元旦の日本経済新聞、特集ページ「ニッポン2025」のリードである。
2050年は働けるまで働く「生涯現役」が常識となる。医療技術の進展により、健康で長生きする高齢者が増える。人工知能(AI)活用で、自分の能力が活かせる職場が摩擦なく見つかる。定年による労働市場からの一斉のリタイヤは過去のものとなり、誰もが能力と意欲に応じて、溌剌と社会に貢献する未来が訪れる。
「溌剌と社会に貢献」に、正月早々アホかと苦笑いしてしまった。どういった根拠でこんな荒唐無稽で、かつ身も蓋もない<未来>を勝手に決めつけるのか。
またその記事中に、こんな記述がある。
内閣府によると、60歳以上の6割が70歳までかそれ以降も働きたいとの意向を持つ。うち2割は「働けるうちはいつまでも」働きたいと考えている。三菱総研の試算では、働くシニアが増えることで2050年の税収は現状よりも5.3兆円の押し上げ効果が見込める。
人間を、企業が売上を上げるための単なる生産手段、かつ税を支払い続けるための国の奴隷と考えてる。
正月早々から読者を実に憂鬱にさせるブラックジョークだ。
近くに市の合同庁舎がある。その1階はハローワークになっていて、そこのロビーには求人票が貼り出されている。定年退職をした高齢者が就ける仕事内容は、ビルの清掃、工事現場の交通整理員、マンションの管理員、食品会社(コンビニ弁当工場)での夜間作業、倉庫での宅配用荷物整理、スーパーの品出し業務など。
「溌剌と社会に貢献する未来」だとか書いた新聞記者は、一度、ハローワークで現実を見た方がいい。頭の中で勝手なことを想像しているだけだから、こんな記事になる。