TOHOシネマで「それでも夜は明ける」を観る。今年のアカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
19世紀半ばのアメリカ、フリーマン(自由黒人)である主人公(ソロモン・ノーサップ)が誘拐され、身分を証明するものを奪われ南部へ奴隷商人に売られる。その後、彼は12年間の苛烈な奴隷生活を経て、ほとんど奇跡的に身分の復活を遂げて家族のもとに戻る・・・。ノーサップ本人が書いた実話、"Twelve Years a Slave"が原作である。
映画の現代は、原作と同じく"Twelve Years a Slave"だが、日本では「それでも夜は明ける」とタイトルが付けられている。映画を見終わって誰もが感じるのは、夜明けにはほど遠い当時のアメリカ奴隷の悲惨極まりない状況だ。
映画の中、南部の綿農場で重労働にかされる黒人たちが歌うワークソング(労働歌)、正面切って支配層の白人にものが言えない彼らが思いをほとばしらせるスピリチュアル(黒人霊歌)が重く胸に迫る。挿入されている曲目数は多くはないが、どの曲も主人公や他の黒人たちの置かれている姿をシンボリックに描き出す歌詞や曲となっている。