2025-03-13

石川さん、亡くなる

「浜松 袴田巌さんを救う市民の会」から会報No.43が届く。おそらく、これが実質的な最後の会報になるのだろう。

袴田さんの逮捕から58年を経て、昨年9月、静岡地裁において無罪判決が出て、10月にそれが確定した。人生の大半を死刑囚として監獄で過ごした彼の残りの人生が、穏やかで悦びに満ちたものになることを祈るばかりだ。 

その袴田さんと並んで冤罪を訴え続けていた石川一雄さんが、3月11日に亡くなった。86歳。

1963年、62年前だから彼が24歳の時、「狭山事件」と呼ばれる殺人事件の犯人だとして無期懲役の判決を受けた。石川さんが被差別部落出身者だったことからの、差別にもとづく冤罪事件との味方が当時から強い。その後、仮出所したあと、無実を訴え続けていた。

弁護団によると、逮捕時の証拠捏造の可能性などが指摘されていて、再審に向けて今も審理が続いていた。

僕が初めて「狭山事件」とその犯人として逮捕された石川さんのことを知ったのは、大学1年の時にキャンパス内で見たビラだった。

その後、半世紀近い時間が流れ、石川さんのことはすっかり忘れていたのだが、今回、彼が亡くなったことを知り、あの冤罪事件がまだ続いていたことを知らされた。

24歳で逮捕され判決を受け、再審を求めて62年間である。裁判所は、なぜこんなに時間をかけるのか。なぜこれほど人の人生をかえりみないまま放置するのか。

石川さんが亡くなり、当時の警察と検察関係者らは胸をなで下ろしているのだろうな。いやな気分だ。