2022年9月25日

非行少年たちを必要以上におとしめてはいないか

「ケーキを切り分けられない少年たち」ということばがキーワードとして流布されはじめたのは、いつの頃からだったろう。

今朝の新聞に『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社) という本の書籍広告があった。下図は、その広告内に掲載されていたものだ。

これを見る限り、非行少年らに与えられた問いは「ケーキを三等分せよ」で、次の図か添えられていたはずだ。

あなたはこの丸を見せられ、「ケーキを三等分せよ」と問われて質問者の意図に応えるかたちで正確に回答できるだろうか。

僕は無理かも知れない。なぜならば、上の図は質問者が勝手に「これはケーキなんだぜ」と思っているだけで、僕にはケーキには見えないからだ。(実際、ケーキじゃない、単なる線画のマルだ)

被験者である少年たちは、ケーキという言語情報と与えられた線画が認知的に結びつかず、おそらく何について回答したらいいのか戸惑っただけではないか。 

もし与えられた図が以下のものだったらどうだろう。


そして問いが「三等分せよ」ではなく、意味が容易に分かるように「このケーキを3人に平等に分けるように切り分けよ」なら回答は変わったのではないかな。

その際、少年の回答はこうなったはずだ。


相手をミスリードさせるような 質問をあたえ、彼らの回答についてセンセーショナルに大変だ、大変だと世間をあおり立てているように思える。

そもそも表だって反論してくる可能性がほとんどゼロの「非行少年たち」を対象にして、彼らを侮辱しおとしめて本を売ろうとしているようにしか思えてならない。

非行少年少女たちのなかにこれまで適切な教育を受ける機会を持たなかったり、家庭や社会から受けるべきケアを欠いていた人たちがいて、それが認知機能上の問題の理由だと言いたいのだろうが、限定的な調査結果と訴えたい主張を短絡的に結びつけすぎてはいないか。

単純な質問票調査をやって、それだけで何か分かった気になるのは危険だ。

2022年9月24日

またしてもシステム障害

システム障害が起こり、全国のセブンイレブンの店頭でコンサートやスポーツ観戦のチケット発券ができないトラブルがまる一日以上発生した。

そもそも、最終的に紙で印字されるチケットを、なぜ客がコンビニ経由で面倒臭い手続きを経て入手しなければならないのか理解できない。

誰のどういう意図なのか。コンビニの運営会社が集客を目的にプロモーターやイベント会社に金を支払ってそうさせているのだろうか。そして、発券手数料とかシステム利用料とかの名目でそれを客に支払わせている。

前にも書いたが、特定の日にちの特定のイベントの特定のシートは1つしかない。シート番号はめったなことでは変わらない。だったら、予約完了と共にチケットを予約者へ直接郵送すればよい。

デジタルでできるからといって、無駄に客の手間を増やし、さらに追加的なコストを負わすようなことをこれからも続けるのだろうか。

2022年9月23日

日本企業はそろそろ気づかなければ

いくつかの学会で部分的に発表してきた内容を今回論文にまとめた。論文の主旨は、企業などにおけるNPS(Net Promoter Score)からPSJ(Promoter Score Japan)への切替え、あるいは両者の同時利用のススメだ。

僕がこの何年かの研究で明らかできたことは、日本企業(自治体やNPOなども)は合理性を欠いたNPSをこれ以上盲目的を使い続けるべきではないということ。客のためにも自分たちのためにもなっていない。

たんなる前例に倣い、見かけの権威に依り、思考停止のまま自分らを見直さない行動を日本企業はいつまで続けるのだろうか。

2022年9月20日

デルマー

ものを読むときに欠かせないのが、赤色のダーマトグラフだ。これで見出しに丸を付けたり線を引きながら読むのが習慣になっている。

別にサインペンでも何でもよいのだけど、記事を読むのに夢中になっているとインクが乾いてしまう。

ダーマトグラフは Dermatographと綴る。その名前と綴りからして、ステッドラーのようにドイツかどこかの国の文具と思っていたけど、調べて見ると日本の三菱鉛筆の登録商標だった。

これを他の用途で使うことはまずないのだが、それでも日々使っていると短くなってくる。で、新しいものをと思い、文具も扱っている近くの書店2軒に在庫があるかどうか聞いてみた。結果、両店とも扱っておらず、どちらの店員さんも「ダーマトグラフ」が何か知らなかった。

だけど「色鉛筆みたいなヤツで、芯が太くて柔らかくて、先の方からクルクル剥いて芯を出して使っていくんだけど・・・」などと説明すると「ああ、あれですね」と分かってくれる。商品自体は昔からあるからね。

80年代、広告代理店で働いていたとき、デザイナーの人が写真(ネガ)を選ぶときに使っていて、デルマーって呼んでいたのを憶えている。それとラジオCMの録音スタジオでは、ミキサーの人がオープンリール・テープ(懐かしい!)の編集位置をテープ上に記録するのに使っていた。

デルマーは筆記用具の1つ(紙巻き鉛筆)であるにもかかわらず、細かい文字を書くにはまったく向いていない。けれど、ガラスや金属、プラスチック、布など何にでも書け、どの向きでも使え、インキのように先が乾いて使えなくなることはなく、鉛筆削りやナイフを使う必要もなく使い続けられるスグレ物だ。

大手の書店でも扱ってないところをみると今ではあまり需要はないのかもしれないが、世の中からなくなって欲しくないもののひとつである。

2022年9月11日

十六夜の月

今日は十六夜。

雲がかかっている月も、それはそれで風情を感じる。月の左上(11時の方向)には木星が写っている。見えるかな?

2022年9月10日

中秋の名月

今日は満月。雲もなくよく晴れた空に月が煌々と輝いている。きれいだ。カメラを持ち出して撮影してみた。250mmだと、これが精一杯。空にカメラを向けるたび、もっと長いレンズが欲しくなる。


2022年9月9日

多住居生活を考えてみよう

日本の人口は、2010年以降一貫して減少している。1世帯当たりの人数が減ることで増え続けていた世帯数も、国立社会保障・人口問題研究所の推計で2023年に5420万世帯を記録したのち減少に転じる。

一方、日本の住宅総数は増えてづけている。2023年には、国内の住宅総数は6550万戸になる。つまり2023年には、国内で1100万戸の住宅が余っている計算になる。日本国中、空き屋だらけだ。

英国で生活していたときに驚いたのは、なんとヴィクトリア朝の頃に立てられた建物がいまもたくさん残っており、内部だけ近代的な設備に入れかえて当たり前のように利用されていることだ。石造りの建物だからできることなんだろう。

一方、日本の多くの家屋は構造が全く違う。日本の気候風土に合わせてということもあるのだろうが、概して耐久性に劣る。田舎にある良くできた古民家などは別として、戦後にこの国に建てられた家はスクラップ&ビルドを前提にして安く、早く、見かけだけそれなりを目的に開発され立てられてきたからだ。

そのツケが回ってきている。空き屋は放置すれば、あっという間に建物は荒れて傷む。誰も住まなくなった家屋をどうするかという対応策は大きく3つ。居住者を見つけるか、改築して店舗や事務所などに転用するか、さもなければ解体して一旦更地にするか。

ただ、店舗など商業用に転用できる空き屋はごく1部だろう。また解体して更地にももどすには費用がかかるだけでなく、地目が変わり固定資産税が増す。二の足を踏む土地所有者が多い。

そして今後増え続ける空き屋をどうするかは、相続する所有者だけでなく、地域社会や自治体にとっても頭の痛い問題になっている。

まずは自治体が安く借り上げて、借りたい人に貸し出してはどうだろう。もちろん立地や環境にもよるが、セカンドハウスとして多住居生活をしてみたいと考えている日本人は増えているようだし、今後日本が移民を本格的に受け入れるようになれば、そうした人たちに使ってもらえる。移民政策の本格的導入は絶対に必要になるはずだ。

一旦建物の基礎がダメになった住居を修繕するのは大変だ。急いで官民で対応に動く必要がある。

2022年9月7日

国葬もスポンサー協賛でやったらいい

政府が昨日公表したところによると、安倍元首相の国葬費用が当初の予算額の6.6倍になった。

世論や野党からのやいのやいのという批判を受けて金額が今回公表されたわけだが、これとて多くの国民は信用していない。政府主催のこれまでの種々の儀礼にかけられた費用から推測すると、今回はさらに何倍にもなるはずだ。

僕は安倍元首相の国葬には反対だ。岸田首相がどうしてもというなら、われわれの税金以外でやって欲しい。

国葬開催費用をまかなうためのスポンサー企業でも募ればいい。ワールドワイド国葬パートナー、国葬ゴールドパートナー、国葬オフィシャルパートナー、国葬オフィシャルサポーターの4レベルできめ細かく選定すればいいんじゃないのかね(下図参照)。

出所:大会組織委員会公式サイト

協賛したスポンサー企業へ向ける国民(消費者)からの注目度は、今回の東京オリンピックの比ではないはず。

そのスポンサー獲得活動の総責任者は、電通の専務だった高橋治之元組織委員会理事(受託収賄罪容疑者)に任せたらどうだ。


↑ゴールドパートナー以上には、こんな感じの記者会見もありだ。

とにかく、円安の問題、コロナの問題、景気の減速、国民生活の逼迫、エネルギー確保など政治が取り組まなければならない問題が山積するなかで、こうした個人に係る儀式をやるやらないかの議論に必要以上の時間を費やすのやめてくれ。

2022年9月5日

下手なウソ

先日このブログで「紙で読むか、デジタルで読むか」と書いたが、今日届いた郵送物の中にある証券会社からの「郵送通知廃止等のご案内」という文書があった。

そこには「〇〇証券では環境保護や紙資源節約等の観点から・・・に係る通知の郵送廃止を実施致します」と書いてある。

そして今後は、必要ならその証券会社のサイトにログインして取引履歴画面で確認するようにとのお達しだ。 

環境保護? 紙資源節約? だったら今回のA4用紙2枚の文書はなぜ両面印刷にしないのだろう。そうするだけで紙の量は1/2で済む。

環境保護などただの建前で、実は費用を削減したいだけという本音が見える。