先日、学生たちとの呑み会が高田馬場であった。秋に担当した授業の打ち上げで、受講した学生とゲストで来てもらった学外の人たちも一緒に集まった。
ビールやワインのグラスなどを手に話題はあちこちへ飛ぶ。そんななか、ある学生が、私にむかって純粋の日本人に見えないがどこか他の国の血が入っているのですかと。
それに他の学生らも反応し、彼らもそう思っていたと首を縦にふる。まいったなー、と思いながら、どんな血が入ってると思うかと問うてみると、その学生、しばらく考えて「北アフリカの、アルジェリア辺り出身のフランス人」という。
これまでも中東のどこか、とか中南米のどこか、と言われたことは多いのだが、ここまで具体的に表現されたのは初めてだ。頭の中に、カミュの名前が浮かぶ。
アルベール・カミュ |
企業に勤めていたときのことだからずいぶん昔のことになるが、一緒に出張で大阪に来ていた仕事仲間と、その日の段取りを打ち合わせておこうと宿泊先のヒルトンホテルで朝食の席についたときのこと。
テーブルにやって来たウエイターが、まず向かいに座っていた彼女にコーヒーにするか紅茶にするか訊ねた。そのあと、彼はぼくにむかい、Coffee or tea, sir? と英語で聞いてきた。
彼女は大笑いし、その日1日機嫌が良かったように思う。外国人に間違えられたのは嬉しいことではなかったけど、何か少しだけ人の役に立ったような気がした。