少し残念だったのは、訪問地はどこもお仕着せの見学コースのみ。説明も型どおりといった感じだ。当たり前だが、とにかくよくコントロールされている。見せたいものと見せたくないもの、聞かせたいことと聞かせたくないこと、それらが独自の基準ではっきり線引きされているのだろう。
かつての日本のつくば学園都市に似た都市開発が、つくばの時とはまったく異なる時間軸の中で推し進められている。そのスピードと勢い、また計画自体の思い切りのよさには目を見張る。
新聞の記事に「東京電力は13日、福島第1原発で4月に作業した協力会社の作業員のうち118人と連絡が取れないと発表した」とあった。3月の作業に従事した人も含めると132人になるらしい。
連絡が取れないというのは、電話しても相手が出ない、というのではない。連絡先が不明ということ。
もともと彼らについて住所不定・連絡先なし、だったわけではないはず。なぜなら、「協力会社」とやらが作業員として雇用契約を結んでいたはずなのだから。もしそれがなされていなかったとしたら、基本的な管理ミスの問題だろう。杜撰。これらの元作業員は、その後の被曝線量の検査すら受けていないのだ。
10年前の話をしているのではない。彼らが働いていたのは、つい3ヵ月前のことだ。東京電力は「協力会社」による雇用主責任のままやり過ごすのだろうか。
慶応大学で、元グーグル日本法人社長の辻野晃一郎さんの講演会があった。
彼は、グーグルでの3年間を振り返って「グーグルの連中には、宇宙のどこかから地球を眺めているような視線を感じた」と語っていた。そのとき彼が会場のスクリーン投射したグーグル・アースによる地球の映像が、その意味するところをより的確に伝えていた。
また、日本人や日本企業の視線がいかに内向きで閉ざされたものかを指摘していた。例えで彼が挙げていたのは、日本のメディアによる報道の内容のいびつさである。まったく同感だ。
NHKをはじめ、日本のどの報道機関も明からに国内最優先である。確かに視聴者は日本人だから国内の出来事を中心にという考え方なのかもしれないが、あまりにバランスが悪い。というか、海外なんて面倒くさいというような編集方針すら透けて見える。