2022年9月20日

デルマー

ものを読むときに欠かせないのが、赤色のダーマトグラフだ。これで見出しに丸を付けたり線を引きながら読むのが習慣になっている。

別にサインペンでも何でもよいのだけど、記事を読むのに夢中になっているとインクが乾いてしまう。

ダーマトグラフは Dermatographと綴る。その名前と綴りからして、ステッドラーのようにドイツかどこかの国の文具と思っていたけど、調べて見ると日本の三菱鉛筆の登録商標だった。

これを他の用途で使うことはまずないのだが、それでも日々使っていると短くなってくる。で、新しいものをと思い、文具も扱っている近くの書店2軒に在庫があるかどうか聞いてみた。結果、両店とも扱っておらず、どちらの店員さんも「ダーマトグラフ」が何か知らなかった。

だけど「色鉛筆みたいなヤツで、芯が太くて柔らかくて、先の方からクルクル剥いて芯を出して使っていくんだけど・・・」などと説明すると「ああ、あれですね」と分かってくれる。商品自体は昔からあるからね。

80年代、広告代理店で働いていたとき、デザイナーの人が写真(ネガ)を選ぶときに使っていて、デルマーって呼んでいたのを憶えている。それとラジオCMの録音スタジオでは、ミキサーの人がオープンリール・テープ(懐かしい!)の編集位置をテープ上に記録するのに使っていた。

デルマーは筆記用具の1つ(紙巻き鉛筆)であるにもかかわらず、細かい文字を書くにはまったく向いていない。けれど、ガラスや金属、プラスチック、布など何にでも書け、どの向きでも使え、インキのように先が乾いて使えなくなることはなく、鉛筆削りやナイフを使う必要もなく使い続けられるスグレ物だ。

大手の書店でも扱ってないところをみると今ではあまり需要はないのかもしれないが、世の中からなくなって欲しくないもののひとつである。