑い」 

気をつけないと、こうした報道記事を目にするなかでわれわれの心にも「また外国人が」とか「外国人だから」といった謂われない偏見が生まれてくる。