大学から1年間の特別研究期間をもらって、外国に出た。
最初の滞在地は、シンガポール。ここで数ヵ月、シンガポール国立大学(NUS)をベースにして活動をする予定だ。
日本を出るときにはコートを手にしていたが、ここでの正しいスタイルは、半袖シャツに短パン。とにかく日中は暑い、そしてムシムシする。夕方には突然、スコールのような雨に襲われる。ただ、天気に文句をいっても仕方ないので、こればっかりは適応するしかない。
今日はこれまでの暑さでいささか疲れ、午後は宿で少し長めの昼寝をとった。そして、夕方からはいつものように町の散策へ。
歩いていると、町の中心部にSMU(Singapore Management University)の広いキャンパスがあった。一般の人たちもそのキャンパスのなかを通り過ぎている。
タウンホール(市庁舎)の方に足を進め、その後近くのラッフルズホテルで夕食をとることにした。Burger and Lobsterというレストランでロブスターロールを。7時までのハッピーアワーにギリギリの時間だったので、ビールとワインを一緒に頼んだ。
ほろ酔い気分になったので、食事の後はそのままラッフルズホテル内のLong Barへ。カウンター席の目の前に置かれたのは、落花生が入った麻袋。おつまみなんだろうと、遠慮なくいただく。
しばらして、バーのスタッフに「正しい落花生の食べ方を教えてくれ」といったところ、殻は構わず床にそのまま捨てるのが正しいやり方だとか。19世紀からの習わしで、マレー人の何とかがといったその事の起こりも説明してくれたが、頭に入らなかった。ただ、それが今も続くトラディションか、との問いに彼がYesと答えたのは覚えている。
隣の席に女性の一人客がやって来て、グラスを前にして手持ち無沙汰にスマホをいじり始めた。さっき聞いたばかりの(少し記憶が怪しげだが)落花生にまつわる話をしたら面白がってくれた。
天井の団扇が扇いでくれる
ここシンガポールには数ヵ月の滞在予定。その間に周辺の国を回るつもりである。夏はロンドンをベースにして、まだ行ったことのない欧州の国をまわりたいと思っている。
もうバックパックは背負っていないが、それに近い形の一人旅だ。高齢者の仲間入りをした身で、果たしてこれからどれだけまだ見たことがない新しいものを見ることができるか。