内閣府が2022年度の日本の一人当たりGDPを発表した。それによると、日本は先進7ヵ国のなかでとうとう最低になったらしい。数年後、G7のメンバーから日本は外れ、韓国と入れ替わるかもしれない。
OECD加盟国(38ヵ国)のなかでは順位が21位まで下がった。データを遡ることができる1980年以降で初めてだ。韓国は現在22位である。
ドル建ての名目GDPを2005年のものと比較すると、日本は12%のマイナス。一方、米国は2倍になり、ドイツも1.4倍に増加している。
円安の影響が大きいといわれているが、そこに原因を持って行って安心すべきではない。今のように円が弱い状態が常態化すれば、もう原因が円安とか言ってはいられなくなる。
人口減少が続く中で一人当たりのGDPの値が下がっているということは、国の名目GDPが減少し続けているということを示している。
一人当たりGDPとは別に、労働生産性に目を向けると別の状況が見えてくる。日本は2022年、OECD加盟国のなかで過去最低の30位。ポーランドやポルトガルにも超されている。労働生産性が低いから、一人当たりのGDPが低いのも当然。ただ労働生産性が世界30位で、一人当たりの名目GDPが世界21位なのをどう解釈するか。
そこには、低い労働生産性を長時間労働でいくらか補っている、という現状が浮かんでくる。悲惨な今の日本の姿である。
生産性を上げるためには、効果的に働くこと、効率的に働くこと、たくさん働くことが考えられる。たくさん(長く)働くことを避けたいと考えるなら、前の2つしかない。実態はどうだろうか。本来はやらなくてもいいこと、あるいはやるべきではないことに対して時間や労力を注ぎ過ぎてはいないか。これまでやってきていることややり方で、既に実際上は通用しなくなっている点はないか考えてみる必要がある。
ビジネスの面で言えば、日本企業の最大の弱点は慣性に乗ったら乗りっぱなしで、別の思考をしなくなること。特に経営者が。そして一旦できた流れをとめるのが、日本の組織ではとても困難で時間がかかる。
ビジネスだけではない、政治も同じ。個々の日本人が持つ能力の問題とは別だ。