今日、例年通り大学の卒業式が行われるはずだった。しかし、今回の東北地域の震災の影響を鑑みて大学は式典を取りやめた。
卒業式がないのは、寂しいものだ。4月早々に予定されていた入学式も中止になった。こちらも新入生たちには残念に思う。だが入学式は仮になくても、すぐに新学期は始まり、新しい仲間や先生たちに囲まれて賑やかな大学生活の一歩が始まる。
一方で卒業式は、大切な区切りだ。僕は早稲田大学を30年前の春に卒業した。その4年前の入学式は行かなかった。行く気がしなかったからだ。既に東京に上京していたから、行こうと思えば行けたはずなのに。卒業式は行った。その日は雨が降っていた。傘を差したまま学生時代の仲間たちと大隈講堂の前で写真を撮った。大学とはお別れだ、このいつも一緒だった仲間とも当分は離ればなれになる。そうした思いから卒業式に向かったように思う。
交通事情や計画停電、起こるかもしれない大規模な余震といったことから大学は卒業式を取りやめたが、正しい判断だったのかどうか。学位記はそれぞれの学部や研究科で、それぞれのやり方で卒業生・修了生に渡されたようだ。事務所で職員から「おめでとうございます」のお祝いの言葉とともに手渡された所もあれば、校歌が流れる教室で壇上に登った職員たちから一人ひとり手渡されるところもあった。推測だが、大学が全学で卒業式を中止した(ということは、やってはいけない)ためになされた工夫だろう。学生へ向ける職員の思いに頭が下がる。
一歩校舎から出ると、羽織袴姿の女子学生もあちらこちらで目にする。グループでお互いに写真を取り合ったり、抱き合ったり、その時ばかりはいつもの卒業式当日のようだった。
今日は、晴れやかな天気のいい日だった。