2015年3月8日

大学8年生では、まだもの足りないのか

先週の半ば、「大学、在籍年数を延長 再生実行会議が提言へ 8年超も可能に」の見出しの新聞記事を読んだ。政府の私的諮問機関である教育再生実行会議が、大学の在籍期間の上限延長を提言に入れることを決めたという報道である。

背景および理由として示されているのは、日本では下図のように入学者に占める25才以上の割合が他国比べて低い状況にあり、社会人や子育て中の女性を大学に取り組むことでこの数値を上げられるとの意図がある。そして、そのためには8年間では「仕事や子育てとの両立を想定すると短い」というのが先の実行会議の委員の意見らしい。

日経3月3日朝刊より

大学に通う社会人や子育て中の女性から、在籍可能期間の上限が8年間では短すぎるという不満が多くでているのか。今どき日本の大学生で、在籍が上限の8年を超えたために除籍処分になるケースなど、僕はほとんど聞いたことがない。

4年生大学の在籍可能期間が現在の8年間からさらに延長できたとして、それを理由に新たに大学の門をくぐろうと考える社会人や女性がどれくらいいるのだろう??

教育実行会議の委員たちが考えたのは、「日本では他国に比べて25歳以上の入学者が少ない」→「どうしたら数値を上げられるか」→「社会人や女性を大学に取り込めばいい」→「仕事や子育て中で大変だろうから、卒業までの時間的余裕を与えてやればどうだ」→「全国的に(政策的に)在籍期間を延ばせば実現可能」という思考プロセスなのだろうけど、だとしたらスタート地点から間違っている。

そもそも8年間の上限というのは、大学が内部の規定で決めていること。各大学が在学生の状況からそれが短すぎると判断したら、自分たちで改めればそれで済むことである。