少し残念だったのは、訪問地はどこもお仕着せの見学コースのみ。説明も型どおりといった感じだ。当たり前だが、とにかくよくコントロールされている。見せたいものと見せたくないもの、聞かせたいことと聞かせたくないこと、それらが独自の基準ではっきり線引きされているのだろう。
かつての日本のつくば学園都市に似た都市開発が、つくばの時とはまったく異なる時間軸の中で推し進められている。そのスピードと勢い、また計画自体の思い切りのよさには目を見張る。
慶応大学で、元グーグル日本法人社長の辻野晃一郎さんの講演会があった。
彼は、グーグルでの3年間を振り返って「グーグルの連中には、宇宙のどこかから地球を眺めているような視線を感じた」と語っていた。そのとき彼が会場のスクリーン投射したグーグル・アースによる地球の映像が、その意味するところをより的確に伝えていた。
また、日本人や日本企業の視線がいかに内向きで閉ざされたものかを指摘していた。例えで彼が挙げていたのは、日本のメディアによる報道の内容のいびつさである。まったく同感だ。
NHKをはじめ、日本のどの報道機関も明からに国内最優先である。確かに視聴者は日本人だから国内の出来事を中心にという考え方なのかもしれないが、あまりにバランスが悪い。というか、海外なんて面倒くさいというような編集方針すら透けて見える。