2024年3月22日

Grabのドライバーと

シンガポールでは移動手段としてのグラブがとても便利だ。アプリが使いやすく、仕組みがよく出来ていることに感心する。まだ使用経験はそれほど多くなくあくまで個人の印象のレベルだが、運転手は既存のタクシーに比べて全般的に若く、対応やサービスもよい。

これまで乗ったグラブ・タクシーの運転手は、全員が日本で言う「脱サラ」のドライバーだった。

働いている時間が長いことをぼやいたりしているものの、彼らの全般的な仕事の満足度は高い。まず、働く時間も含めて自分で自分の仕事をコントロール出来ること、組織に縛られない気安さをみんな強調する。ストレスが極度に減ったことを喜んでいる。

だから、客に対するサービスも向上する。乗客の満足度も高まる。客は降車後にアプリへ送られてくる領収書を確認し、ドライバーを評価する。乗せた客からの評価がよければ、ドライバーは仕事がさらにやりやすくなるだけでなく、気持も良いはずだ。いいサービスを続けようと考える自然な動機づけになっている。仕組みがよく出来ている。

 
今朝、宿から空港までの移動で乗ったGrabドライバーは、母方の祖父が日本人だと話した。第二次戦争のとき日本軍の兵士としてシンガポールに来て、終戦後そのまま残ったのだという。

彼が小学生の頃に亡くなったらしいが、子供の頃に抱かれた彼の手はまるでアスファルトの道路面のようにザラザラだったと言った。戦争が終わった後シンガポールに残り、ずっと金属を磨く仕事を続けていたからだとか。その人は日本には一度も戻らなかった。母親になぜ彼は一度も生まれた国に帰らなかったのか聞いたことがあるが、教えてくれなかったと話してくれた。

わざわざそんな作り話をするような人物には見えなかった。本当の話だろう。そんな話を助手席に乗って移動中に聞けるのもGrabを選ぶ理由のひとつになっている。