2012年6月22日

ピンクのわた菓子

普段、フランス料理は食べないようにしている。理由はいくつかあるのだが、それはここでは書かない。

しかし、先日の出張中のこと、モントリオールに来たからにはさすがと思わせるフレンチも悪くないかと思い出かけてみた。実は、同じアパートの住人であるY澤さん夫婦からお勧めの店を教えてもらっていて、ニューヨークを出発する前にレストランを予約していたのだ。お二人は同じ医大に勤務するお医者さん同士で、モントリオールにはやはり学会で昨冬訪れたとか。

そこはモダン・フレンチの店で、ひと皿ひと皿の料理に趣向が凝らされているとともに、ウエイター、ウエイトレスもよくトレーニングされていて、程よいホスピタリティーを感じさせるものだった。

この歳になると、食事の際にやはりカロリーを考えてしまう。そこで食後はデザートはやめておこうと思いコーヒーだけを注文したのだが、ギャルソンが「当店にいらしたからには、スイーツをお召し上がりにならないままお帰しするわけにはいきません」と言って、いくつかの甘いものをテーブルに運んできた。その一つが、コットン・キャンディー。むかし懐かしい綿菓子である。


このピンクの綿菓子、今店頭に並んでいるNew York誌の表紙でエマ・ストーンがほおばっていた。


2012年6月21日

Wall Street Walk Tour に参加

午前中、コロンビア大学ビジネススクールが主催するウォール街のウォーキング・ツアーに参加。以前、ウォール街の金融機関で働いていた女性がガイドとして周辺を案内してくれた。今日はとても暑かったが、ひとりで散策するだけではわからない各建物のいわれなども聞けたので、まずまず。

右手のバーガーキングの広告が下がっている建物がニューヨーク証券取引所

ワールド・トレード・センターあとに建設されている1 World Trade Center ビル
NYで最古の歴史を持つトリニティ教会。その向こうに1 WTC。

2012年6月20日

名和晃平と琳派

クロイスターを訪ねた後、メトロポリタン美術館のジャパニーズ・ギャラリーで開催中の琳派展を観に行く。名和晃平のPixCell-Deer#24(2011作)が琳派のひとつのコレクションとして展示されている。こうした解釈の自由さがメットらしい。

http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2012/rinpa-aesthetic 



これぞ、Museum & Gardens

南北に細長いマンハッタン島のほぼ北端に、メトロポリタン美術館分館のクロイスターズがある。

地下鉄のAトレイン(デューク・エリントン楽団の「A列車で行こう」のA Trainだ)で190丁目まで行き、そこからフォート・トライオン公園を通り抜けると中世の修道院を模した赤茶色の建物が現れる。
http://www.metmuseum.org/visit/visit-the-cloisters/

クロイスターズのクロイスター(cloister)は、修道院の回廊のこと。南フランスにあった修道院のロマネスク風回廊をニューヨークへ運びこんで作られた。

スポンサーは、あのロックフェラーだ。ロックフェラーにしろ、カーネギーにしろ、アメリカの大富豪には文化的で精神性の高い社会貢献活動を残した人びとがたくさんいる。


2012年6月18日

眼下にマンハッタンを見る

モントリオールからニューヨークへ帰るフライトで、窓からマンハッタン島が見えた。真ん中に見える巨大な長方形がセントラルパークである。


モン・ロワイヤル公園

マギル大学のすぐ横の坂を上り、小高い丘になっているモン・ロワイヤル公園(Parc du Mont-Royal)に行ってみた。

展望台からモントリオールの市街地を望む



なんだか感じがNYのセントラルパークに似てるなと思ったら、設計が同じ造園建築家の手によるものと知り納得。

2012年6月17日

ノートルダム大聖堂(モントリオール)

モントリオール市の旧市街地のほぼ真ん中にノートルダーム大聖堂がある。建物の内部に入ると、ブルーのライティングとゴールドの装飾が独特の雰囲気を醸し出していた。きょうは週末だったので、パイプオルガンの演奏が流れていた。



2012年6月16日

McGill大学の博物館

今朝、学会のためにモントリオールにやって来た。ニューヨークからはほんの1時間半ほどのフライト。羽田から札幌へ飛ぶくらいの感覚である。

宿泊したホテルの裏手にマギル大学があった。昨年、創立190年を迎えた伝統ある大学である。構内にRedpath Museumという博物館がある。北野天満宮のお守りや倉敷阿智神社の絵馬が展示してあったのは何故だろう。


街のレストランやカフェで、マギル大学の学生・大学院生だというウエイトレスに何人かあった。夏休みになったので、アルバイトに精を出しているのだろう。モントリオールの飲食店では、テーブルの担当になった彼女たちは、客(現地の人以外)にまずフランス語と英語のどちらでコミュニケートしたいか尋ねるてくる。

あるカフェで、冗談で日本語か中国語であなたと話せないかと(英語で)返答したところ、「中国語ならほんのちょっぴりならできるわ」と返ってきた。香港大学に7ヵ月間留学していたときに覚えたという。国際法を専攻している大学院生で、修士課程を終えたら国連機関で働きたいと言うので、「モントリオールの人たちは英語と仏語のバイリンガルだから得だね。頑張って」と言ったら、言葉についてはスペイン語とイタリア語もできるとのこと。それと少しの中国語。

2012年6月12日

ニューヨークの Korean Town

日本では法政大学で教えている韓国人のK先生とミッドタウンのコリアン・タウンへ。エンパイアステート・ビルが間近にそびえる32丁目のエリアである。K先生のお薦めのKumGangSanという老舗の韓国料理店でランチをする。カルビがうまい。キムチもうまい。


ランチの後、彼が気に入っている韓国料理屋や食料品店をいくつか案内してもらいながら、コリアン・タウンの通りを往復した。そのなかで一軒だけ、あの店は行かない方がいいと彼が指さしたのが「ニューヨーク・コムタン」という店だった。料理だけでなくサービスも酷い、と彼だけでなく彼の奥さん(韓国人)も言っているとか。

実は、僕はその店のことは「ニューヨーク美術散歩」という本で知っていた。その店が、NYに住む著名な日本人画家のお気に入りの店だと僕は彼に言えないまま、われわれは地下鉄の入口で分かれた。

2012年6月10日

ソーシャル・ネットワークへのハッキング

昨日のFT紙の記事によると、LinkedInから顧客データがハッキングによって盗まれたという。リンクトインは、盗まれた顧客データがどのくらいの数か公表していないが、リンクトインから盗まれたと推測されるパスワード800万件がハッカーによってネット上に公開されているらしい。それらは暗号化されたものではあるが、だからといって大丈夫とはいえないだろう。

下記の図は、フィッシングの被害にあった組織を示している。これまで金融機関が最もその対象になりやすかったのが、今はソーシャルネットワークがその主たる対象として狙われている。全体におけるその比率は、今年4月現在で全体の約30パーセントであり、前月に比べて6パーセント・ポイント上昇している。

Financial Times, June 8, 2012

厄介なことに、ソーシャルネットワークから個人データが盗み取られた後は、その個人名や写真をもとにその人物になりすましたハッカーによって、友人知人が容易に狙い撃ちされる可能性がある。フェイスブック、ツイッター、リンクトインなどのSNSは、Gmailやホットメールなどに比べてセキュリティ対応が遅く、その脆弱性が指摘されている。

今後、技術面を強化することは可能だろうが、それで問題が解決するとは思えない。セキュリティを高めても、それに対抗するハッカーが必ず登場してくるだろう。イタチごっこが続く。

2012年6月9日

Food, Inc.

友人から勧められていた「Food Inc.」を観た。2008年に製作された映画で当時日本でも公開されたようなのだが、僕は覚えていない。

ここで描かれて食品を巡る話の数々は、なんとなく知ってはいた知識ではあるけど、映像とともに詳しく説明されると理解の中身が異なってくる。穀物資源の行く末が一握りの数の企業によって支配されているということ、加工食品がほんとうはあまり食べたくない食物であること、ファースト・フードがわれわれの生命にまで深く影響を与えていること、清涼飲料水が見せるおもての「さわやかさ」とその実態など。

米国では圧倒的な量のとうもろこしが遺伝子操作されていることは以前から知られていたが、それがコーンスターチとしてほとんどといっていいほどの加工食品(ケチャップやマヨネーズ、マーガリンなどの多くの調味料も含む)に含まれていること。また、家畜用の牛は、いまでは牧草ではなくそうしたとうもろしを与えられていること。それは、やがて牛肉として人間の体に入る。

食肉加工品の製造現場は、工業製品の製造現場とまったく変わりない。しかも残念なことに、そこにある食肉解体場は米国への不法移民者の働き口の役割も果たしている。そのことを法的に、道徳的に、人道的に、環境的に、そして現実的にわれわれはどう理解するべきなのか。


2012年6月7日

『ニューヨーク美術案内』

今年2月末にニューヨークへ来た時、荷物はスーツケース1つとデイパックだけだった。スーツケースは、出発前に近所のイトーヨーカ堂で「海外旅行一週間用」と書かれたシールが貼られていたものを買い、それで済ませた。(僕がこちらで部屋を探している時にお世話になった不動産屋さんによると、彼女がしばらく前に世話をした日本のある官庁の役人は、NYに赴任してきた際に日本から鍋釜をはじめ、家族の人数分の羽毛布団まで持って来たらしい)

切り詰めたスーツケースの荷物のなかに、日本の本を2冊だけ入れて持って来た。その一冊が、千住博・野地秩嘉『ニューヨーク美術案内』(光文社新書)だ。ライターの野地と画家の千住が、NYの美術館とギャラリーを観て歩くという本である。

紹介されている美術館は、メトロポリタン美術館とMoMA、フリック・コレクション、またチェルシーにあるギャラリーがいくつか取り上げられている。野地が冒頭で、「今の時代、贅沢とはモノを持つことではない。(中略)わたしの場合の贅沢とは簡単だ。楽しみ方を教えてくれる人、快感を伝えてくれる人と過ごす時間が贅沢と言える」という指摘にうなずく。

僕は、自分の専門外である絵画や彫刻の見方をこの本から教わったような気がする。千住は、美術館で本物の絵に接するすばらしさを「絵から50センチの距離に立ってみる。するとその作者もかならずその位置から自作を見ていたはずであり、これはまさに作者の身になって物を見る、物を考える、ということに他ならない。マジックハンドでも使って描かない限り、人間の腕の長さは似たようなもの、かならずこんな距離から絵に筆を入れていた。そう思うと筆致や呼吸まで追体験できてくる」と語っているが、この本を読めば、僕はまたそう話す千住がここに立ってこの絵と対峙していたのかと思いながら作品の前に立つことができる。

ところで、この本の中で千住はまた、美術評論家と画家の違いについて語りながら、画家である自らを「わたしは自分のことを『飛行機の(なかの)獣医』だと思っています。自分は絵を描いているから、その立場に立てば、何に対しても解説ができる」と述べている。彼はここで、美術評論家は専門教育を受けているがために、自分の学んだカテゴリー以外について発言しないとその不自由さを指摘している。専門家の危うさと怪しさは、アートだけでなくどの分野にもある。

2012年6月6日

Snow White & the Huntsman

夕方、突然の雨。とっさのことで軒下を借りた建物が映画館だったので、そこで映画を観て帰ることにした。4作品ほどを扱っているなかで、Snow White & Huntsman という映画が予告編を上映している時間帯だった。

原作は誰もが知っているグリムの童話なのだが、ここまで解釈を拡げられるとそのイマジネーションに感心させられてしまう。特殊効果もすばらしい。いろんな面で日本では作れない映画だなと、少しため息が出る。

映画の惹句が「From the producer of Alice in Wonderland」となっている。プロデューサーで客に訴求できるとは、映画と観客の距離感が日本とは違うと、また妙なことに感心する。

エンドロールを見て、The Evil Queen(悪の女王)を演じた役者は、昨日観たサイダーハウスルールで戦地に赴いた婚約者の戻りを待っているけなげな女性を演じていたシャリーズ・セロンだと知りビックリ。

2012年6月5日

The (Honest) Truth About Dishonesty

「あなたは今年に入ってから、ウソをつきましたか。今月に入ってからではどうですか。では今日は」という問いかけでダン・アリエリーの話は始まった。


アリエリーは、日本でも『予想どおりに不合理』(早川書房)で有名になった行動経済学と心理学の研究者(デューク大学教授)である。

その彼が、The (Honest) Truth about Dishonesty という本を書いた。明日からの発売にあわせて、大手書店のバーンズ・アンド・ノーブルが講演会を開いた。人はなぜウソをつくのか、どんなときにウソをつくのか。人がどんなときに正直になり、また不正直になるのか・・・そうした興味深い議論のさわりが紹介された。

http://www.amazon.com/Honest-Truth-About-Dishonesty-Everyone---Especially/dp/0062183591/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1339032247&sr=8-3

正直とウソ、その理由と意味。講演後、そうしたことを考えながら、夜の道をアパートまで歩いて帰った。帰宅後、気になって「サイダーハウスルール」の映画をDVDで観る。アイエリーの話も面白かったが、<ウソ>についてはこっちの方がずっと重く、より深く考えさせられる。

2012年6月4日

夕暮れのハドソンリバー

このところ雨が多い。一日中降ることはあまりないが、日に何度かシャワーに襲われる。その合間を縫ってハドソンリバーを見に行った。

2012年6月3日

ロウアー・マンハッタンへ

朝、友人のDから「MoMAへ行かないか」と誘いの電話が入る。メンバーなので、彼と一緒なら通常25ドルのところが5ドルで入館できるそうだ。

「昨日行ったばかりだよ。しかも、タダで」と答えて丁重に断る。その代わり、彼が美術館を出た頃に一緒にお茶をする約束をする。彼も特別展で開催されているシンディー・シャーマンが目当てだとか。

ミッドタウンで落ち合い、その後お茶を飲んだ後、2人でロウアー・マンハッタンまで5番街を歩く。その後チェルシー・マーケットやハイライン・パークなど、お喋りをしながら5時間近く歩いた。ユニオンスクエアのグリーン・マーケットやグリニッジビレッジのチョコレート専門店で彼の友人をたくさん紹介してもらう。チェルシーのギャラリーまわりもしたかったが、それは時間切れで次回に。

5番街とブロードウェイ、22丁目の通りに囲まれたフラット・アイアン・ビル。

2012年6月2日

金曜日のMoMA は入場料無料

普段は5時半に閉館してしまうMoMA(ニューヨーク近代美術館)が、金曜日だけ夜8時まで開館している。しかも、4時からは入場料が無料になる。Target Free Friday Night という、小売店のターゲットがスポンサーになって行っている粋な計らいである。

実は今日は、それを目指して行ったわけではない。たまたま3時半くらいにMoMAの前を通りかかったら、そこには長蛇の列。ああそうか、今日は金曜日かと思い出し、その後の予定もなかったので僕もフリーチケットを求めて列に並ぶことにした。

6階で開催中の特別展は、シンディー・シャーマンの作品展だった。彼女は、確かいま米国でもっともプリントの値段が高い写真家の一人である。作品はこれまで写真集で何度も見ているので特に目新しいものはなかったが、巨大に引き伸ばされた生のプリントで見るとまたちょっと印象が異なる。下は、工事中の外壁を覆った囲いに貼られたディスプレイ。これもMoMAらしい。

2012年6月1日

タバコの次はソフトドリンク

ニューヨークのブルームバーグ市長が、砂糖を含んだソフトドリンクの販売を制限する計画があることを発表した。新聞の第一面から。

デリカテッセンやファーストフード店、野球場などのスポーツスタジアムでの16飲料オンス(474cc)以上のボトルやカップでの販売を制限しようというものだ。ただし、食料品店やコンビニでの販売は制限の対象にはなっていない。

その背景には、人々の肥満の主要因の一つがソフトドリンクに含まれる糖分からのカロリー摂取過剰だとのNY市健康局の判断がある。規制が決定されれば、来年3月からの施行になる。

僕にとってはこれは突然の発表だったが、これまでもラージサイズのソフトドリンクの是非を巡る議論があったのだろう。個人の好みの問題とはいえ、マクドナルドなどこちらのファーストフード店で販売されているコーラなどのカップの大きさときたら尋常ではない。まるでバケツだ。

そういえば、こちらでコカコーラやペプシコーラ、ドクターペッパーなど清涼飲料メーカー大手4社の共同広告が頻繁に流れるのが気になっていた。そのCMでは、米国の清涼飲料会社は、自分たちはいろんな選択を消費者に提供していると訴え、容量の小さいボトルの製品を用意してるとか、ロー・カロリーあるいはノン・カロリーの製品もそろえ、さらにカロリー量をパッケージに表示するようにしているなどと訴求している。NY市の動きを牽制した業界広告だったわけだ。
http://www.youtube.com/watch?v=hud5yuaAafw&feature=channel&list=UL

2012年5月30日

「弱」でも「強」

メモリアル・デーが過ぎて、実際に米国は夏になったようである。昨日はNYで気温が90度に達した。これは華氏で、摂氏だと32度くらい。

扇風機を買った。シンプルでごく標準的なスタンド式だ。風力は3段階調整になっているのだが、弱でも日本の扇風機の強の勢いでファンが回る。涼しいが、うるさい。机の上の書類が飛んでいく。新聞を拡げて読めない。これより弱くはできないので、置き場所を遠ざけるしかない。

部屋の中で目一杯離したところにおいて使っているが、それでも風が強すぎる。米国の消費者は、日本人が気にするようなデリケートな調整機能を求めないという典型例である。