2024年11月14日

嘘つきは、警察チョー幹部の始まり

毎日新聞によるスクープ。11月13日朝刊 

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大川原化工機事件 警察庁幹部「やるな」 消えた警視庁の検証アンケート

 化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、警視庁公安部外事1課が起訴取り消し後の2021年8月、捜査の問題点を検証するアンケートを捜査員に実施していたことが判明した。だが、アンケートの存在を知った警察庁幹部に外事1課長(当時、以下同じ)が叱責され、課長は「回答は廃棄した」とこの幹部に報告したという。捜査員にも回答は共有されず、アンケートが生かされることはなかった。
 大川原化工機の社長ら3人は20年3月、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして、外為法違反容疑で逮捕、起訴された。しかし、東京地検は初公判4日前の21年7月30日、起訴内容に疑義が生じたとして起訴を取り消した。
 複数の捜査関係者によると、起訴取り消しを受けて、21年1月に着任した外事1課長が検証作業に着手した。当初は会議形式で意見を出し合おうとしたが、捜査を問題視していた一部の捜査員が「記録に残らないのはよくない」と反発。文書として残るアンケートで行うことになった。
 アンケートは起訴取り消しの翌月、事件を手掛けた公安部外事1課5係の捜査員(他部署に異動した人も含む)を対象に行われた。毎日新聞は関係者からこのアンケートを入手した。質問部分はA4判2ページ。冒頭で「未来志向型の検証」とうたい、「今回検証した結果が将来の我々の捜査に寄与できるよう、“今後の捜査のあり方はどうあるべきか”について、思いの丈を述べていただきたい」と記されている。
 質問は5項目あり、立件に不利な「消極証拠」が存在したのか▽(輸出規制を担当する)経済産業省や地検との関係はどうだったのか--などについて尋ねるものだった。こうした質問は、捜査を指揮した5係長の後任が作成したという。
 無記名式で回答を求めたところ複数の捜査員が「(警察官の懲罰を担当する)監察で調査すべきだ」と記した。大川原化工機の製品が輸出規制品に該当するとした公安部の法解釈に経産省が否定的だったことや、輸出規制品との判断根拠になった公安部の温度実験に不備があったことなど、捜査の問題点を詳細に記した捜査員もいたという。
 ところが関係者によると、このアンケートの存在を知った警察庁外事情報部長(当時、以下同じ)が「何をやってるんだ」「そんなことはやるな」と外事1課長を叱責したという。結果が外部に出る可能性を懸念したとみられる。
 外事情報部長は外事1課長の直属の上司ではないが、全国の外事事件を監督する立場にある。さらにこの部長は、社長らが逮捕された際は警視庁公安部長を務めていた。外事1課長はこの叱責後、回答を廃棄したと部長に伝えた。現在、外事1課にアンケートは残されていないという。
 その後に警察を退職した外事情報部長は取材に対し、アンケートや叱責について「時間がたっており、私の記憶には残っていない」と述べた。
 警視庁は取材に、大川原化工機側が起こした国家賠償請求訴訟が続いているとして「お答えを差し控える」とした。
(11月13日東京版朝刊1面)

・・・だとさ。

公安部外事1課は自分たちの捜査の問題点がどこにあったのか検証するため、アンケートを捜査員に対して行った。自らの問題点を反省するためにそれが必要だと考えたわけだ。

それに対し、大川原化工機の社長らを逮捕した際に警視庁公安部長を務めていた外事情報部長がイチャモンをつけ、アンケートを廃棄させた。それによって、せっかくの貴重な反省と学習の機会が握りつぶされた。

警察庁外事情報部長はその後、警察大学校の校長になった(その後まもなく退職)。

わずか3年前の事件にもかかわらず、その元警察庁幹部は自分の行為を「記憶には残っていない」って。なんという鉄面皮ぶり。20万人を越える全国の現場警察官たちが苦笑いしている。 

この冤罪事件では、無罪だった大川原化工機の人がひとり、勾留中に必要な治療を受けられず亡くなっている。それでも反省を拒む警察官僚というのは何なのだ。