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2012年7月21日

やりきれない

大津市で中学生が自殺したニュースは、実にやりきれない思いにさせられる。

事件が起こった後に学校長や教師が行った生徒たちに対する口止め。大津市狂育委員会の隠蔽、言い訳、自己保身。親が何度も相談に行ったにもかかわらず、まともに対応しようとしなかった本来の仕事を忘れている無責任な警察。

これらにべたべたの蜘蛛の巣のような、いかにも日本的な組織の特質を感じるのは僕だけだろうか。陰湿ないじめを集団で執拗に行っておきながら「遊びのつもりだった」と言い放つ中学生の気持ち悪さ。人が死んでいるのだよ。

今日、米国のコ ロラド州で大量射殺という事件が起こった。封切られたばかりの The Dark Night Rises(バットマン・シリーズ)を上映している映画館内で24歳の男が突然 "I am the Joker"と叫んでライフル、ショットガン、ハンドガンを乱射し、観客12人が死亡、50人あまりが負傷した。

こちらも「またか」との思いが頭をよぎ る。日本人からすれば、いいかげんに銃規制をきちんと整備すべきだと感じるのだが、当地の友人はこの国では銃の問題は複雑すぎて簡単には変わらないと言う。これまたやりきれない。

銃規制についての声も上がっている一方で、銃には銃で対応すべきという意見もある。テキサス州選出のある共和党議員は、この事件について「なぜ映画館にいた他の観客が銃を持っていなかったのか不思議でならない。もしそうだったら、もっと早くこの惨事を止められたのに」と述べている。

銃を持った他の客が、その場で応戦して撃ち殺せばよかったということか。呆れた理屈である。こうしたところに、米国の危うさを感じる。

2012年7月12日

Concerts in the Parks 屋外で生のオケを楽しむということ

Concerts in the Parks と題したニューヨーク・フィルの夏の無料コンサートシリーズが始まった。今日のプロスペクトパーク(ブルックリン)をはじめ、セントラルパーク(マンハッタン)、カニンガムパーク(クイーンズ)、ヴァン・コートランドパーク(ブロンクス)で開催される。


地下鉄Fラインで出かけたプロスペクトパークは、晴れ渡った天気もあってピクニック気分の多くの観客で溢れていた。開催場所となったところは、周りをぐるっと林で囲まれた芝生。車の音など、外からの音はほとんど入ってこない。

演奏開始は午後8時過ぎ。今日は音楽監督のアラン・ギルバートがチャイコフスキーの交響曲第4番などを振った。楽団員たちもいつものコンサートホールで演奏するのとは違うせいか、「頑張って」音を鳴り響かせていた感じ。

じっとステージに見いる人だけでなく、寝っ転がって耳を傾けている人、ワイン片手に食事するのに忙しい人など、聴き方もいろいろである。


2012年7月5日

4th of July Fireworks

今日は独立記念日で、米国は祝日である。1年の中で最大の花火が行われる日でもある。NYでは百貨店のメーシーズがスポンサーとなっている花火大会が、夜の9時20分から行われた。年によってハドソン・リバー(西側)かイースト・リバー(東側)のどちらかで開催される。今年はハドソン・リバーで行われた。


川沿いの遊歩道は、芋の子を洗うような混雑ぶり。川の4カ所に打ち上げ台を設置しているらしい。隅田川で見るような「ドドーン、ドンドーン」といった腹の底に響く迫力のある大玉の打ち上げ花火はあまりないが、4カ所からの打ち上げが見事にシンクロしているのが特徴的だ。日本の花火は職人たちの経験と技、こちらはコンピュータのプログラムによる打ち上げなのだろう。

テレビではNBCがNY(ハドソンリバー)の花火を、CBSはボストン(チャールズリバーか?)の花火を生中継で放映していた。アメリカという国の最大の誕生日を、いささか(僕には)大げさと云える演出で祝っていた。こうしたイベントがあると、米国人の愛国心はひとつになって高まる。多民族社会だからこそ、何かにつけて国民全体が星条旗の下で気持ちをひとつにするような催しと演出が凝らされる。

96丁目あたりのハドソン川沿いから撮影

2012年6月29日

飼い主を訓練せよ

大阪府のある市で、散歩中の犬の落とし物の処理に困った役所が飼い主に税金(飼い主税)をかけることを検討しているという記事を目にした。

以前にも書いたが、ニューヨークには犬を飼っている人が多い。マンハッタンの中の住居はほとんどがアパート(日本で言うマンション)なので、朝や夕方は犬の散歩に出かける人で通りが溢れる。犬好きのニューヨーカーとその犬の関係については思うところがあるが、それはまたあらためて書くとして、多くの犬が町を散歩しているわりに「落とし物」が放置されているのを見たことはない。

犬だって部屋のなかに用意されたシートや犬用トイレより、外でのびのび用を足したいはずだ。それが、自然ってものだろう。だから外に連れて出てもらった時にウンチもすれば、おしっこもする。ウンチは飼い主やドッグ・ウォーカーがちゃんと拾って片づけている。これは、犬を飼う人のルール。市の条例でも定められている。

こちらの犬の大半は、どれもよく訓練されている。日本(少なくとも例の大阪府のある市)では、犬の躾ではなく、まずはダメな飼い主の躾が必要なようだ。

すべての飼い主に一律に課税したのでは、きちんと糞の処理をしている飼い主に対して不公平だろう。


2012年6月28日

夏休みの大学構内で

米国の大学の夏休みは長い。その間、キャンパスは静かで落ち着いた雰囲気である。

コロンビア大学にある芝生の上で、幼児たちが遊んでいた。どこからやって来たのだろう。近くに保育園かなにかあるのだろうか。静かなキャンパスに子どもたちの賑やかな声が流れ、ほんわかした空気が漂っていた。


2012年6月27日

グランド・セントラル駅構内のアップルストア

楽天の関連会社が年に一度NYで開催するイベントがニューヨークの老舗ホテル、ウォルドルフ・アストリア・ホテルで開かれ、僕も招待してもらったので出かけてみた。参加者は500名ほど。日本から楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷氏がやってきてスピーチしていた。

その帰り、グランド・セントラル駅でアップルストアに立ち寄った。 東側のテラスの大部分をいまアップルが使用している。展示レイアウトは他のアップルストアと共通していて、ゆったりした空間のなかで客は自由にアップル製品にさわり、操作することができる。

週末の新聞に、アップルの店員の給料に関する記事が掲載されていた。アップルストアの多くの店員は時給ベースのアルバイト。平均時給額は、11.9ドル。売上に応じたコミッションなどの追加はない。他の小売店で働く店員と比べて決して高い給料とはいえないなか、スタッフの高いロイヤルティをどうやって保っているのか、ずっと不思議に思っている。いくつかポイントがあるのだろうが、(彼らのとっての職場である)ストアのデザイン、立地、雰囲気も重要な点であることは間違いない。




2012年6月26日

何かやれば、食える

東京と比較して、ニューヨークには物乞いが多い。ただ、何も「表現」せずに小銭をせびっている物乞いは、4人に1人くらいか。あとは、何かしら「芸」をしている。

地下鉄に乗っていると、ギター片手に、あるいは数人のコーラスで歌の一節を歌い(一駅間で見せ物が終わるように)、その後、金を乗客から集めているアーティスト(?)にもよく出くわす。先日は、まだ中学生らしい黒人の女の子3人組が、アカペラでコーラスを披露し、乗り合わせた客から拍手と多くのチップを集めていた。

彼女たち、一駅ごとに隣の車両に移っては同じ芸で稼いでいた。同じ区間を行ったり来たりしながらやっているのだろう。

さほど上手くもない歌や楽器の演奏に対して、どんな人が金を出しているのか観察していて分かったのは、あまり懐具合がよくなさそうな人たちが彼らに金を渡してやっていること。逆に、金回りの良さそうな人たちの多くは、見て見ぬふりである。

アッパーウエストサイドへ向かう42丁目の地下鉄ホームに、両腕のない青年が立っている。肩から突き出た15センチほどの両腕にプラカードをぶら下げている。首からはお金を入れもらうための籠を下げている。

彼を見るたび胸が締め付けられるような気分になる。そして、ついポケットのなかで何枚かの札を数えたりする。それでも僕は、まだ彼に「施し」を与えたことはない。どうも後ろに「マネジャー」がいるような気がしてならないから。

舗道に作品を作成するアーティストも多い。翌日には消えてなくなる

2012年6月25日

夏至を過ぎ、今はまだ8時半くらいまで外が明るいけれど、これから日没の時間が少しずつ早くなっていく。

陽が落ち、次第にあたりがほの暗くなりかけてきた頃、ハドソン川沿いのリバーサイドパークのいくつかの場所で、螢の乱舞が始まる。散歩の帰りしな、両手のひらで一匹すくい、アパートに持って帰ってきた。・・・ゲンジボタルだ。

2012年6月24日

Brooklyn Museum

ブルックリン美術館へ。ミッドタウンからは、地下鉄に乗って20分ほどの距離である。ここは、ニューヨークではメトロポリタン美術館に次いでの規模を誇っているらしいけど、館内を歩いた印象ではそれほどの規模という感じはしない。館内のレイアウトがすっきりしていて分かりやすいのがその理由かもしれない。

近代・現代美術のコレクションはMETやMoMAにはるかに及ばないが、アジアや中東など非西洋美術のコレクションとそれらの展示には趣向が凝らされ、マンハッタン内の美術館といかに差別化をはかるかが考えられている気がする。

駅からすぐだし、週末でもあまり込んでいない。すぐ隣に植物園や公園があるのもいい。
http://www.metmuseum.org/


2012年6月21日

Wall Street Walk Tour に参加

午前中、コロンビア大学ビジネススクールが主催するウォール街のウォーキング・ツアーに参加。以前、ウォール街の金融機関で働いていた女性がガイドとして周辺を案内してくれた。今日はとても暑かったが、ひとりで散策するだけではわからない各建物のいわれなども聞けたので、まずまず。

右手のバーガーキングの広告が下がっている建物がニューヨーク証券取引所

ワールド・トレード・センターあとに建設されている1 World Trade Center ビル
NYで最古の歴史を持つトリニティ教会。その向こうに1 WTC。

2012年6月20日

名和晃平と琳派

クロイスターを訪ねた後、メトロポリタン美術館のジャパニーズ・ギャラリーで開催中の琳派展を観に行く。名和晃平のPixCell-Deer#24(2011作)が琳派のひとつのコレクションとして展示されている。こうした解釈の自由さがメットらしい。

http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2012/rinpa-aesthetic 



これぞ、Museum & Gardens

南北に細長いマンハッタン島のほぼ北端に、メトロポリタン美術館分館のクロイスターズがある。

地下鉄のAトレイン(デューク・エリントン楽団の「A列車で行こう」のA Trainだ)で190丁目まで行き、そこからフォート・トライオン公園を通り抜けると中世の修道院を模した赤茶色の建物が現れる。
http://www.metmuseum.org/visit/visit-the-cloisters/

クロイスターズのクロイスター(cloister)は、修道院の回廊のこと。南フランスにあった修道院のロマネスク風回廊をニューヨークへ運びこんで作られた。

スポンサーは、あのロックフェラーだ。ロックフェラーにしろ、カーネギーにしろ、アメリカの大富豪には文化的で精神性の高い社会貢献活動を残した人びとがたくさんいる。


2012年6月18日

眼下にマンハッタンを見る

モントリオールからニューヨークへ帰るフライトで、窓からマンハッタン島が見えた。真ん中に見える巨大な長方形がセントラルパークである。


2012年6月12日

ニューヨークの Korean Town

日本では法政大学で教えている韓国人のK先生とミッドタウンのコリアン・タウンへ。エンパイアステート・ビルが間近にそびえる32丁目のエリアである。K先生のお薦めのKumGangSanという老舗の韓国料理店でランチをする。カルビがうまい。キムチもうまい。


ランチの後、彼が気に入っている韓国料理屋や食料品店をいくつか案内してもらいながら、コリアン・タウンの通りを往復した。そのなかで一軒だけ、あの店は行かない方がいいと彼が指さしたのが「ニューヨーク・コムタン」という店だった。料理だけでなくサービスも酷い、と彼だけでなく彼の奥さん(韓国人)も言っているとか。

実は、僕はその店のことは「ニューヨーク美術散歩」という本で知っていた。その店が、NYに住む著名な日本人画家のお気に入りの店だと僕は彼に言えないまま、われわれは地下鉄の入口で分かれた。

2012年6月7日

『ニューヨーク美術案内』

今年2月末にニューヨークへ来た時、荷物はスーツケース1つとデイパックだけだった。スーツケースは、出発前に近所のイトーヨーカ堂で「海外旅行一週間用」と書かれたシールが貼られていたものを買い、それで済ませた。(僕がこちらで部屋を探している時にお世話になった不動産屋さんによると、彼女がしばらく前に世話をした日本のある官庁の役人は、NYに赴任してきた際に日本から鍋釜をはじめ、家族の人数分の羽毛布団まで持って来たらしい)

切り詰めたスーツケースの荷物のなかに、日本の本を2冊だけ入れて持って来た。その一冊が、千住博・野地秩嘉『ニューヨーク美術案内』(光文社新書)だ。ライターの野地と画家の千住が、NYの美術館とギャラリーを観て歩くという本である。

紹介されている美術館は、メトロポリタン美術館とMoMA、フリック・コレクション、またチェルシーにあるギャラリーがいくつか取り上げられている。野地が冒頭で、「今の時代、贅沢とはモノを持つことではない。(中略)わたしの場合の贅沢とは簡単だ。楽しみ方を教えてくれる人、快感を伝えてくれる人と過ごす時間が贅沢と言える」という指摘にうなずく。

僕は、自分の専門外である絵画や彫刻の見方をこの本から教わったような気がする。千住は、美術館で本物の絵に接するすばらしさを「絵から50センチの距離に立ってみる。するとその作者もかならずその位置から自作を見ていたはずであり、これはまさに作者の身になって物を見る、物を考える、ということに他ならない。マジックハンドでも使って描かない限り、人間の腕の長さは似たようなもの、かならずこんな距離から絵に筆を入れていた。そう思うと筆致や呼吸まで追体験できてくる」と語っているが、この本を読めば、僕はまたそう話す千住がここに立ってこの絵と対峙していたのかと思いながら作品の前に立つことができる。

ところで、この本の中で千住はまた、美術評論家と画家の違いについて語りながら、画家である自らを「わたしは自分のことを『飛行機の(なかの)獣医』だと思っています。自分は絵を描いているから、その立場に立てば、何に対しても解説ができる」と述べている。彼はここで、美術評論家は専門教育を受けているがために、自分の学んだカテゴリー以外について発言しないとその不自由さを指摘している。専門家の危うさと怪しさは、アートだけでなくどの分野にもある。

2012年6月4日

夕暮れのハドソンリバー

このところ雨が多い。一日中降ることはあまりないが、日に何度かシャワーに襲われる。その合間を縫ってハドソンリバーを見に行った。

2012年6月3日

ロウアー・マンハッタンへ

朝、友人のDから「MoMAへ行かないか」と誘いの電話が入る。メンバーなので、彼と一緒なら通常25ドルのところが5ドルで入館できるそうだ。

「昨日行ったばかりだよ。しかも、タダで」と答えて丁重に断る。その代わり、彼が美術館を出た頃に一緒にお茶をする約束をする。彼も特別展で開催されているシンディー・シャーマンが目当てだとか。

ミッドタウンで落ち合い、その後お茶を飲んだ後、2人でロウアー・マンハッタンまで5番街を歩く。その後チェルシー・マーケットやハイライン・パークなど、お喋りをしながら5時間近く歩いた。ユニオンスクエアのグリーン・マーケットやグリニッジビレッジのチョコレート専門店で彼の友人をたくさん紹介してもらう。チェルシーのギャラリーまわりもしたかったが、それは時間切れで次回に。

5番街とブロードウェイ、22丁目の通りに囲まれたフラット・アイアン・ビル。

2012年6月2日

金曜日のMoMA は入場料無料

普段は5時半に閉館してしまうMoMA(ニューヨーク近代美術館)が、金曜日だけ夜8時まで開館している。しかも、4時からは入場料が無料になる。Target Free Friday Night という、小売店のターゲットがスポンサーになって行っている粋な計らいである。

実は今日は、それを目指して行ったわけではない。たまたま3時半くらいにMoMAの前を通りかかったら、そこには長蛇の列。ああそうか、今日は金曜日かと思い出し、その後の予定もなかったので僕もフリーチケットを求めて列に並ぶことにした。

6階で開催中の特別展は、シンディー・シャーマンの作品展だった。彼女は、確かいま米国でもっともプリントの値段が高い写真家の一人である。作品はこれまで写真集で何度も見ているので特に目新しいものはなかったが、巨大に引き伸ばされた生のプリントで見るとまたちょっと印象が異なる。下は、工事中の外壁を覆った囲いに貼られたディスプレイ。これもMoMAらしい。

2012年5月28日

5月の連休@セントラルパーク

5月の最終月曜日(5/28)は Memorial Day(戦没者追悼記念日)で、国民の休日になっている。米国では、この日を境に夏が始まる。もっとも米国人の友人が言うところでは、連休前日の金曜日の夕方から(気分的には)夏が始まるのだとか。

今日は連休のなか日で、街全体がのんびりした感じ。今の時期、夜の8時を過ぎても空は明るい。夕方、何のあてもなくセントラルパークへ散歩に出かけた。緑がきれいだ。


メトロポリタン美術館の裏手あたりで見かけた Cleopatra's needle と呼ばれるオベリスク。紀元前16世紀ごろにつくられたもので、1881年にエジプトからニューヨーク市に贈られたと表示してあった。高さ21メートル、重量約80トンという代物である。住まいの近くに同じ名前のレストラン&ジャズ・バーがあって、日本人のプレイヤーもよく出演していることもあり時折出かける。店の名の由来はここからだったのだろう。

セントラルパークのほぼ中央にあるGreat Lawn

 夕陽を水面に映したThe Pond という名の池
 
その池のすぐ近くにあるBelvedere Castle

近くに寄っても逃げない公園内のリスたち

2012年5月25日

Steve Tyrell

アッパー・イースト・サイドにあるCafe Carlyleで、スティーブ・タイレルのコンサートがあった。ここはローズウッドホテル・チェーンが経営する名門ホテル・カーライルのなかにある。ウディ・アレンもこのステージで時折演奏している。

彼の「Back to Bacharach」は、ずっと僕のお気に入りのアルバムで、バート・バカラック本人がピアノやアレンジを行っている。どの曲も、何度聞いても飽きない。一度、彼の歌を生で聞いてみたいと思っていたところだった。


リンダ・ロンシュタットやロッド・スチュアート、レイ・チャールズ、スティービー・ワンダー、ダイアナ・ロスなど数多くのアーティストのプロデュースをやって来た人。B. J. トーマスが唄ったバート・バカラックの「雨に濡れても」(映画「明日に向かって撃て」でブッチ・キャシディ役のポール・ニューマンとエッタ・プレース役のキャサリン・ロスが、自転車に乗ってデートをするシーンで使われた)を世に出した。

音楽プロデューサーとして、歌手に歌わせる曲のデモを吹き込んだりしていたところ、音楽仲間に勧められてそのまま自分も歌手デビューした。1999年、50歳でのデビューである。

なめらかな美声ではない。まったく逆で、しわがれた、どちらかというとダミ声である。しかし、彼が歌うジャズの曲は、それが他の多くの歌い手たちが歌ってきたスタンダードであっても、まるでその声であらかじめ歌われるのが決められていたかのように感じる。

隣の席に座っていた男が彼の友人だとかで、コンサートが終わった後に紹介してくれた。ぜひまた東京(東京ブルーノート)公演をしたいと言っていた。記念写真を一緒に撮った。