2012年1月18日

大学の9月入学は何のためにやるか

大学の秋入学を検討している東大が中間報告を発表し、秋入学への全面移行を提言した。長期傾向としてほぼ確実な少子化と国際化を背景に、おそらく日本の大学もその多くが4月から9月へ入学時期を移さざるを得なくなるだろう。

実際、今の学期の組まれ方は教育的効果の観点から疑問がある。例えば、僕が担当しているある授業は12月20日で一旦冬休みにはいった。その授業を大学の暦にしたがって再開したのは昨日(1月17日)である。ほぼ一ヵ月が宙ぶらりんで空いてしまった。そして、来週(24日)で授業は終了する。教わる方も、教える方も気が抜けてしまう。

9月というタイミングは日本の社会に合わないとか、入学時は桜の季節であって欲しいとか、つまらない反論も多々あるようだが、早く大学はコンセンサスを取り、実行に移すべきだろう。

2012年1月15日

新宿ベルク

JR新宿駅東口改札を出て少し行ったところに「ベルク」という小さな店がある。珈琲も食べ物もうまい。ビールもうまい。そして安い。いかにも新宿らしい賑やかな店だ。

この店は以前、大家(JR東日本)からファッションビル(ルミネ)に似合わないからと立ち退きを迫られたことがある。その時、店は立ち退き反対の署名運動をやって1万人の署名を集めた。僕も署名したひとりだ。個人経営の小さな店だが、大きな力に容易に屈しないところがいい。

迫川尚子『食の職』は、そこの副店長である女性が店で提供する「食」のこだわりを綴った本である。でも料理本じゃなくて、食と、それを生業とする職業や生き方に関する本だ。15坪ほどのこの店には、一日1500人のお客さんが来るという。どうやってそれだけのお客を集め続けられているのか、15坪のスペースをどんなオペレーションで回しているのか。そんなことがたくさん書かれている。

最初、ネット書店から届いたこの本をめくって、思わずにやっとしてしまった。たいしたことじゃないんだけど、ページの間にこの店で使っているペーパーナプキンが挟んであったからだ。この店らしいセンス。
書かれている内容で関心したことの一つは、「言葉と絵で味を伝える」ということ。実際、彼女はビールを納入している先の人に、絵でビールの味の変化を伝えている。決して上手い絵ではないけど、言葉だけでは伝えきれないことを伝えるために絵を描いて相手に見せる。絵の巧拙ではない。伝えたいという意志が込められている。そして相手もプロだから、コミュニケートできる。

15坪で毎日1500人というのはすごいが、広さ1坪で40年間客足が途切れるどころか、毎日行列ができるという「小ざさ」も立派。『1坪の奇跡』(ダイヤモンド社)で描かれているその店で扱う商品は、羊羹と最中だけ。特に羊羹は一日150本限定。別に希少価値を狙っているのではなく、最高の味を守った羊羹を作るのは釜の関係でそれだけしか無理だから。
「ベルク」の副店長は1年のうち364日出勤し(大晦日だか元旦は、店が入っているビル全体が休み)、小ざさは365日開店している。

2012年1月14日

あえてできない方を選ぶ

それまで自分ができなかったことができるようになるのは、それが何にしろ嬉しいものである。語学やスポーツ、楽器演奏などの習い事をする喜びはそこにある。でもそれなりに年を取ってくると、すべてがそうとは限らない。

先日、あるホテルで昼食をとったときのこと。メニューはバイキングのみ。料理はすばらしい。各国の料理がそろい、前菜からメイン、デザートまで手のかかった品が用意されていた。しかし、人が一度の食事で食べられるのは大した量ではない。ずらりと並べられても、大半は味わうことはできず見て楽しむしかない。だからバイキングは本当は嫌いなのだ。

それにも増して困った(?)ことは、私は2本のスプーンが上手く使えない。サラダなど、大皿から取り分ける時に使う大ぶりの2本のことだ。他の客を見ていると、器用にスプーンの柄の部分を指に絡ませてまるで2本の箸で挟むかのように料理を自分の皿に運ぶ人がいて感心する。僕はといえば、そうした芸当は最初から諦めていて、両手に持ったスプーンで左右から挟み撃ちにするか、おとなしく1本のスプーンで何度もすくい取るしかない。

そうした自分を少しばかり情けなく思いつつも、なぜかそうしたことを上手にできるようになりたいとは思わないのだ。むしろ、できない方がいい、と思う。自分でも理由は分からないけど、あえてできない方を選ぶ。こうしたことって、他にもありそう・・・。

2012年1月8日

ドバイのスークでナチュラル・バイアグラ

今日のコンファレンス・ディナーをもって、ドバイでの学会は無事すべて終了。学会からBest Paper Award(最優秀論文賞)をもらった。国際学会では、これで2度目だ。

開放感もあって、その日の夕方は時間を見つけてドバイの下町のスーク(市場)をいくつか巡った。スパイスを専門に扱うスーク、ゴールドやシルバーを扱うスーク、衣料品や食品などを扱うスーク、金物専門店の集まりなど、それぞれに特化していて特徴的でとても興味深い。

小振りながら薬品を扱う店が集中しているエリアもあった。店の入口に貼られた「Natural Viagra」に一瞬気持ちをそそられたが、何がナチュラルなのか分からなかったので結局手は伸ばさず。

ナチュラル・バイアグラ?

2012年1月7日

ドバイのフィリピン人

ドバイではサービス業には多くの外国人が従事している。UAEの近隣諸国からの人が多いようだが、フィリピン人もよく見かけた。宿泊したホテル(フランス系)のポーターやウエイトレスがそうだった。彼らは英語ができるからだろう。

また、ブルジュ・アル・アラブのSky View Bar で働いていたフィリピン人女性は、以前熊本のバーで働いたことがあると話してくれた。でも、そこは5ヵ月で辞めたらしい。ビザの関係か他の理由かは尋ねなかったけれど。一方、彼女はドバイではもう7年になるといっていた。いま働いているバーは、間違いなく世界のトップバーの一つ。彼女の給料がいくらかは知るよしもないが、熊本のバーよりこっちの方が働きがいがあるのだろう。

アラブ人の男性は思った以上にホスピタリティがある。一方、女性はあまりそうではない印象だ。何故か分からないが。推測だが、アジアからの働き手が多いのは、そうした背景もあるのかもしれない。

2012年1月6日

メルコジ

ドイツ人の研究者2人とランチ。自然と欧州危機の方に話が進む。その危機を救うためにはドイツとフランスの協調が不可欠と言われているが、ドイツ人はフランス人をどう思っているのか質問してみた。彼らはニヤニヤしているばかりで、言葉を発しない。察せよ、ということか。

ところで、メルケル首相とサルコジ大統領が2人で立ち話をしているシーンをニュースでしばしば見るが、そうした時はどの言語を使っているのだろう。2人によると、メルケルは英語もフランス語もできない。そして、サルコジはドイツ語ができないらしい。ということは・・・。

2012年1月5日

学会でドバイへ

国際学会に参加のためドバイに来ている。僕は中東を訪れたのは今回が初めてだ。といっても、ドバイが代表的な中東の地とは言い難いけど。ここは極めて人工的な街、そして国際的というか西洋的な場所である。

昨年の暮れに「ミッション・インポッシブル4」を観たこともあり、せっかくなので世界一の高さを誇るブルジュ・カリファの展望台(At the Top)にも登った(ガイドブックにはバージュ・ハリファと記されているが、現地の人はブルジュ・カリファと発音していた)。


トム・クルーズのお陰かどうか、観光客に大人気のスポットである。30分おきのタイムテーブルで予約を取っているが、それでもなかなか枠が取れない。当日は、予約時間の10分前に展望台入り口に行ったが、124階の展望台に着くまでなんと40分以上かかった。

集合場所がブルジュ・カリファとは離れたショッピングモールの1階であるうえ、展望台に登るエレベータが2基しかないからだ。しかも、12、3人ほどしか乗れない小振りのエレベータである。高速で昇降させるためにはその程度のサイズのものしか採用できなかったのかもしれないが、もしそうであれば台数を増やすべきだったろう。入場料金は、一人あたり日本円で3千円弱。事前の予約なしでチケットを買う場合は、その3倍以上の価格になる。

登った感想? 高い所から地上を見たければ、観光用のヘリに乗った方がいいかもしれない。展望フロアから降りる際にも30分ほど列に並ばされたこともあって、ちょっと辛口に。

2011年12月28日

SNSって、本当はどのくらい流行ってるんだろう

Yahoo! Japanのニュース・トピックスに、日本国内の現在のSNS利用者数が4,289万人という調査結果が載っていた。日本の人口が約1億2800人だから、赤ん坊など含めたすべての日本人の3人に1人がやっている!という計算になる。本当か。

その数字を発表したICT総研という会社のサイトを読むと「国内の3大SNSと言われるモバゲー(運営会社DeNA)、グリー、ミクシィはそれぞれ2,500万〜3,000万件以上の登録者を保有しており、3社だけで約9,000万件近い登録者数となる」とある。

主要3社のそれぞれの登録者数が2500万〜3000万人とずいぶん大雑把なわりに、合計の利用者数が4,289万人と一万人単位まで出ているのが不思議である。また、年代や性別、居住地域の偏りも知りたいところだ。65歳以上が日本人口に占める割合は約23%だが、その年代の何割がSNSをやっているんだろう。15歳未満(全体の13%)では?

アンケート調査をもとにした集計とあったので、調査元にその調査概要を教えてくれるようにメールしてみた。返答は「なぜ知りたいのか?何が知りたいのか?が分かりかねるので、どの情報を提供すべきか判断に困るのですが、調査概要について、無償で公開している情報は、弊社ホームページに公開しているもののみです。詳細の情報については、有料で販売しているレポートに記載しておりますので、ご検討いただければと思います」とのこと。調査結果のトップラインをリリースするのであれば、調査対象者や調査期間など基本的な調査概要も公表すべきだと思うのだが、なぜ隠すのだろう。

2011年12月27日

思い違いだった

12月19日にメールのdisclaimerについて書いた。間違いだった。ドコモのシステムの不具合で、別人の元にメールが送信されるといったとんでもない事故が実際に起こっているらしい。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK069111220111221
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE7BQ02P20111227

にわかに信じがたいことが起こった。「間違ってこのメールを受信した方はただちに・・・」という注意書きをメール末尾に添えることはあながち杞憂ではないということだ。

2011年12月26日

不可能を超えろ?

国立劇場からの帰り、半蔵門駅で見かけたポスター。落書きくらいで大げさな、と思ったがここまでやった制作者に拍手。

2011年12月25日

バックパッカーは死んだか

12月24日、午後から川崎で「ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル」を観た後、横浜に買い物に出かけた。クリスマスイブで大変な賑わいだった。デパート地下のケーキ売場は、長蛇の列。一年で一番売上を稼ぐ日だ。

駅のホームもたくさんの人で溢れている。その中に、キャリーバックを引いている人が結構いる。見たところ、旅行者やビジネスマンではない。週末に買い物にでも出かけてきた風体だ。そうしたゴロゴロを引いているのは、若い女性が多い。カバンを手に持ったり、肩に掛けるよりラクだからだろう。でも、人混みでのキャリーバッグは、どう見ても周りに迷惑である。ぶつかる、足を引かれる、、、 

僕も2,3日の出張にはそれを使うし、研究室に多量の本など重い荷物を一度に運ばなければならないときは重宝する。だが、そうした時は駅などが人で混む時間帯を避けて移動するようにしている。

12月24日の深夜、年に一度沢木耕太郎がラジオのDJを務めている。昨夜も布団の中でラジオの耳を傾ける。昨年まで彼は旅に出る時はバックパックを担いでいたらしい。でもその彼も、バックパックからキャリーバッグに替えたと語っていたのが印象的だった。確かに便利だもんな、と思いつつ、昼間の街の風景を思い出した。キャリーバッグは出張や旅行には便利だ。だけど、それはもう旅ではない。

2011年12月22日

Money Ball

終了間近の「マネーボール」を観に行った。映画「マネーボール」は、マイケル・ルイスが2003年に発表した「マネーボール」を原作にしている。ルイスはもとソロモン・ブラザーズの債権トレーダー出身の作家で、「ライアーズ・ポーカー」や「ニュー・ニュー・シング」などでも知られている。

原作はビジネス書としての評価も高く、多くのビジネスマンなどにも読まれているらしい。予算の乏しい弱小チームが試合に勝つために、統計データの独自な分析とそこから導いた理論をもとにチームを立て直したやり方が企業の経営にも役立てたいということだろう。なるほど、独自のKPIに基づいた「マネーボール理論」は斬新で有効だった。少なくとも映画の中で描かれているところでは。だけど、実際はレッドソックスなど大手がすぐに同様の発想を取り入れて優勝をさらった。アスレチックが採用したゲリラ戦略はすぐさま模倣され、長続きはしなかった。

主役のブラッド・ピッドははまり役である。「テルマ&ルイーズ」から20年、いい役者になった。アスレチックスの監督をまだ40代前半のフィリップ・シーモア・ホフマンが演じていたのが意外だったけど、本作の監督が「カポーティ」のベネット・ミラーと知って納得。

2011年12月19日

何か勘違いしている

Eメールにdisclaimerと呼ばれる「注意書き」が付いて来ることがある。外資企業だけでなく日本企業のものも多い。文章はそれぞれで、今朝来たのには次のようなものがあった。

***************************************************************
このメールには機密情報が含まれる可能性があります。
内容の転送・コピー・プリント等 取り扱いには十分ご注意下さい。
また、このメールを間違って受信された場合は、直ちに送信者まで
お知らせいただき、受信されたメールを削除下さい。
***************************************************************
 
別のタイプは、
 
-----------------
この電子メールおよび添付書類は、名宛人のための特別な秘密情報を含んでおります。
そのため、名宛人以外の方による利用は認められておりません。名宛人以外の方による通信内容公表、複写、転用等は厳禁であり、違法となることがあります。
万が一、何らかの誤りによりこの電子メールを名宛人以外の方が受信された場合は、お手数でも、直ちに発信人にお知らせ頂くと同時に、当メールを削除下さいますようお願い申し上げます。
------------------

郵便であれば、集合住宅への配達の際に間違って隣の郵便受けに入れてしまうこともあるかもしれない。だが、メールが間違って届いたら、それは発信者のミスと云うことだろう。「何らかの誤りにより」というのはヘンな感じだ。また、直ちに連絡せよとか、削除せよとか、あきれて苦笑してしまう。

会社からのメール送信の際は、自動的にメール本文末尾に付くようになっているんだろうね。でも、私用のメールを送信する時はそんな無粋極まりないものは消してから送ってくればいいのに。

2011年12月3日

Are you a terrorist?

米国のビザを取得するため、オンラインで申請を行う。種々の個人情報の記入を求められ、いささか呆れ、かつ疲れる。そのなか、Security and Background: Part 3には次のような質問が含まれていた。

Q. Are you a member or representative of a terrorist organization?
A. Yes   No

Yesにマークをつけたらどうなるか、ちょっと気をそそられたが、ここは真面目に答えておいた。

2011年11月27日

驚くべき若きテノール

ある音楽賞の入賞者たちによる披露コンサートに出かけた。午後1時半から6時頃までの長丁場だったが、そのほとんどトリに出てきた声楽・大学の部第1位のテノールのすばらしさに度肝を抜かれた。宮里直樹という今年東京芸大の声楽科を首席で卒業したばかりの若い歌い手である。卒業時には大賀典雄賞などを受賞している。

その時は3曲披露したが、とりわけ最後に歌ったプッチーニ作曲のトゥーランドットより「誰も寝てはならぬ」は、ポール・ポッツが英国のオーディション番組Britain's Got Talentに初めて登場して同曲を歌ったシーンを思い起こさせた。

2011年11月25日

グレン・グールドについての映画

渋谷アップリンクにて、青柳いづみこの短い講演と『グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独』の上映会。天才で異才。真夏でも手袋とマフラーを手放さなかったとか、ピアノに向かう時に用いる異様に低い椅子を持ち歩いていたとか。エキセントリックな言動で知られていた。けれど考えれば、どちらも音楽家としてのdisciplineとして不思議ではない。

フィルムで見るその人物像は思っていたより普通で、一般の人とは少しずれていても(芸術家とはそういうもの)決して破綻などしてはない。むしろその人懐っこい人柄が分かった。それにしても50歳で脳卒中で急逝とは。

一つ印象的だったのは、バーンスタインがコンサートの場でこう聴衆に語ったシーン。「私は、今晩演奏するブラームスのグールド氏の解釈には賛同できません。 しかし、グールド氏の資質と才能を認めるからこそ、私は今日指揮棒を振ります」

グールドには関係ないが、スクリーンの大写しになるアシュケナージが昨年亡くなった役者のレスリー・ニールセンに似ていることを発見。

この映画とは関係無いが、グールドは夏目漱石の『草枕』を愛読していたらしい。

2011年11月20日

小水力発電

中小河川や農業用水路を利用した小規模水力発電が注目され始めている。水力発電は、その発電量の変動が天候に左右されやすい太陽光や風力発電より少なく安定している。

水車を回して発電する小規模水力発電に利用可能とされる場所は、日本全国に約2万カ所も。発電時に二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーとして注目されているが、初期導入コストや工事費の高さが障壁になっている。

近くで見つけた超超小規模水力発電。プラスチックのカップを使った水車が小川の流れで回ると、上の橋桁に設置されたカッパの目玉が光る。それだけのことで、もちろん実用性はないが、こうした簡単な仕組みで電気が作れることを通りがかりの人は知ることができる。なによも見ていて楽しい。

2011年11月19日

富士山と金星

秋になり、空気がキリッと澄んできた。遠くの山なみや星もくっきりしてきた。

2011年11月18日

夏が終わってから、大学へ

東大が入学時期を秋に移行する検討を始めている。世界の他の大学とアカデミック・カレンダーを合わすことで、留学生をいま以上に増やしたり、日本人学生が在学中に海外へ留学しやすくなり、結果として大学の国際化をはかることができる。結構なことだと思う。

3月に卒業、4月に入学というのに、教育面からの明確な理由づけはない。春夏秋冬と呼ぶように、日本の季節は春から始まることになっていることから、企業も役所も学校も4月に新年度が始まるようになっているのだろう。だが考えてみれば、4月から大学生を開始するためには1月〜3月に大学入学試験を行わなければならず、その時期に入試を行うことの不合理性はもっと議論されてもいい。というのは、この時期、受験生は風邪やインフルエンザに悩まされながら受験をしなければならないし、積雪のために試験会場に行くのも一苦労という地域も多々ある。確かに桜の季節の入学式はすばらしいが、それだけだ。秋に入学するのなら、4月に入ってからの入試試験で大丈夫だ。

ところで、新聞の報道で読んだのだが、ある教育情報会社が大学を対象に秋入学への移行についてアンケート調査を行った。対象は4年生大学576校で、263校が回答した(回答率45.7%)。秋入学へ肯定的な回答を寄こしたのは43%、否定派は39.5%、どちらともとれないのは10.7%となっている。

否定派でもっとも多かった理由は、「ブランクが生じる」で46%。また、移行に伴って生まれる約半年の猶予期間の活用法を尋ねたらしく、「入学に向けた学習」62.7%、「社会体験」58.2%、「ボランティア」47.9%という数字が記事中に紹介されている。これらは、受験生が「自分は入学までの時間をこう過ごす」と言ったのではない。大学が「こう過ごして欲しい」と言っているわけだが、そもそもこれほど大きなお世話はないだろう。何を意図してこうした設問を設けたのだろう。そして、回答した大学関係者の、その時の頭の中はどうだったのか・・・不思議だ。

大学入学まで時間的ゆとりがあるのは大変よい。春から夏にかけてゆっくり方々を旅するなり、学費を稼ぐためのバイトをするなり、好きにすればいい。大学がこうして欲しいなんて言ってるのは、はなから無視すりゃいい。

2011年11月13日

モダン・アート、アメリカン

今日は日曜日だが大学へ向かう。仕事はお昼を挟んで3時間ほどで片づいたので、前から気になっていた「モダン・アート、アメリカン」展を観に乃木坂の国立新美術館に。目当てのエドワード・ホッパーなどの作品を鑑賞。

そのなかに、一点だけだが国吉康雄の作品があった。彼は20世紀初頭にアメリカに渡り、現地で絵を学び、画家としての活動を続けた。そして、20世紀前半のアメリカを代表する画家としての評価を得た。

今回、展示されていた絵は「メイン州の家族」。一緒にいた連れは「アダムズファミリーみたい」と言う。そういえば、子どもの顔がよく似てる。