生成AIが仕事に急速に取り入れられていて、会議の議事録をまとめたり、販売データをもとにした報告用の資料などを作ってくれたりする。
AIは文章でも図表でも、たじろぐことも戸惑うこともなくあっという間に作成する。全能感を思わせるそのアウトプットのスピードにオフィスで働く人たちは感心し、手放せなくなる。
ただし、生成AIの回答にときおりギョッとさせられることも多い。たとえばデータの解釈だ。
見せかけの相関のなかには、いろいろと笑わせてくれるものがある。下記のグラフでは、2000年から2009年におけるマーガリンの一人当たり消費量と米国メイン州の離婚率のトレンドが相関係数0.99という強い関係にあることが示されている。
その理由を生成AIに説明させると、以下のように解釈する。
おそらく、マーガリンの使用量が減るにつれて、人間関係もギクシャクしなくなったのだろう。人工的なスプレッドがないため、カップルがお互いにバターを塗り合うことがなくなり、全体的な夫婦喧嘩の減少につながったのかもしれない。バターでないことが信じられない現実、それは夫婦関係の成功の秘訣なのだ。あるいは、マーガリンの消費量が減るにつれて、全体的なヌルヌル状態も減り、パートナーが結婚生活をうまくコントロールできないと感じるケースが減ったということも考えられる。
おもしろい。米国メイン州の夫婦はケンカをすると相手にバターを塗りつけようとするらしい。新説である(意味不明のところがあるが)。
ここまで解釈がぶっ飛んでいると、さすがに小学生でも変だと気づくけど、そうじゃないAI作成の文章で専門家でも見紛うものがネット上を中心にいくらでもある。人が書いたのものか、AIが書いたのものか、多くの場合、その判別がつかなくなっている。
結局、今のところは説明の内容をどう判断するかは人の知識と経験、常識に頼るしかない。
それこそ何でもAIに代わりに考えさせていると、ヒトの頭脳はあっという間に判断能力を失い、機械に乗っ取られてしまいそうだ。
ついでに、生成AIに上記の説明に沿った画像を作成するよう命じたら、こんなのが出てきた。笑える。州の90パーセントが森林だというメイン州の雰囲気は確かに良く出てるかも。
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バター版 |
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マーガリン版 |