先日、自民党副総裁の麻生太郎が台湾でまたやらかした。台湾有事に際して「戦う覚悟」が必要だとして、「いざとなったら防衛力を使う」と前のめりに宣言したらしい。
台湾海峡で争いが起こったからといって、それに日本が自衛隊を送り威力を行使するのは日本の憲法に反しているだけでなく、国際条約もそんなことは認めていない。
こうした分かりきったことをなぜ外国まで行って話すのだろう。理解が足らないのだろうが、どうもそれだけではないみたいだ。というのは、この麻生の発言を受けて、自民党の政調副会長がその発言を「政府内部を含め、調整した結果」だったと説明したから驚きだ。
自民党の連中が自分で「言う覚悟」がないものだから、麻生をたき付けて代わりに言わせた、というところか。のせる方も、のる方もアタマのネジがとんでいる。
いずれにせよ、もし戦争になったら一般市民は巻き込むな。あんたたちだけでやってくれ。自分が鉄砲担いで最前線に立てよな。
ただし、日本と中国の兵力には圧倒的な差があることは知っておいた方がよい。艦船数で2倍、戦闘機数で5倍、潜水艦数で3倍、人員の数では10倍の差がある。もちろん優っているのは相手国だ。それを知っていて「闘う覚悟がある」と宣言するのは、太平洋戦争に突入した昭和16年時の日本のトップと変わりがない。つまり、歴史から何も学んでいないということ。
本来は、実際の戦闘になどならないよう、外交や経済や文化といったソフトなパワーで周りの諸国と関係を閉じないようにするのが政治家の役目じゃないのか。