2025年1月17日

「30年以内に80%程度」の分かりづらさ、いい加減さ

これまで、「30年以内に70〜80%」と言っていた南海トラフ地震の発生確率を、政府の地震調査委員会が「30年以内に80%程度」と変更した。

この変更から我々が感じることは、以前よりさらに地震が来る確率が高くなったということだろう。この変更は、新しいデータをもとに検討しなおした結果らしいが、どういったデータをどのように分析すればそうした数字が出てくるのか公表されていない。

「30年以内に80%程度」とは、あした南海トラフで大地震が起こることと、30年経っても何も起こっていないことの両者を含んでいる。これって、どれだけ意味があるのか?

「30年以内に80%程度」と言っている地震学者たちは、30年後にはもういないんだろう。たとえ生きていても、もう研究の表側から消えている。30年後、地震も何も起こらず、彼らが見つかり引っ張り出されることがあったとしても、「20%の確率で起こらないことを示している」と言えばそれで済む。

30年以内の発生確率を数字で言うのだったら、一緒に10年以内、5年以内、1年以内の発生確率も言ってみろと思う。科学的な視点からは、30年先の未来を予測するより、この先1年を予測する方がずっと容易なはずだ。

それをやらないのであれば、そもそも具体的な準備に役立つわけでもなく、また検証しようもない確率をさも科学的な衣を着せて発表するのはやめた方がよい。

こんなことやって、研究予算や防災予算を獲得している連中だけが納得し、ほくそ笑んでいるような気がする。

地震はいつ起きても不思議ではない。だから、つねに起きたときのことを考えて備えておく。結局は、これしかない。