「日本人とは何か」を考え続け、日本中を旅した日本民俗学の開拓者は、ニューヨーク・マンハッタン生まれのナンセンス・ジョークの天才コメディアンだった。
2023年1月24日
2023年1月22日
2023年1月21日
隠れミッキー
東京から南へ1800キロ。
プールサイドのデッキチェアで本を読んでいたら、休憩時間らしいホテルのスタッフがふたりやって来て何やら探しものをしている様子。
「このあたりに隠れミッキーがいるって言われて」と言うので、彼女らと一緒に探すことに。
ほどなく、それらしいのが見つかった。
2023年1月20日
犯人の顔にボカシがいるか
関東周辺で3人組に店舗などが襲われる事件が続いている。
NHKのニュースでその事件が取り上げられていたが、防犯カメラに写った犯行現場の映像で、なぜか押し入った犯人らの顔に「ぼかし処理」が施されているのが気になった。
せっかく防犯カメラに記録された映像で、犯人逮捕のための貴重な手がかりだ。押し入って犯行を働いているのは明らかで、その犯人はまだ捕まっていない。
であれば、少しでも多くの人にその映像を見てもらい、犯人についての情報が警察に寄せられるようにすべきはず。その犯人らの映像を放送するときに、肝心の顔にわざわざ手を加えてボカすのはなぜ?
顔にボカシを入れる一般的な理由は2つ。ひとつは、人権やプライバシーに考慮して。ということは、今回の場合、容疑者たちのプライバシーにNHKが考慮したのか。
ふたつめは、肖像権侵害で訴えらえないように手を打って。相手が誰であれ、訴えられないようにするため最大限注意を払っておくというのがNHKの習性。
あるいは、さらに考えられる別の理由としては、写ってる犯人が自分たちだからというのもあるな。
とにかく、NHKの報道局の人は、こうした見せ方を誰もおかしいと思わないのか。とっても不思議だ。
頭のなかが輻輳している日本の副総理、副総裁
ニュージーランドのアーダーン首相が辞任することを発表した。
彼女は昨日、「もはや私にはきちんとこなせるだけの力がない。満タンの状態で、かつ予期しない課題に備えて余力がある状態でない限り、国を率いる仕事はできないし、するべきでもない」と述べたという。外国のメディアでは「burn-out(燃え尽き)」という言葉が用いられている。
彼女はまだ42歳。2017年の総選挙で政権交代を実現し37歳で首相に就いた。首相として産休を取得したり、国連総会へ赤ちゃんを連れて出席するなどが話題になっていた。
一国の首相というトップの仕事は、超ハードなんだろう。そうかと思うと、日本にはこんなボケた老政治家がいまも重要なポジションに長々としがみついている。
麻生太郎という日本のフクソー理、自民党のフクソー裁が、地元である福岡県で行われた講演会で「少子化最大の要因は女性の晩婚化」と訴えた。自分の財布の中身など気にしたことがないボンボンが、無神経な浅慮の発言をまたしでかした。
それに対して各方面から異論や批判が噴出した。まあ、そりゃそうだろう。例えばネットの掲示板での「1番の理由は女性も馬車馬のように働かないとやっていけないからです。馬車馬のようにストレス社会で働き、家の事もし、子育てをするのは無理ゲーです」という女性からのブーイングはその一つで、当然である。
年齢の問題ではない。実際、たとえばスウェーデンやフランス、英国といった日本より出生率が高い国の女性の平均結婚年齢は日本より高いのだ。
このオッサンの頭は輻輳(フクソー)している。脳みその中身がこんがらがった、こうした手合いこそが、一刻も早く辞任してもらいたい。
ガキの頃からお坊ちゃん育ちで好き勝手言い放題。周りの大人がきちんと咎めたり、たしなめたりしないまま育てるとこうなる。
2023年1月9日
「多様性」への姿勢をカタチにする
白杖を手にしたマージェリーという女性が登場するマスターカードのコマーシャル。彼女が自分の家を出て、周囲のいろんな人たちと挨拶をかわし、いつものお気に入りのカフェでラテを注文する。
広告会社のMacCannが制作したこのコマーシャルでは、視覚障がい者である彼女の世界をスポットライトを使って効果的に表現している。
彼女の財布に収められたTouch Cardと呼ばれるカードの脇には、小さな刻み目が付いている。四角い刻み目はクレジットカード、丸はデビットカード、三角はプリペイドカードだ。
ちょっとした工夫で、健常者の便益を何も損なうことなく視覚障がい者の手助けとなっている。いいね。
世の中の多くの企業、いやほとんどの企業がダイバーシティ(多様性)の大切さを語り、自分たちはそれを心がけていると声高に謳っているが実際は口先だけ。
そうした企業の経営者が思うところの薄っぺらなダイバーシティは、せいぜい会社の女性管理職比率を少しばかり上げることに終始している。経営者が真剣に考えていないから、消費者に何も響かない。
このコマーシャルは、ちょっとした工夫が大きな効果と共感を生むことを教えてくれる。必要なのはイマジネーションだ。
何たらPayといったアプリと違い、実際に手に触れることができるクレジットカードならでは。
ところで、CM中でマージェリーが訪ねたカフェはバニラ・ラテが4ドル50セント(約600円)する。日本でも物価上昇が叫ばれているが、米国に比べればいかにまだ安いか分かる。給料も安いが。
2023年1月7日
おとぎ話のような実話
映画『ドリームホース』の舞台は、ウェールズの小さな村。昼間はスーパーのレジ係、夕方からはバーで働くかたわら、近くに住む両親の世話に追われている一人の主婦が主人公。連連と過ぎる日常にどこか鬱々とした気持ちをかき消せない日々を送っていた彼女が、たまたまバーで馬主の話を耳にし、村の連中を巻き込んで馬主組合を立ち上げて馬を育てることになる。
これ、作り物の話ではない。もとのドキュメンタリー映画があり、それをベースに本作がつくられた。お話は実話ということもあって、筋書きはシンプル。だけどシンプルだからこそ、多くの人たちの琴線に触れるものになっている。主人公の彼女(ジャン)は私であり、あなただからだ。
舞台になっているウェールズの風景が美しい。映画を観たあと、偶然、ウェールズに暮らす学生時代からの友人からメッセージが来た。
音楽好きな息子とSohoのレコードショップにいて、Japanese Ambientというコーナーを見つけたが何がいいのか分からないのでアドバイスしてくれという。
日本の環境音楽について僕にはすぐに返信できるような知識はない。彼らがいる店に在庫があるかどうかしらないが、とりあえず坂本龍一と武満徹はどうかと返信した。たまたまこのところ、仕事しながら彼らの音楽を聴いていたというだけの理由なのだけど。
映画『ドリームホース』では、むかし彼からもらったManic Street Preachers のCDに収められてた曲が劇中で使われていたこともあって、映画を観たよ、と伝えたら、今度よかったら厩舎に案内してやるよって返ってきた。いまもそのままその村に残っているらしい。2023年1月4日
神曲か、カニカマか
元旦、暦が2023年に変わってまもなく、ニューヨークの友人Dからニューイヤーメールが届いた。そのなかで、彼がいま読んでいる本としてダンテの『神曲』をあげていた。神曲!
彼とは35年を超える付き合いだが、「最近、何か面白い本は読んだか。自分はダンテの『神曲』にはまっている(I’m doing a deep dive into Dante’s Divine Comedy)」というメールを受け取るとは思ってなかった。
僕は『神曲』は読んだことがないし、これまで読もうと思ったこともなかった。だが彼が、
It feels like I’m visiting another planet for the first time. This is something I never thought I’d be able to tackle but I’m having the best time with it.
と書いているのを読んで、ネット書店に注文した。別の惑星を初めて訪れているような読書体験ってすごいじゃないか。これは読んでみなければと思わせる。
日本語訳には、イタリア文学者の須賀敦子さんがその<地獄篇>を訳している版もあるのを知ったという理由もある。
今朝、宅配便が届き、箱を開けてみると、そこには『神曲<地獄篇>』とその翌日に注文した清水ミチコ『カニカマ人生論』が入っていた。
さてどっちから手に取ろうか。ダンテの神曲か、みっちゃんのカニカマか。
2023年1月3日
ミルトン・グレイザーのイラストレーションが出てきた
最近では音楽を配信サービスで聴くことが多くなったが、毎年正月の休みにはレコードを聴いて過ごすことにしている。
むかしは当たり前のことで何でもなかった、ターンテーブルを操作したり、レコードを裏返したりするのがなんとなく面倒で、普段はなかなかその気にならないからだ。
もう忘れていたようなLPを棚から取り出し、ターンテーブルに載せ、ライナーノーツに目を走らせる。ときどき意外な発見があり、得した気分になる。Bob Dylan's Greatest Hits を聴いていたとき、ジャケットに付録として挟まれていたミルトン・グレイザーが描くディランのイラストを発見した。イラスト面を内側に折りたたまれて収納されていたので、これまで気がつかなかった。
出てきたミルトン・グレーザーのイラストレーション |
このレコードが米国で発売されたのは1967年のこと。その日本版を手に入れたのは、僕が高校生だったときだろうか。
ディランの初めてのベスト・アルバム。 グラミー賞(デザイン部門)を受賞したLPジャケット |
ミルトン・グレイザーは2020年に91歳で亡くなっているが、間違いなく「超」がつく優れたグラフィック・デザイナーでイラストレーターだった。いわば、アメリカの和田誠。彼の仕事で誰もが知っているものが、以下のロゴマーク。
このアイデア、彼がマンハッタンのなかをタクシーで移動しているときに頭に浮かんだものだという。彼のそのときのスケッチはこんなものだった。
この手書きのスケッチがもとになって、上の4文字のタイポグラフィと文字組みがデザインされた。
2023年1月2日
2023年1月1日
日本のビジネスマンに最も必要なスキルとは
毎年、元旦に経済団体のお偉いさんへの年頭インタビューが公開される。
今年のそれだが、 経団連会長の十倉というおっさんが「企業の研修や教育だけでなく、個々人に届くようなリスキリングのやり方も考える必要がある」と述べていた。
かつては、経団連の会長は何かと言えば「イノベーション」と威勢よく言っていたのがいささか様変わりしたものである。イノベーションからリスキリングへ、大言から足下への転換か。ただどちらにしても意味をちゃんと理解しているようには思えないけど。
『夢の砦』
大晦日に年越し蕎麦を食いながら読んだ(我ながら行儀がわるいね)2022年の最後の本が、矢崎泰久と和田誠の『夢の砦』だった。
稀代のジャーナリスト・編集者と天才イラストレーターが作った雑誌『話の特集』にまつわるさまざまな話や、そこに集った多彩な才能溢れる人たちを描いたゴキゲンな本だ。
『夢の砦』という同名の本に、小林信彦が(たしか)1980年代の初頭に書いたものがあって、こちらも雑誌の編集と制作をめぐる素敵な本だったけど、まったく別もの。
矢崎らのその本の最後に、矢崎が2019年に亡くなった和田への追悼文を書いている。もとは『ユリイカ』2020年1月号に掲載されたもので、雑誌を一緒に作ってきた同志である和田への愛情溢れる文章と語りにほろりとしたのだが、けさの新聞で矢崎が暮れに亡くなっていたことを知らされた。
本の著者紹介には「卒寿を目前にした現在も生涯現役のフリーランス・ジャーナリストを志して健筆をふるう」とあったのに、残念である。