パスポートの更新のため、センター南駅構内にある県のパスポートセンターへ出かけた。
そこは申請用と受付用で合計7つの窓口があるのだが、どの窓口もガラガラ。これなら、さっさと手続きが済みそうだと嬉しい予感。ところが・・・
あらかじめ外務省のサイトで作成し、自宅でプリントしておいた申請書を窓口に出す。すると、係りの女性が物差しを取り出して申請書類にいろんな角度で当てだした。一体なにをやっているのかと思って見ていたら、「上の白紙部分が3ミリ長いです」と言う。
何のことか分からず説明を求めると、書類の書き始めまでの余白が3ミリ長いため申請書を受け付けられないと言う。24ミリでなければならないのが、27ミリあるからだからダメだと。
上を3ミリ分縮める必要があるのであれば、その分カットしてくれと言ったら、それはできないと言う。
カットできないのであれば、コピー機で101%に拡大してくれといったら、コピー機は使えないと返ってくる。まったくお手上げ、木で鼻を括ったような対応。
忙しくて人手がないというわけではない。7つある窓口には僕以外の客はいないのだから。閑すぎて、物差し片手にミリ単位で書類のチェックをするしか仕事がないのだろう。
仕方なく、その場で新たに紙の申請用紙に必要事項を記入し直す羽目になった。
と思ったら、今度は写真だ。写真に写る顔が2ミリ小さいので受け付けられないと言う。ここの窓口担当も物差し片手にしゃべっている。写っている顔写真の頭の部分から顎までの長さが2ミリ足りないので、写真の撮り直しが必要だと言う。
顔の長さが2ミリ小さいと、パスポートとして出入国の際に不都合が出るとでもいうのだろうか。これまた中身のない、お役所仕事の典型。かつ、閑な職員の時間つぶしなのだろう。
仕方ないので、同じ建物の2フロアー上にある証明写真のインスタント撮影機に再び1000円札を滑り込ませて撮影した。
すると、窓口の女性曰く、今度のも小さいと。苦虫をかみつぶしたこちらの顔に気づいたのか、「奥で確認してきます」とその写真をもって裏の事務所スペースへ消えた。
こちらが待つカウンターへ戻って来て、「再撮影されたものなので、これで受け付けます」と。どういうこと? 再撮影だろうが、再々撮影だろうが、それは関係ないことである。
そうしたことを判断の基準にしていること自体が、完全に不適切なことすら分かっていないみたいだ。
さらには、「受け付けます」といったかと思いきや、写真を詳細に眺め、「頬の横あたりが少し緑がかっていますがいいんですか」とか「眼鏡のフレームの影が頬に映っているようですが、いいんですか」と訊いてくる。
想像するに、パスポートセンター付属の写真スタジオで撮影をやり直させたい模様。見合い写真じゃあるまいし。写真スタジオと何か利害関係でもあるのか。
最後、「書類内容を審査して26日以降の受取になります」と言われたが、平気で「審査」という言葉を使う神経に怒りを感じる。
審査とは「詳しく調べて適否や優劣などを決めること」。パスポート申請の書類には名前とそのローマ字読み、住所、本籍、生年月日、緊急時の連絡先しか書かれていない。それを「審査」するというのは言葉遣いが間違っている。確認なら分かるが、審査には「発給してやる」というお上根性がベースにある。明らかに上下関係の存在を前提にしているわけだ。
とにかく彼らの仕事は、県民が提出した申請書類に書かれた名前や住所などを住基ネット上のデータと照合するという単純なもの。正規職員をオフィスに何人も配置してやらせる仕事ではなく、AIで完全に代替できる。
10年用のパスポートなので、県のパスポートセンターでそれを受け取ったら、もう人生のなかで二度と行くことはなさそうだし、行きたくもないと思っている。
ところで写真のサイズと云えば、先日、運転免許証の更新をしたとき、こちらは逆に写真に写っている顔が大きすぎると言われて、最初、受付を拒否された。
警察署の担当窓口の女性に言わせると、肩幅がちゃんと分かるような写真でないとダメだと。その理由を尋ねたら、両肩が写ってないと「体格」が分からないからだと言う。
免許証に貼られているようなサイズの写真で体格まで見ようというのが、どだい無理なのではないか。
写真で体格が分からないとダメだというなら、シャツやジャケットを着たままの写真ではもともと無理なのは明らか。警察は、体格を言うのであれば男であろうが女であろうが上半身裸の写真を免許証に要求すべきだ、なぜそうしないのかと迫ったら黙ってしまった。
そして、運転免許証用の写真は撮り直さずに済んだ。やれやれ。
どちらも仕事は閑な奴らにやらせてはダメだという見本。
