クリスチャンと息子のトマが、北極圏に近い場所から越冬地までカリガネたちを率いて軽飛行機で「飛ぶ」。 実話ではスウェーデンからドイツの越冬地までだったのが、フランス映画だからか、この物語のなかではノルウェーからフランスまで鳥たちを誘導しながら飛ぶ話になっている。
童話の「ニルスのふしぎな旅」を連想させる。実際、鳥たちの中で一匹だけ種類の違うカモの名前は、その童話にも出てきたアッカという名前がつけられている。
とにかくよく調教された鳥たちとの飛行シーンが素晴らしい。調教されたというより、鳥たちが彼らを親と思って一緒に飛んでいるのだろうけど。野鳥と一緒に空を飛んでいる気分になれるだけでも、今のこの時期に見る価値はあった。
ところで本編とは関係ないが、映画の主人公のトマはフランスの中学生。グランド・ジャーニーは、その彼が過ごす5週間のバカンス中の出来事だ。5週間のバカンス!だぞ。
そして彼は、その5週間を母親が離婚した父親とその間一緒に過ごすために、母親とその今の恋人にネットもまともに入らないようなところに連れてこられた。
日本の単独親権の考え方のもとでは、子供のこうした過ごし方はまずあり得ない。
この国で少子化がいつまで経っても解決の方向に向かわない理由の1つだ。