2010年7月11日

ラジカセが吠えてた頃

ヘルシンキの現代美術館に展示してある一作品。昔使ってたラジカセとそっくりだったので、思わず目を奪われた。で、よく見ると、スピーカーのところから音が刺さるように突き出ている。僕がラジカセで音楽を聴いてたのは中学時代のことだからもう40年も昔のこと。その頃のラジカセの音は、確かにこんな感じだった。

I stole this from ......

ヘルシンキにあるキアズマ(KIASMA)現代美術館を訪ねた。ここには、ヘルシンキ・ナショナル・ギャラリーの中の現代美術作品が展示されている。美術館は小振りだが、展示の仕方にフィンランドの現代美術作家に向けた暖かいまなざしを感じる。

写真は、そこのミュージアム・カフェのテラスで飲んだコーヒーのマグ。洒落が効いてておもしろいなあと思ったが、その後に覗いたミュージアム・ショップでは同じマグが6ユーロで売られていた。お土産にひとつ購入。自宅で、I STOLE THIS FROM KIASMAの文句を目にしながらコーヒーを飲むのも悪くないかなと。

2010年7月10日

インクは匂うか

昨日のNHKの9時のニュースの中で、電子ブックが取り上げられていた。ちょうど有明の東京ビッグサイトで「東京国際ブックフェア」が開催されているのに合わせての特集だった。

電子ブックを発売をしているメーカーや出版関係者のインタビュー等がそこでは紹介されていた。その特集の終わりに男性のキャスターが、電子ブックもいいけど、自分はインクの臭いのする新刊書やかび臭い古本も味わいがあって好きだとコメントしていた。

言いたいことはよく分かる。しかし、その表現はあまりに紋切り型。新刊の本って、本当にインクの匂いがするのかな 。実際に何冊か試してみたが特に匂いなど僕は感じないし、新刊本は日常的に手にするが、これまでインクの匂いを感じたことはない。

確かに昔はそうだったような気もする。でも何十年も前のことだ。インクもその頃からすると、ずいぶん技術改良されたのに違いない。改良されてないのは、人の頭の方なんだろう。

2010年6月24日

グーグルの考える主要言語

ちょっと前のことになるが、グーグルにある件で問い合わせをしたところ、下記のような返答が来た、というか表示された。そこには彼らがメールサポートで扱う言語が10種(英語と米語も入れて)示されている。

ポルトガル語やオランダ語、ポーランド語は対応可能な言葉として含まれている一方で、その中に日本語はない。これらはグーグルのアルゴリズムから選ばれた主要利用言語ということなのか、あるいは単に担当者がいるかいないかといったことが理由なのか。

どちらの理由にせよ、日本人としては考えさせられる現実だ。

2010年5月24日

水を転がして運ぶ

シンシア・スミスの書いた、Design for the Other 90% が昨年『世界を変えるデザイン』の邦題で日本でも出版された。原題も邦題もなかなかいい。

アフリカ地域などを中心とする世界90%の人々---彼らは人の生活に欠かせないきれいな水や食糧(作物)などにも事欠いた暮らしを続けている---のために考案された低価格なオープンソースのデザイン例を集めた本だ。

貧困層の暮らしを少しでも改善したい、使って喜ぶ人たちの顔が見たい、そうした気持ちのデザイナーたちのアイデアが多くの写真とともに紹介されている。この本の元は、2007年にアメリカのスミソニアン/クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館において開催された「残り90%のためのデザイン」展である。

下の写真はその中で紹介されている水を転がして運ぶためのもの。Qドラムという名前が付けられたポリエチレン製の容器で、75リットルの容量がある。デザインそのものもいいが、なぜこうしたデザインが必要とされるかという元の問いについてデザイナーが考えることがすばらしい。

開発途上地域の多くの場所ではきれいな水が限られている上、それを女性や子供が毎日遠くの水場から住んでいるところまで運ぶ。大変な労働である。 しかも頭の上にのせて運ぶため、首や背骨に負担をかけ、障害のもとにもなっている。それを防ぐ方法はないかと考えたデザイナーによって考案された。

ドーナツ状した形の穴の部分にロープを通し、引っ張ることで水のタンクを転がして運べるわけだ。これなら子供たちが楽しんで水運びができるかもしれない。デザイン的にもすばらしい。

ただ、使っているシーンをイメージするうちにいくつか疑問も出てきた。たとえば、平らな土地なら大丈夫だけど、上り坂はかなり辛いのではないか。つねに引っ張ってないとドラムは坂道を転げ落ちてしまう。また、でこぼこ路も具合が悪そうだ。場合によってはドラムが転倒するかもしれない。こどもが75キロのタンク(水が一杯の場合)を起こすのは大変だ。

そうだ、リヤカーを使ったらどうだ。リヤカーは水だけでなく、汎用的な運搬器具として活用できそうだ。でこぼこ路にも強いし、上り坂は休憩しながら運ぶこともできる。それに、リヤカーなら人だって何だって運べる。

リヤカーというのは和製英語である。日本に昔からあった大八車の利点を活かして、誰かが考案したらしい。人力車の影響もあるかもしれない。

そういえば学生時代のこと、リヤカーで引っ越しした奴がいた。運送屋に引っ越しを頼む金も、軽トラを借りる金も無かったからだ。リヤカーは運送屋にたいていは置いてあって、1日500円程度で借りられたのを覚えている。そもそも、貧乏学生(私の周りはなぜかみんなそうだった)は大した荷物がない。なかには山手線を使って引っ越しした奴もいた・・・。

リヤカーの構造は簡単で、自転車修理ができれば修理も問題ないらしい。また、今は折りたたみができるタイプもあり、リヤカー自体をコンパクトに運ぶことができる。誰でも使えて、何でも運べて、丈夫で長持ち。リヤカーをアフリカに送ったらどうだろう。

2010年5月2日

鯉のぼり泳ぐ

まるで天気の良い日にありったけの洗濯物を干したかのような鯉のぼり。たくさんの鯉のぼりが静かに小川の上を揺れる様は、実にのどかな田舎の風景である。

2010年5月1日

菜の花畑

出先で散歩していたら、一面に拡がる菜の花畑を見つけた。いかにも春らしい風景だ。黄色い色は人を奮い立たせるところがある。

2010年4月26日

野毛の大道芸

毎年この時期、週末の2日間横浜の野毛地域で大道芸が行われる。参加しているのは、ジャグリングや一輪車乗りといった定番から、1人芝居やマイム、ロープを使った曲芸などいろいろである。またそのレベルも。

大道芸だから、見せ物料はただ。お代は出し物を見終わったあと、客が自分が金額を決めて回ってくる帽子などに入れる。僕もそうだが、こうした支払い方に日本人は苦手だ。幾ら入れてやるか、瞬時の判断に悩む。これはレストランやホテルなど、サービスを受けた際にチップを支払う習慣がないことが影響している。

いつも一瞬迷ったあと、たいていはその時ジーンズのコインポケットに入っているだけの小銭を出してやるか、あるいは千円札一枚といったところだ。

大道芸人ではないが、面白い帽子をかぶり、イヤリング代わりに金魚鉢をぶら下げているファンキーなおじさんに出会った。話しかけてみると気さくなおじさんで、一緒に写真をお願いした。
ひときわの人だかりを縫っていくと、金粉を全身に塗った舞踏団が踊っていた。不思議なような、懐かしいような。まだいたんだなあと、しばし感慨にふけながら鑑賞。

パフォーマンスが終わったあと、それまで演奏されていたアバンギャルドな音楽の演奏がいきなりチンドン屋風に一転し、それに合わせてダンサーたちが観客からお金を集金し始めたのには笑った。この切り替わりが一番面白かった。


 

2010年4月23日

1Q84 Book3

近くの本屋に立ち寄ったら、その表に村上春樹の1Q84 Book3のポスターが貼ってあって、そこに手書きで「品切れ 入荷未定」と書いてあった。確かBook3は初版出荷と同時に増刷したとニュースで見た記憶がある。この人気は凄まじい。

Book3から読み始める読者は少ないだろうから、この時点で1と2をすでに読んで3を待ってた読者が多数いたということだろう。読者構成がすごく気になる。

2010年4月15日

ひさびさに武道館へ

キャロル・キング&ジェームス・テイラーのコンサートが日本武道館であった。客層は思った通り、僕と同年代かあるいは上の世代が中心。周りには、ブリーフケースを抱えた会社帰りのサラリーマンが多かった。そうした多くの人たちは昔音楽をやってたのかもしれない。意外にリズム感やノリがいい。

演奏曲は、ほとんどが60年代から70年代の曲。懐かしい。こうしたコンサートが好ましいのは、全体的に音楽をじっくり楽しみたい客が多いこと。だから、すぐに立ち上がったりする迷惑な客が少ない。先月行ったジャクソン・ブラウン&シェリル・クロウのコンサートも似た印象だった。こちらはこの3月末で長年のホール営業を閉じた新宿の東京厚生年金会館だった。そのあとには、大手家電量販店が出店することが決まっている。文化イベントの拠点がまたひとつ無くなった。

2010年4月14日

新ゼミ生歓迎会

昨日は今学期2回目のゼミ。終わった後は新ゼミ生の歓迎会が大学の近くの店であった。新ゼミ生は、昨年9月に入学した学生たち。台湾やタイ、中国(上海)からの留学生たちだ。これから勉強を頑張って。

これまで新入生たちは、4月入学生は9月に、また9月入学生は翌年の4月にゼミに配属になっていた。2年間しかない修士課程なのに時間がもったいない。なので、この4月入学生たちからは、ゼミへの配属が早くなった。

2010年4月12日

鯉のぼりが泳ぐ

週末、クルマで田舎を走っていたら鯉のぼりを見つけた。ずいぶんと気が早いなあと思いつつ、13匹の鯉のぼりが風にたなびく姿にしばし見とれてしまった。男の子がたくさんいる家なのかもしれない。

2010年4月11日

日本経済新聞「経済教室」4月9日

4月9日付けの日経朝刊「経済教室」欄に執筆した。テーマは、インターナル・マーケティング。企業は、市場(顧客)に向けてマーケティングを実施する前に、社内に向けたマーケティングを行わなければならない。

インターナルマーケティングの顧客は社員であり、対象とする商品は仕事だ。このアプローチの目的は、社員に仕事を喜んで買ってもらい、買い続けてもらう点にある。結果、社内の至る所に共鳴関係ができあがり、付加価値に優れた製品やサービスが市場に提供され、最終顧客の満足を獲得することができる。

マーケティングを専門部署にのみ委ねることで、市場対応が適切になされていない企業が多い。技術はあるのに企業がビジネスで負ける理由の一つだ。

記事が掲載された日、懐かしい友人や知り合いからたくさんの連絡が寄せられた。あらためて全国版の新聞の影響力を実感。


2010年4月5日

花見の風景

多摩川沿いを散歩。ガス橋近くになると一挙に花見客が増える。土手を挟んで川と反対側が花見のスポットになっている。桜もいいが、川を見てた方がずっと気分がいい気もするのだけど。

2010年3月30日

豊島美術館


7月から瀬戸内海の7つの島を結んで、瀬戸内国際芸術祭という催しが行われる。

その一つの豊島(てしま)では、美しい棚田をバックに美術館が建設されている。建物には柱を一切使わない特殊な工法を採用している。中の空間に相当するだけの土を盛り上げ、その上にコンクリートを流し、その後、なかの土を撤去して展示空間を作る。

工事にあたっている鹿島建設の関係者曰く「100階建てのビルを造る方がずっとラク」とのこと。

2010年3月15日

税の申告で会社名について考えた

本日やっと確定申告の手続きを終えた。2月から先週まで海外出張していたため、作業が締切ぎりぎりになった。まあいつものことではあるが。

日本のサラリーマンのほとんどは税金が源泉徴収されたままで、自分が国や自治体にいくら税を払っているのかあまり考えたことがないはずである。

考える機会を与えられていないからというのが原因だ。確定申告の書類作成をすると、納税者としての意識が一気に上がる。確かに多少手間はかかるが難しいことではないし、そうした効果のためだけでもなるべく多くの国民が自ら税金の申告をするようにした方がいい。

ところで、申告書類を作成しているとき、はっと思うことがあった。「ジョインベスト証券」という証券会社名を打ち込んでスペースキーを押したところ、とんでもない変換文字が出てきた。

野村證券系のこの会社は、昨年、突然社名をジョインベスト証券から野村ジョイに変更した。ああ、なるほどと、その理由の一端が分かった。それにしても、大切な社名を決める時にもっとも基本的なチェックすら出来ていなかったとは。

2010年3月12日

テレビの画面サイズについて

ソニーが今年の6月に3Dテレビを発売すると発表したという記事を読んだ。パナソニックやサムソン電子などは、すでにそれぞれの計画を発表している。

ところで、ソニーが今回、国内で発売するモデルの画面サイズは、40型、46型、52型、60型の4機種とある。が、僕には大きさのイメージがまったく湧かない。この型とはインチのことで、画面の対角寸法を指していることは知っているのだけど。

日本人で40インチとか、46インチとか言われてその長さがピンとくる人は一般的じゃないはず。しかも、テレビはモデルによって縦横比が異なる。従来型のブラウン管テレビは4:3だが、ワイドテレビは16:9。また液晶やプラズマテレビはまた微妙に異なっている。

ちなみに、僕は自分がいつも見ているテレビが「何型」か知らない。テレビ本体にはそんな数字は書いてないし、なんせ10年以上前に買ったテレビのこと。だから、40型とか言われても、それが自分がいつも見ているテレビより大きいのかどうかも分からない。

もっと日本人に分かりやすい、直感的な基準を作れないだろうか。たとえば、日本人なら誰でも知っている郵便はがきを単位に表現したら親切かもしれない。はがき何枚分かといわれれば、僕たちには何となく面積のイメージが湧いてくる。

はがきの縦と横の寸法は、148ミリx 100ミリ。面積は148 平方センチ。例えば16:9比の60型テレビの画面サイズは、ほぼ67P。つまり、郵便はがき67枚分の画面サイズ。PはPostcardのこと。どうだろう。

2010年3月3日

The Howthorne Bridge


これが北米で最も歴史がある昇開橋のホーソーン橋。大型の船が河を通るとき、その一部分が垂直に上下する。古めかしくも、重厚な面影である。

2010年3月2日

nook

Lloyd Centerにあるバーンズ・アンド・ノーブルを覗いたら、電子ブックの nook がカスタマー・サービスのところに展示してあった。

事前予約での価格は256ドル。The World's Most Advanced eBook Rearder というのがそのポジショニングらしい。ディスプレイの下の部分に本や雑誌のカラー画像(表紙)が映るからだろうか。ただ、ということは、タイトル数ではアマゾンの kindle に劣っているのだろうなあと推測できてしまうのはどうなんだろう。

The Steel Bridge


昨日(現地時間で日曜日)は天気が良かったので、ポートランドのダウンタウン南東端にあるホテルから、ウィラメット川沿いに北へ散歩。橋を4つ分ほど越えてLloyd Districtという所まで行ったのだが、4つめの橋が歴史を感じさせる重厚な橋だった。その名もThe Steel Bridgeという簡潔な名で、1912年に建造されている。

昇開橋(Vertical Lift Bridge:真ん中部分が船の通行に際して垂直方向に昇降する)としては、北米で2番目に古い橋らしい。ちなみに一番古い昇開橋は、昨日最初に越えたThe Hawthorne Bridgeだそうだ。

また、この橋は2階建て構造で、下の部分には鉄道が走り、その脇を自転車や歩行者が通れるようになっている。上の部分はMAXと呼ばれるポートランド市内を走る路面電車と自動車用である。その意味で、世界で最もマルチ・モーダルな橋の一つとしても知られているらしい。