マーケティングや経営関係の研究にはインタビューがつきものだ。文献だけをもとにした理論研究や、実証研究でもアンケート等による定量調査ももちろん大切だが、現場感を擬似的にでも掴むためにはインタビューや取材が重要だと考えている。つまり、社会科学分野の研究者は、ある意味でジャーナリスティックな面を持っていないと現実に対応できる研究ができないというのが僕の持論だ。
共同通信社の記者だった斎藤茂男さんがこんなことを書いていた。狙った相手に取材を受け手もらうために「恥をかく、いやな思いをする。そういう”税金”を納めなくては、よい仕事はできないぞ、と自分に言い聞かせながら歩くのだが、なかなか慣れるものではない」。ベテランの名記者をして、こうだ。僕たちは彼らのように日常的に取材やインタビューをするわけではないし、また彼らほどハードな取材も通常は求められない。でも、人から思いもしなかった事実などを聞き出すことの楽しさや興奮は、ジャーナリストだけのものではないはず。