2022年4月23日

1969年8月15日とは、どんな日だったか

夕方、陽気に誘われて散歩に出たついでにkino cinema 横浜みなとみらいまで足を伸ばした。そこでは映画「ベルファスト」をまだ上映していたと思ったので。

物語は、1969年8月15日のベルファストの街角からスタートする。プロテスタントの武装集団がカトリックの一般住民への攻撃を始め、ベルファストの人々、特にプロテスタントとカトリックが入り交じり暮らしているエリアでの暮らしは平穏さをなくし大きく変化していく。

英映画「ベルファスト」は、北アイルランド・ベルファスト出身の監督ケネス・ブラナーの自伝的作品である。ブラナーはこの映画の脚本で今年のアカデミー賞脚本賞を受賞した。
 
 
9歳の主人公バディはブラナー自身の少年時代がモデルになっていて、バディを演じている少年もベルファストではないものの、北アイルランド出身だ。

モノクロの画面が、ブラナーの記憶の底をなぞっている。北アイルランドでのカトリックとプロテスタントの争いはその後30年も続き、1998年に和平合意がなされるまでにおよそ3600人が闘争で命を落としている。

少年の家族の日々の暮らしは典型的な労働者階級のそれで、決して豊かではない。が、家族の絆はつよく、家族そろって映画館に行くシーンが度々出てきて微笑ましい。そこだけカラーで映し出される数々の映画は、実際にケネス・ブラナーが1969年当時のベルファストで観た映画なのだろう。

そうした暮らしに覆いかかる血なまぐさい宗派間の争いには理不尽さを超えて、寂寥感を感じる。もともと多神教で、宗教間や宗派間の激しい衝突を抱えていない現代の日本人にはちょっと理解し難いところがあるが。

ところで、ちょっと気になって調べてみたら、やっぱり1969年8月15日というのはウッドストック(ロック・フェスティバル)の初日だった。この日、この映画が示したように北アイルランドでは流血の闘争が始まり、一方でアメリカ・ニューヨーク州のウッドストックでは<ラブ・アンド・ピース>の世紀のロック・フェスが始まっていた。