2020年10月26日

気仙沼で秋刀魚を

秋の気仙沼にやって来た。一ノ関から気仙沼線に乗換えて気仙沼駅。そこから先はBRTと呼ばれる鉄道の代替交通機関として走っているバスで南気仙沼駅へ。もともと鉄道が架設されていたところが舗装され、バス路線に替わっている。 

南気仙沼駅前で待っていてくれたタクシーの運転手さんの案内で街を回る。まず街全体を見下ろせる場所へ行きたいという僕の希望で連れて行ってくれたのは、安波山という小高い山。

そこの駐車場から街を見下ろしたが、その場所は3・11の時に気仙沼に来ていたサンドウィッチマンが、地元の方に連れられて津波から避難してきた場所だったと聞いた。

街のなかは静かだ。夜は9時頃を過ぎると、あらかたはひっそりとしている。黄色い街路灯が冷たい光で地面を照らしている。

日中はいつも旅先でそうするように時間がある限り歩き回ったが、気になったのは子どもをまったく見なかったこと。もちろんいないわけじゃないだろうけど、なぜだろう。

安波山の展望台から市内を見下ろす

町の産業は、土木業だけが栄えている

昨年ほどではないが、ことしも秋刀魚の漁獲量は少ない

2020年10月21日

近藤等則の死を悼む

ジャズトランペッターの近藤等則が亡くなった。71歳。死亡理由は明らかにされていない。

80年代なかば、ジャズの歴史をモチーフにラジオコマーシャルのシリーズを制作していた時、アドバイザーをお願いしていたジャズ評論家の油井正一さんから「面白いから」と彼の音楽を薦められた。

既存の音楽集団に属することなく、独自の理論と音作りで世界を文字通りわたりながら活動していたミュージシャンだった。 

2020年10月11日

人は、本によってできている

部屋の片付け(つまり物を減らす作業)をしていたら、岩波書店が発行している古い『図書』がでてきた。1997年の臨時増刊号で、岩波新書創刊60周年記念と題字の上に描かれている。

特集タイトルは「私の薦めるこの一冊」。岩波書店が各界で活躍している人たちにアンケートを送り、回答を返してくれた429人の「岩波新書の一冊」についての思い出やコメントが紹介されている。

「岩波新書にこんな本があったんだ」という発見だけでなく、評者と本の意外な取り合わせが面白くて、トイレに置いてしばらく眺めていた。

劇作家の人が数学に関する本を「学生時代に読んで、忘れられない」と書いていたり、天文学者が禅の本を取り上げていたり。取り上げられている本にもまして、なぜこの人がこの本を、と創造するのがとても楽しい。

一方で、政治家が政治思想史の本を取り上げていたり、歴史学者が歴史の本をこの一冊と言っていてもなんだかね。

自分が回答するとしたら、どの一冊だろう。永六輔さんの『大往生』かな。

2020年10月7日

どこへ行くのか、民放放送

武漢型肺炎感染拡大以来、この半年は自宅で仕事をする機会が増えた。時を同じくして、テレビをつけている時間も以前に比べて伸びたのが分かる。きちんと見ている、聴いているわけではないが、なんとなく仕事のBGM的に流している。

主にチャンネルを合わしているのはCNNかBBC、そうでなければNHKの地上波かBSだ。

民放局(地上波もBSも)を見ることは、最近ではTBSの「報道特集」などごく一部の番組を除いてほとんどない。

民放を見ない理由は特にない。あえて言えば、見る理由がないから。どのニュース番組も主張がないし、ゴールデンタイムの番組もほとんど何のためにやっているのか意味が分からない。しかもやらたと1つの番組が長い。

今日の民放各局の夕方以降の番組は、NTVが夕方のニュース番組(バラエティ?)が2時間10分、その後の同じくバラエティが2時間、続いてドラマが2時間(まあこれは分かる)。

テレ朝は夕方のニュースが2時間5分、続くクイズ番組が3時間10分、ニュースが1時間20分。

TBSは夕方のニュースが3時間10分、続くバラエティが3時間。

テレ東は、夕方のニュースが2時間35分、その後のバラエティが2時間。

CXは夕方のニュースが3時間15分、続くバラエティが2時間、さらに2時間のバラエティが続く。

多彩な選択肢と時間の過ごし方が可能な現代で、どのくらいの人がひとつのチャンネルのまま3時間見続けると考えているのだろう。ただこうやって時間単価あたりの番組製作費を抑えているとしか思えない。

これまで僕は、いくらネットの時代になってもマスメディアのパワーと影響力は残ると主張してきたが、それにしてもこんなコンテンツじゃあ、民放局はどこも近いうちにどうなるかホントわかんないね。

だって番組編成を見る限り、どこももう半分死んでるも同様だからサ。

 

アップデイトという弊害

最近では、エクセルで関数を使って計算する機会は以前ほどなくなった。それでもたまにやんなきゃならないことがあって、スプレッドシートを開き作業する。

そうしたとき困るのは、アイコンやボタンの位置が以前使ってたときと感じが違っていること。ソフトの機能はさほど変わってないのに操作性だけが大きく変わっていて、昔の勘ではそのまま使えない。

さっさと計算を済ませたいのに、そのまえにエクセルの使い方に新たに慣れるという手間がかかるのは愉快ではない。

もういい加減、見た目を変更するだけのアップデイトは止めにして欲しいものである。

OSのバーションがどんどん変更になるのも考えもの。セキュリティ強化などが目的なのだろうが、それにしても手元でのアップデイトには手間がかかる。集中して作業しているとき、スクリーン上にOSアップデイトの案内などが出ると気が削がれるしね。

複数のパソコンを一緒に使ってると、各機のOSのバージョンの違いにより使えるソフトが異なる不便も発生する。

もうこの辺にしたら、と言いたくなるが、売らなきゃいけない方としてはそうもいかないのだろう。

下はコンサルタントをしている友人の「スタジオ」写真。企業研修などはここ(彼の自宅)からライブでやっているそう。MacBookが3台あるけど、うまく同期を取りながらやっているんだろうなあ。


2020年10月3日

DXは、80年代のSISに似ている

DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉を聞くと、1980年代後半から90年代によく耳にしたSIS(戦略的情報システム)という言葉を思い出す。

あの頃、日本ではNECが中心だったろうか、当時まだ業務用コンピュータの中心をしめていたメインフレームとそれを動かすアプリケーションを販売するために大規模な広告を通じてSISを世に知らしめた。
ある会社の社長が、部下に向かって「君、秋葉原に行ってSISを買ってきてくれ」と言ったとか言わなかったとか。
戦略的な情報システムがあるわけではない。情報システムを戦略的に活用するかという人間の思考があるだけだ。
最近巷でよく言われてるデジタル・トランスフォーメーションにも同じ匂いを感じる。デジタル・トランスフォーメーションという何か便利な仕組みや仕掛けがあり、それを組織に導入することで業務改革が実現できたり、競争力を高められるとでも言いたいような話が多い。
今まで手書きしてた社内メモをメールに替えるのもデジタル・トランスフォーメーションだ。情報をデジタルにし、使いやすくするというだけのこと。中身は変わらない。
デジタル情報を何のためにどのように使うかは、人間のアタマ次第。意味のないデジタル投資にいくら金を費やしても、それだけでは自社の競争力を高めることができないのは明らかである。
基本に立ち返り、自分たちのビジネスは何なのか、自分たちの顧客は誰なのか、顧客にどういった価値を競争相手より上手に提供できるのかを知り、そして目的と目標をはっきりした上で、初めて経営者はデジタル・トランスフォーメーションをどう使うか決めることができるはずだ。
新しい言葉に振り回され、周りに遅れまいとデジタル投資をしさえすれば自分たちの組織は戦略的に動き始め、自動的に利益をあげられるとひょっとしたら多くの日本の経営者たちは夢想してるのかもしれないが。

2020年10月2日

いきなり馬脚を現した新政権

いやあ、驚いた。日本学術会議が推薦した新会員候補を菅首相が拒否した。学術会議が推薦書を提出した105人のなかから6人の任命を拒否した。

官房長官の加藤勝信は、「首相の下の行政機関である学術会議において、政府側が責任を持って(人事を)行うのは当然」と言ってのけた。

前代未聞。同会議が設置された目的からすると、首相に任命権そのものや拒否権があるとは思えない。気に入らぬものは徹底的に排除する精神のあらわれ以外のなにものでもない。

時の政府から拒否された以下の方々は、実はわれわれにとってとても重要な研究者であることが分かったよね。きちんと覚えておきたい。

【任命されなかった6人】 (ハフポストから)

■芦名定道(京都大教授 ・キリスト教学)
「安全保障関連法に反対する学者の会」や、安保法制に反対する「自由と平和のための京大有志の会」の賛同者。

■宇野重規(東京大社会科学研究所教授・政治思想史)
憲法学者らで作る「立憲デモクラシーの会」の呼びかけ人。 2013年12月に成立した特定秘密保護法について「民主主義の基盤そのものを危うくしかねない」と批判していた。

■岡田正則(早稲田大大学院法務研究科教授・行政法)
「安全保障関連法案の廃止を求める早稲田大学有志の会」の呼び掛け人。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設問題を巡って2018年、政府対応に抗議する声明を発表。

■小沢隆一(東京慈恵会医科大教授・憲法学)
「安全保障関連法に反対する学者の会」の賛同者。安保関連法案について、2015年7月、衆院特別委員会の中央公聴会で、野党推薦の公述人として出席、廃案を求めた。

■加藤陽子(東京大大学院人文社会系研究科教授・日本近現代史)
「立憲デモクラシーの会」の呼び掛け人。改憲や特定秘密保護法などに反対。「内閣府公文書管理委員会」委員。現在は「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」の委員。

■松宮孝明(立命館大大学院法務研究科教授・刑事法)
犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」法案について、2017年6月、参院法務委員会の参考人質疑で「戦後最悪の治安立法となる」などと批判。京都新聞に対し「とんでもないところに手を出してきたなこの政権は」と思ったとインタビューに答えている。