ニューヨーク・タイムズが、自社の記事を勝手にAIの学習に利用することで著作権を侵害されたとして、オープンAIとマイクロソフトを相手に米連邦地裁へ提訴した。
具体的な損害賠償金額は訴状では特定していないが、ニューヨーク・タイムズ社は「数十億ドルにのぼる」と主張している。これは日本円に直すと数千億円だ。と同時に、ニューヨーク・タイムズの著作物を利用した学習データを破棄することも求めた。
著作権で思い出したが、先日、日経BPから1冊の本が届いた。『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』という本の中国語版である。その著者献本らしい。
日本語の書籍の内容は、2011年の東日本大震災で被災した人たちを支援するため、当時の学生たちが企画した有料セミナーの講演内容をもとにしている。ぼくたち教員の何人かが講演した。
その後、その書籍化の話が出版社から出たとき、ぼくは米国に長期滞在している最中だったが、印税はぼくたちが所属している箇所に入れるという話を聞いてすぐに反対した。
分け前を寄こせというのではない。もとは被災者への支援のために行ったセミナー・イベントだ。それを文字起こしして本にするなら、その印税もイベントと同様に震災の被災者支援に向けるべきではないかと当時の研究科長に主張したのだがスルーされた。
その後は何も連絡がないまま、本は翌年に出版された。ぼくは著作権を誰かに譲った覚えはないにもかかわらず。今度は勝手に中国語版の出版だとか。
なぜそこまで著作権意識が希薄なのか。