2025年2月1日

おじさん、生きてろよ

1月28日、埼玉県八潮市の県道が陥没し、道のまんなかに穴ができた。

トラックを運転していた男性(74歳)は、道路を左にカーブした先にあったその穴に突っこんでしまった。だってそんなもんあるとは思わないもんなァ。

(TBSテレビから)

それからまもなく100時間が経とうとしている。丸4日が過ぎているにもかかわらず、彼の安否さえ分からないらしい。一体どうなっているんだ。報道では「懸命な作業が続けられており・・・」と型どおりの原稿をレポーターが読んでいるだけで、実にイライラさせられる。 

穴が周囲に拡がっていくのを恐れ、離れた場所から土木工事によってスロープをこしらえ、それができた後、重機で穴の中に入って行って・・・というプランらしいが、運転席にいるはずのおじさん一人を救い出す他のプランは考えられないのか。

二次被害を起こさないためとか、救助隊員の安全を確保してから本格的な捜索をとか、聞いていてまどろこしくてどうも仕方ない。事故対応への初動の判断と行動が遅いから、穴が時間とともにこんなに拡大したというのもあるんじゃないか。

事故発生時の現場のビデオ映像をみると、トラックが落ちたときはまだその荷台が地面の上に出ているくらいの状況だった。

時間が経つにつれて穴が拡がり、周辺が崩落し、水が流れ込んできた。それらは予想できたこと。寸暇を惜しんで、とにかく穴に落ちたトラックから運転者を引っ張りだすことに集中してれば、今のような、やれ低気圧が近づいてきて天気がどうの、水の流入量がどうの、積み重なった瓦礫の量がどうのといった消防庁の言い訳ばかり聞かされる事態にはならなかった。

本気でおじさんを救い出そう、助けようという気持ちがレスキュー隊にないように見える。それより救助隊員に何かあったら、今時だから自分がどう責任を問われるか分からない、という消防庁幹部たちの心の声が聞こえてくるようだ。

穴に落ちたのがトラック運転手のおじさん(74歳)じゃなく、もしそれが「乗用車を運転していた八潮市内に住む主婦A子さん(35歳)と娘のB子さん(10歳)、息子のC君(7歳)の3人家族」だったら。あるいは、「ポルシェを運転していたタレントの中居正広氏」だったら。

レスキュー隊の対応もメディアの報道もまったく違っているはずだ。違う? 

理不尽である。穴に落ちたおじさんには何の瑕疵もないのに。気の毒でしょうがない。

おじさん生きてろよ、と、祈る。