2024年9月10日

大手銀行の対応について思うこと

高速道路を走っているトラックに狙いを付け、その車がパーキングエリアに入ったところで「飛び石で高級車が傷ついた」とか 「ボルトが飛んできて当たった」 などと運転手に言いがかりをつける。

そして、彼らの運転免許証をスマホで撮影しては、それを使ってクレジットカードを偽造することを続けていた3人組が捕まったというニュース。

トンデモナイ連中がいたものである。

この事件を受け、警察はむやみに顔写真や住所の入った身分証明書の撮影に応じないように注意を促しているらしい。

それで思い出したのが、先日の三井住友銀行新横浜支店でのできごと。

口座開設のために訪店し、店内の案内係に用件を告げたところ、身分を証明できるものがあるか聞かれたので免許証を出した。「そこに座ってお待ちください」と言われ、しばらく待たされた。

手渡した免許証が気になり、近くにいた行員に免許証を返すように言ったら、「いま奥でコピーを取っていますのでお待ちください」と。 

本人にコピーをとって構わないかと確認することもなく、人の免許証を勝手に複写していたのである。

その支店においてはそれ以外にも首を捻らないではいられないおかしな対応がいくつもあった。近頃の銀行の支店では、こんなことを平然とやってるのかね。

気になって支店長宛にこの件について親展で手紙を送ったが、知らんぷりである。

2024年9月9日

日本の社員のエンゲージメント・レベル

米ギャラップが今年の初めに発表した「State of the Global Workplace Report」は、日本の情けない現状を示している。https://www.gallup.com/workplace/349484/state-of-the-global-workplace-report.aspx?thank-you-report-form=1

社員の組織に対するエンゲージメントを測定する国際調査で、日本は世界125ヵ国中の最下位(イタリアと並んで)だった。エンゲージメントを持っているとする社員の比率は5%。トップである34%の米国と比較すると、その差の大きさに驚く。

この背景には、安倍政権が打ち出した「働き方改革」が影響していると思っている。有給休暇をしっかり取ろうとか、早く帰ろうとか、会社を出たら仕事のメールは見ないようにしようとか、まるで企業で働く大人を子ども扱いして、結果、社員をスポイルした。

休暇を取るなと言ってるのではない。必要であれば、遠慮なく取ることだ。ただし、自分で考えて行動すること。従業員が自由にやればよいことで、人から言われて決めるようなことではない。

政府が箸の上げ下ろしまで監視して注意勧告することで、それまで自然に生まれていた社員と会社の「大人の関係」が薄れてきた。

休め、休め、と言われて、社員にとって、会社はできれば行かなくても済む場所であってほしいところになった。そうした場にエンゲージメントを持てという方が無理というものだろう。

それぞれにとっての働き方を各自が考え、必要に応じたものに変えていく。企業はそれを理解し、支援する。そうした意味での真の働き方改革は必要だ。しかし、それが政府の政策として「働き改革」と括弧に入れられてしまうと、本質から外れた役所の紙の上のアイデアに堕する。

働き方改革関連法案が2019年4月より施行された背景には、日本企業の生産性の低さ(G7のなかで最低)への懸念があったが、施行から5年以上が過ぎた今も生産性の低さは変わっていない。そして、生産性だけでなく、エンゲージメントも日本は世界の最低レベルになった。

本当にやるべき事は何だったのか、振り返ってもいいじゃないのか。

ただこの調査、英語を日本語に直した質問票をもとに調査が行われたはずだが、その際に「エンゲージメント」をどう日本語にしたのかが気になるところはある。

2024年9月5日

パンドラの箱が開いた

『サピエンス全史』が日本でも多くに人に読まれたユヴァル・ノア・ハラリの新作は、Nexus: A Brief History of Information Networks From the Stone Age to AI 。Nexusとは、結びつきとか関係の意味。

ランダムハウスから9月10日の出版予定になっているが、米国の新聞にその一部が掲載されていた。

In the early days of the internet and social media, tech enthusiasts promised they would spread truth, topple tyrants and ensure the universal triumph of liberty. So far, they seem to have had the opposite effect. We now have the most sophisticated information technology in history, but we are losing the ability to talk with each other, and even more so the ability to listen.
人間同士で話し合う能力を失いつつあり、ネット上のボットをまるで自分の友人や恋人のように感じて「つき合って」いる人たちがすでに世の中には少なからずいるらしい。

その本では、2021年にウィンザー城に侵入してエリザベス女王を暗殺しようとした若者が、彼のガールフレンドであり、指南役のチャットボットからその指示を受けていたことや、2022年に当時グーグルのエンジニアだった男性が、自分が開発したチャットボットが意識を持っており、電源を切られることを死と感じて恐れていると主張し、そのボットを守ろうとした末に会社から解雇されたことが紹介されている。

驚きだ。人間の心情を理解し、推測し、自己の生存を守るために人間を騙すことすらおこなうAIが誕生していることが明らかになっている。

AIはただ賢い(計算が速い)だけでなく、すでに人間のふりをして「そこに存在しようとする」ことを覚えてしまったらしい。

それを阻止するためにはどうしたらよいのか。アルゴリズムで解決できるのか。いやそれは難しそうだ。アルゴリズムが人の心理を誰よりも学習し、自ら各種のコンテンツを作成して人間を欺くことができるようになっている時点で、それを人間がアルゴリズムで解決するのは無理というものである。

ではどうしたらよいかといえば、現状では分からない。人間のこころのポケットに、いつの間にか忍びこむ悪魔が登場したともいえる。

ハラリは、ボットが人間のふりをする行為は禁止されるべきだと警告を発する。そして、大手テクノロジー企業やリバタリアン(自由至上主義者)が、そのような措置は言論の自由を侵害すると不満を言うなら、言論の自由はボットではなく人間に与えられるべき人権であることを彼らに思い出させるべきだと主張する。

問題はすでに顕在化しているが、解決への道筋は遠そうだ。なにより一番難しいのは、ロシアや中国、北朝鮮を含めた全世界で徹底したルール作りができない限り、有効的措置にはならない点である。

2024年8月31日

コンタクトサービス(株)という詐欺会社

地方に住む老親のもとに、「NTT西日本コンタクトサービス株式会社の●●」と名乗る男から電話があった。

電話料金が安くなるので回線契約を変更しないかというセールスである。電話にでた母親が、今使っているインターネットのプロバイダーが変わると困ると言うと、プロバイダーが変わっても同じメールアドレスを使い続けられるから大丈夫と説明した。ただし、プロバイダーはビッグローブに変更になると言った。

帰省時にこのことをたまたま知り、おかしいと思った。調べると、NTT西日本コンタクトサービス株式会社なんて会社は存在していなかった。営業電話をかけてきたその男が残した電話番号で所在を調べると、その会社は札幌市西区にあるコンタクトサービス株式会社という会社で、コールセンターの経営やプロバイダーの取り次ぎ代行業務をやっていることが分かった。

NTT西日本の回線営業の仕事を受けているんだろう。 また、ビッグローブに連絡し、コンタクトサービス(株)について訊いてみると、彼らの販売代理店であることも分かった。

腹立たしいのは、自社の名前に「NTT西日本」を勝手に付けて名乗っていること。そのやり口で地方に住む老人を安心させ、そしてだまして回線契約を結ばせる手口をこの会社は取っている。 

こうしたセールスのやり方は、準詐欺罪にあたる。違反したときの罰則は、詐欺罪と同じく懲役10年以内だ。

消費者庁に連絡した。今後も同様の報告があれば、何らかの行政処分がとられるはずである。

セコい手口で田舎の年寄りをだまそうとするんじゃないよ、馬鹿タレどもが。

2024年8月29日

生成AIの快感

各地の小中高校では夏休みが終わり、今週あたりから新学期が始まっている。

今年は読書感想文などの夏休みの宿題に、生成AIを用いたものが昨年にまして見受けられるとか。

ほとんどの子どもたちより生成AIの方が(少なくとも見かけの)出来映えが優った読書感想文を書くことができる。

しかも、それをAIで見抜くことは、現時点では極めて難しい。見抜けるのは、普段のその生徒のことをよく知っている担任の先生だけだという。つまり、チェックのためにシステムは使えないということだ。

利用されたのは、読書感想文だけではないだろう。それ以外の宿題や課題にも生成AIによって「解答」されたものが、いまごろ先生の手元に山と積まれているに違いない。

今後の学校教育はどうなっていくのか気になる。文部科学省は昨年の夏、小中高校での生成AIの活用に向けた指針を公表し、生成AIが小中高生の学習に役立つ面があることを強調している。

その上で、成果物に不正行為が含まれることがある点を注意するように教育現場に求めている。

これって、ありなのか。生成AIは生徒の学習に有益であると<気の利いてそうな> ことを言いつのりつつ、その運用の責任を現場の先生に丸投げした。

例えばだが、一旦、読書感想文を生成AIに代わりに作ってもらった生徒は、もう自分の手ではそれを書かなくなることは容易に想像できる。「とても便利だけど、使い方に注意するように」などと文科省が言おうが、一度その味を覚えたら手放せなくなるのが人間の常だ。

覚醒剤を渡しておいて、「使い方に注意するように」って言ったって、一度使って気持ちよくなっちまったらいくら頭で分かっていたってもう止められないだろう。それと同じ。注意して使うようにとか理屈を言っても無理なんだから。

一旦味をしめたら止められないのは、小中高生だけではないのも明らか。こうして人は「自分で考える」という行為を急速に手放していっている。

2024年8月28日

日本のビジネススクールは、どこへ行くのか

「週刊ダイヤモンド」の特集記事の一つが、「MBAが中高年に大人気!」。

新型コロナの頃から国内MBAの状況のビミョーさを感じていたが、ここまできているとは。

学ぶに遅すぎることはない、というのは事実だが、40や50を過ぎた人たちが会社の仕事と併行してビジネススクールに通い始めたからといってビジネスの分野でリーダーにはなれないだろう。

20年以上仕事をやっていれば、日々のなかから既に多くを学んでいるはず。自分の仕事を通じて直接学んでいないとしても、少なくとも自分に何が足りないのかくらいは分かっているはずだ。

それすら分かっていないとすれば、ビジネスリーダーはおろか、ビジネスマンとしての基本能力に問題があると言わざるを得ない。

何を知るべきかが分かっていれば、それについて自分で学べばよいのである。いい歳をして、人任せに「教えてもらおう」という段階でリーダー資質にも、基本的な素養にも欠けている。

日本の中高年はどこへ行こうとしているのか。そして日本のビジネススクールはどうなるのか。

2024年8月19日

ドロン、死去

アラン・ドロンが亡くなった。88歳。不世出の俳優だった。

味わいのある二枚目だった。ただ見てくれがいいというのではなく、陰りと深みを感じさせる演技を見せてくれた。

ヴィスコンティの「山猫」や「若者のすべて」など多くの代表作がある。もちろん1960年の「太陽がいっぱい」は、まぎれもない一つの金字塔だ。 

その彼が、NHKの番組でこんなことを語ったことがある。「老いるということは 船が難破するようなものだ。波に翻弄されつつ徐々に沈んでいく」。

前段の「老いるとは・・・」は、仏大統領だったド・ゴールが言った言葉。だが、それを引用し、加えて「波に翻弄されつつ・・・」と語らせたのはドロンの感性である。

一つの時代が終わったように感じる。

彼の死をラスト・サムライと評した仏の各紙

サンゴの白化

地球温暖化が世界各地で海水温の上昇にも影響を及ぼしている。下記の地球で赤いサンゴのエリアは温暖化の影響を受けていることを示している(ニューヨーク・タイムズ・デジタルから)。

サンゴが白くなっても、必ずしも死んでいるわけではない。また、サンゴ礁が永遠になくなるわけでもない。専門家は、もし状況が改善されれば、サンゴはこの白化を生き延びることができると述べている。つまり、サンゴ礁は立ち直る可能性をまだ持っているということだ。

しかし、世界の温暖化が進むにつれ、これらの白化は定期的な白化へと変わりつつあり、そうなると軽度の白化は重度の白化になり重大なダメージを与えるようになる。

だから、放っておけない。

2024年8月18日

アメリカ大統領選の世論調査

アメリカ大統領選の世論調査が発表された。

カマラ・ハリスとドナルド・トランプは、その支持率で接戦を演じている。が、トレンドとしては、トランプが横ばいで停滞しているのに対してハリスが追い上げているのが分かる。

よその国の事ながら、どうなるのかとても気になる。直接投票で自分の国の大統領を自分たちで選べるのが羨ましい。

日本では、岸田首相が今度の自民党総裁選に手を上げないと表明したあと、「待ってました」とばかり、代わり映えのしない顔、顔がぞろぞろ候補者として出てきた。

これらのなかの誰かが日本の首相になるのだろうが、党員ではないので何の影響力ももたず、ただ「ああそうかいな」と傍観するのみである。

議院内閣制を採用するのであれば、例えば英国で労働党と保守党で何年かおきに政権交代が行われるような状態でなければ健全な政治システムとは言えない。その意味で、日本は明らかに専制主義国家である。

国民がまだしっかりしているから廻っているけど、自民党政権は知恵も倫理観もない世襲議員の巣窟となり、あらゆる面で世界の変化についていくことができておらず、徐々に徐々にこの国は死んでいっているように思う。

2024年8月17日

衣料と靴の耐用年数

リサイクル素材を積極的に用いるなど、衣料廃棄物の問題に取り組んでいるという英国のアパレルブランドが発表したデータによると、人が生涯で必要とするシャツは23枚、ズボンは22本、ジャケットは13点、靴は63足だとか。

これらの数字は、それぞれの耐用年数に基づいている。それらは、シャツは2.74年、ズボンは2.81年、ジャケットは4.58年、そして靴は1年とされている。

つまり、人が生涯に渡って衣料や靴を利用する年月は63年間と考えられているわけだ。

毎日同じシャツを(飽きずに)着て、2.74年たったら新しいものに交換する。靴も同様、毎日同じ靴を(嫌がらずに)はき続け、耐用年数に達する1年後に新しい靴に換える。実際は、世の中にそんな着方、履き方をする人はいないと思うけど。

そもそも、先のシャツや靴などの耐用年数は、どうやって編み出したのだろう。その5倍近く使い続けている僕は、物持ちが良すぎるのかね。

2024年8月3日

記者たちは、全員暑さボケなのか

 経済同友会代表理事の新浪氏が会見を行った。その会見の最後、「質問が出ると思って待っていたが、出ないので私からどうしても申し上げたい」と切り出し、死者まで出た小林製薬が引き起こした健康被害とその経営責任について考えを述べた。

今回の不祥事を受けて、同製薬会社の小林会長と小林社長は辞任はしたが、その後、月額200万円の報酬で特別顧問に就いていた。

それに対し、新浪氏は「ここまでくると、ガバナンスの質を上げないと話にならない。社外取締役の責任は大きい」と同製薬会社の体制を強く批判したらしい。

それにしても驚くのは、会見に出席していた記者たちは、誰も小林製薬の経営責任の取り方について質問すらしなかったという体たらくである。

記者たちは全員、暑さでノー味噌が溶けていたか。それとも寝ていたか。

2024年8月2日

ライドシェア、出動せよ!?

毎日暑い。記録的な猛暑が続くが、国土交通省が気温が35度を超えた場合に、ライドシェアの稼働台数の増加を「認める」らしい。これまで雨が降った日に同様に出動台数増加を「認める」措置を取っていた。

国交省の役人というのは、自分たちを何様だと思っているのだろう。

雨が降ったら、とか、気温が35度を超したらお前ら「出勤」していいぞと言われて、ライドシェアのドライバーたちが「ありがたや、ありがたや」と喜んで車に乗り込んで街に営業に出て行くと思っているのだろうか。

外国で利用したライドシェアのドライバーたちは、誰もがその働き方を選んだ理由として、自分が「働きたいときに、働きたいだけ、働きたいエリアで働けるのがいい」と話してくれた。一言で言うなら、自由裁量度が高いことがその仕事に就くカギなのである。

政策をタクシー会社に絡め取られてしまい、ライドシェアが名ばかりのものとして「認可」されたところが日本らしい。聞くところによると、日本ではライドシェアの売上の3割から5割がタクシー会社に抜かれるらしい。

本来、ライドシェアそのものは<運輸ビジネス>ではない。移動手段を求めている人(客)とそれを提供できる人をマッチングさせる<ITを用いた仕組み>のことである。

それを、日本の政府は、ライドシェア=運輸業と勘違いしている。だから国土交通省が所管となり、タクシー会社と同列にその業務を考えるという根本的な間違いを犯している。

結果、利便性を得るはずだった利用客もドライバーも、国の誤った政策によって置き去りにされている。

なぜ日本ではいつもこうなっちゃうんだろう・・・。

2024年7月27日

トランプ自爆

トランプが選んだ副大統領候補のヴァンス上院議員が、民主党のハリス大統領候補らを「Childless Cat Ladies(子供いない惨めなおばさんたち)」 と呼び、蔑む発言をしていたことが米国で話題になっている。

この事実は、大統領候補のトランプにとって間違いなく致命傷になるだろう。懐刀となるだろうと期待して選んだ候補によって自爆してしまった感じだ。

これで秋の米大統領選へ向けての流れが、また一気に変わった感じがする。

日本でも子供のいない女性のことを「生産性が低い人間」と蔑んで表現した自民党議員がいたが、コレもそれと同じ穴のムジナだ。

国を問わず、そうしたことを口にするどうしようもない人間はどこにでもいるということだ。

2024年7月26日

ペヤングと岡山弁

先日の昼食時、近くの駅ビルのエレベータに乗ったら、そこに女子高生が4人いた。そのなかの2人は、エレベータの中でペヤングの焼きそばを食べていた。ただ手にしていたのではない。割り箸片手に、焼きそば麺をががががっと啜り込んでいた。

ちょっとビックリしたね。しかも、その一人が手にして食ってたのはペヤングの「超大盛りサイズ」。

なんだコイツらと思い、最初、彼女たちの存在を頭から消して無視していたが、なぜかその様子が可笑しくなって、その少女らに「うめえか?」と訊いたら、声を揃えて「うまい!」。

で思い出したのが、先日たまたま見た、「新宿野戦病院」という新宿歌舞伎町の病院を舞台にしたフジの番組である。

その番組の中で、主人公の小池栄子がちょっとアクセントのズレた岡山弁をしゃべっている。「ぼっけえ」「ぼっこう」「でえれえ」「もんげえ」といった岡山弁だが、どれも「すごく(very)」「ものすごい」を意味する表現だ。「でえれえ でえこん てえてえて」は、岡山弁で、大きな大根を炊いておいて、の意味だということを小池が番組中で言っていた。

確かにそうなんだけど、ストーリーと直接の関係がなく、そうした一発芸的な台詞に苦笑した。

半世紀近く前に岡山を出て以来すっかり東京の言葉でやって来たが、記憶の奥底に干からびて残ってた澱のようなものが反応した。

脚本の宮藤官九郎は、生まれも育ちも岡山とは関係ないはずだが、今回、主人公に岡山弁を話させているのは何故なのか、岡山生まれとしては少し気になる。 

番組の中、小池はペヤングのファンである。

三谷幸喜がニール・サイモンやビリー・ワイルダーを連想させるエスプリの利いた(正統派的)台詞で笑わせるのに対して、宮藤官九郎はペヤングと岡山弁である。

笑いへの持っていき方が違う。しかもエッジが立っている。

2024年7月15日

バーニー・サンダースもありか

13日の演説中にトランプ米前大統領が銃撃を受けたことについて、上院議員のバーニー・サンダースがCNNでコメントを述べていた。

その話しぶりは実に矍鑠としたものだった。サンダースはバイデンとほぼ同年代だ。

スピーチの最中に重要なこと、例えば他国の大統領の名前などを言い間違えるなど、その認知能力の衰えが感じられるバイデン現大統領より、サンダースの方が大統領候補によっぽど相応しいように思えた。

 
若者層に人気があるし、無党派層も取り込めるんじゃないか。何と言っても、今回の銃撃で草の根アメリカの「スーパーヒーロー」になっちゃったトランプには、よほどの人物じゃないと立ち向かえない。

欧米のメディアを見ると、熱心なトランプ支持者はトランパー(Trumper)と呼ばれている。 それに yをつけてtrumpery になると、見かけ倒し、がらくた、 ろくでなし、たわごと、といった意味になる。

2024年7月8日

魔法のような90フィート

野球にはほとんど興味がない。が、ドジャーズの大谷翔平選手の活躍は、ついつい気になる。彼の人並みはずれた能力だけでなく、あの個性は魅力的だ。

昨日のブルワーズ戦で、大谷選手は今季20個目の盗塁を決めた。彼は足が速いことに加えて、自分がピッチャーだから投球フォームから盗塁のチャンスをつかむのも上手いんだろう。

盗塁する大谷選手(7月7日)、AP通信

盗塁って見ていて面白い。バックネット裏からのカメラ・アングルだと、手前に送球するキャッチャーと打席のバッター、画面なかほどにピッチャーが、そして画面奥(画面上方)に右から左に全力で疾走する一塁ランナー、 ランナーが向かう先にボールを捕球する体勢で構える2塁手。この構図はとても絵になる。

大谷の場合、先に書いたように足が速いしスタートも上手いから首尾よく盗塁成功となることが多いけど、多くはきわどいタイミングでセーフだったり、アウトだったりする。

野球のベース間の距離って上手く設計できていると思う。調べたら、その長さは90フィート(27メートル43センチ)。もしこれが91フィート、あるいは89フィートだったらどうだったろう。

わずか30センチほどの違いだけど、野球の面白さが大きく変わっていたんじゃないかと思う。誰が決めたんだろう、90フィート。

昨日の東京都知事選挙で小池知事が3選を果たした。ホームランとか、でかいヒットを打ったわけでなく、たくさんの盗塁(48億円かけたプロジェクション・マッピングなど)をかさねて点を稼いで勝ったという印象だった。

2024年7月7日

どこまで気温は上がるのか

今日、静岡で気温が40度になったらしい。死者とかでてなければよいが。

今さらながらであるが、この気温の上昇、そしれその大元となる地球の温暖化は何とかならないものだろうか。

1850年以降の全地球の平均気温をグラフにしたものが以下のものだ。1970年ごろから急激な上昇が見られ、2010年ごろからはそれに一層拍車がかかっている。


温暖化の原因はいくつも挙げられるが、その主要なもののひとつが化石燃料による発電である。下図は、電力を何によって生み出しているかを示したグラフだ。


中国が電力供給のために大量の化石燃料を燃やし続けていることが分かる。インドは、総量は中国の約4分の1だが、中国同様の増加トレンドにあるのが心配だ。

日本でこれまで記録された最も高い気温は41.1度。静岡県の浜松市(2020年8月17日)と埼玉県の熊谷市(2018年7月23日)である。

今日はまだ7月7日。梅雨は明けていない。今夏、最高気温を記録するのだろうか。 

2024年7月4日

僕がGメールをやめた理由

2020年に、プライベートのメールアドレスをgmailからfastmailに変更した。fastmailの運営会社は1999年に設立されたオーストラリアの企業である。(米国企業でないところが肝心)

変更の理由は、gmailは無料でかつ良くできた便利なツールだが、プライバシーの点で大いに懸念があるから。いや、懸念があるどころか、すべて覗かれ、彼らに利用されているのが実状。

プライバシーについては、個人が気にするかどうか。ぼく自身はgmailを使っていたとき、自分のメールが常に覗かれ、記録されている感覚があって気持ちが悪かった。

最初、そうした気持ちの問題でfastmailを使い始めてみたのだけど、特に最近便利だと思うのがfastmailのMasked Emailのサービスである。

これはいわば、覆面アドレスである。日常、各種のサイトへの登録時にメールアドレスの記入を求められる。だが、よほど信頼できるもの以外は、Masked Emailのアドレスで登録する。

fastmailは、それをいくつでも使える。すごく簡単。また不要になったら、すぐ抹消できる。運営母体がセキュリティを最優先している企業だからだろう。

fastmailは、gmailやYahooメールのようなフリーのサービスではない。どうでもいいやり取りは、そうしたフリーメールを使えばいい。ただ、個人的なプライバシーが少しでも含まれるコミュニケーションは、信頼できるシステムを使った方が安心できる。

タダほど高いものはない、というのは今も揺るぎない真理だから。このあたりをどう考えるかは、それぞれの価値観の問題。

タダの代わりにプライバシーを渡しているわけだが、そう気づかせないよう巧妙にやられちゃってるのが悩ましい。

2024年7月1日

広報担当の秘書官→差別発言→局長に昇格 これが役所の常識か!

先月26日の新聞記事である。

この人物、記事にあるように性的少数者について「見るのも嫌だ」と記者団に語ったという岸田政権の広報担当だった官僚。

それが今度、経産省の通商政策局長に昇格した。なかなかのポジションである。

経産省は、その「昇格」の理由を説明する責任があると思う。そうでなければ、新卒者の役人離れはますます加速するだろう。こんな職場には、まともな神経を持った学生が就職したくなくなるのは当然だ。

そんな当たり前のことが、長年にわたり内々だけで固まっている組織の人間には分からなくなっている。

2024年6月29日

米大統領選テレビ討論

昨日、日本時間で朝10時から行われたバイデン=トランプのテレビ討論を見た。

僕は米国人ではないが、当然関心はある。どちらが、あるいは誰が米国大統領になるかは、世界全体に大きな影響を及ぼす。(いまだ地球温暖化を否定するトランプがなったら大変だ。)

82歳のバイデンと79歳のトランプの論戦は、想像以上にお粗末でガッカリものだった。トランプは論点をずらし、答えるべきものに答えようとしない。今さらながら不誠実でウソに塗り固められた人物であることが浮かび上がる。

かたやバイデンは認知能力の衰えた、癇癪持ちの年寄りの醜い姿を晒していた。

アメリカ大統領という、いまでも世界で最強のパワーを持つポジションの人物を選ぶというのに、まるで田舎の村長をどちらにするかのような低内容の討論に終始していた。それにしてもヒドイ討論会で、選択に悩む米国の有権者も多いことだろう。

討論後のCNNの調査では、トランプが「勝った」とするのが67%、バイデンは33%だった。議論内容のファクトチェックが済んでいない段階で、数多くのウソを自信満々に述べたトランプを米国の有権者が何を評価したのか分からないが、これが米国の大統領選テレビ討論なのである。

すべてを左右するのは「印象」だ。マクルーハンの時代から何も変わっていない。これは考えてみれば、怖ろしいことである。

今回の討論会の後、アーロン・ソーキンが制作した「The West Wing」(Warner Bros.)を何本か見返した。そこで大統領を演じたマーティン・シーンのような大統領候補であったなら「完璧」だったのだろうが、それは望むべくもない。

今朝のニューヨーク・タイムズで、トーマス・フリードマンがバイデン陣営に対して大統領選から退くべきだという意見を述べていた。アメリカのため、世界のため、そしてバイデンと彼の家族、スタッフのためにその決断が求められているのだと。同感である。

カマラ・ハリスへの候補者スイッチがうまく行くかどうか。

The New York Times