9月1日、当事者らが予定していたとおり、そごう・西武百貨店がセブン&アイ・ホールディングスによって米国の投資ファンドに売却された。
それに先だって、8月31日に西武百貨店の池袋本店で労働組合による終日のストライキが行われた。様子はメディアで幅広く報道されていたが、その理由はそうしたストがいまどき珍しいからということらしい。
昨日、たまたまは出先で夜10時からのテレ朝のニュースを見てたのだが、以前NHKで夜9時のニュース番組のキャスターをやっていた大越健介という男性が、「なぜ、こうした異常な事態に陥ってしまったのでしょうか」と賢しらなコメントを述べていた。
最初、異常な事態なんて言うから、組合の猛者が社長を拘束して会議室に軟禁でもしたのかと思ったけど、何のことはない。ただ予定されていたストライキが予定通り行われただけの話だった。
組合がスト(ストライキ行使)を行うのは、憲法で保証された権利の一つ。それを<異常な事態>だと発言する体制派べったりの小利口人物がニュース番組のキャスターをやっているのが、この国のメディアの現状。
こうした異常でないものを異常だと報道する一方で、株式会社ジャニーズ事務所で続いていた性被害問題については何十年間もその異常さを報道しようとしなかった。メディアの人たちはトンチンカンで、やっていることが悪弊としか言いようがない。
そういえば、同キャスターがその前日の放送で沢木耕太郎にインタビューしていた。今度映画化された沢木の『春が散る』を取り上げて、「〜を読ませていただきました」「映画を観させていただきます」と当たり前のように発言していた。また「させていただく」だ。言葉も思考も実に貧困である。