2012年8月16日

Reality Straight Ahead

ブロードウェイのガーシュイン劇場にWickedを観に行った。初演が行われたのが、2003年10月。席数が1900を超えるこの大劇場で、9年近くロングランを続けている。

物語は、もう一つの「オズの魔法使い」。アメリカ人ならほとんど誰もが知っているこのお話を下敷きにしたところが上手い。大人だけでなく子どもも楽しめ、しかもそのなかに異端者への抑圧と友情、自己犠牲などのテーマが折り込められている。

これまで多くの役者が演じてきたのだろう。今のブロードウェイを代表するミュージカルならではの群を抜く素晴らしいキャストだった。

休憩を挟み、全体で2時間45分ほどの長い芝居だが場面の展開が多く、観る者を飽きさせない。魔法で羽を得て空を飛べるようになった猿が観客席の上を飛ぶなどのケレン味もたっぷり。舞台装置や照明も「魔法の世界」を感じさせるものだった。

終演後、出口へ向かうと扉の上に Reality Straight Ahead(この先は現実の世界)とあった。うまい。