大晦日に年越し蕎麦を食いながら読んだ(我ながら行儀がわるいね)2022年の最後の本が、矢崎泰久と和田誠の『夢の砦』だった。
稀代のジャーナリスト・編集者と天才イラストレーターが作った雑誌『話の特集』にまつわるさまざまな話や、そこに集った多彩な才能溢れる人たちを描いたゴキゲンな本だ。
『夢の砦』という同名の本に、小林信彦が(たしか)1980年代の初頭に書いたものがあって、こちらも雑誌の編集と制作をめぐる素敵な本だったけど、まったく別もの。
矢崎らのその本の最後に、矢崎が2019年に亡くなった和田への追悼文を書いている。もとは『ユリイカ』2020年1月号に掲載されたもので、雑誌を一緒に作ってきた同志である和田への愛情溢れる文章と語りにほろりとしたのだが、けさの新聞で矢崎が暮れに亡くなっていたことを知らされた。
本の著者紹介には「卒寿を目前にした現在も生涯現役のフリーランス・ジャーナリストを志して健筆をふるう」とあったのに、残念である。