2024年5月21日

非実力派宣言

俵万智『サラダ記念日』を読み直した。1987年の初版本である。みずみずしさに心が浮き立つよう。80年代の青春である。

ついでに近くにあった筒井康隆『薬菜飯店』(新潮文庫)のなかに収められた「カラダ記念日」も併せて再読。こちらもケッサクである。

そうやって、短歌っていいなあ〜、おもしろいなあ〜(筒井のパロディが短歌かどうかは別として)、としみじみ思っていた矢先だったので、ふとテレビで「NHK短歌」にチャンネルを合わせたところ・・・。

番組の司会は尾崎世界観とかいう若いミュージシャンで、ゲストが中村壱太郎という歌舞伎役者(わたしはどちらもよく知らない)。その番組の冒頭、尾崎が中村を「ゲストの中村壱太郎さんは、上方歌舞伎を継承する実力派女形として活躍されています」と紹介。

言葉尻を取るつもりはないが、わざわざ「実力派〇〇」と紹介する理由はなんだろう。実力派という「派」があるのかね。実力派があれば、非実力派ってのもあるのか。つまり、中村某を実力派女形と言うなら非実力派女形の役者もいるってことになるけど、それは誰なの?

1989年の森高千里のアルバム「非実力派宣言」を思い出した。森高のラディカルさと気持ちよさにこのミュージシャンは果たして対抗できるかナ。