2019年12月31日

ゴーンの国外逃亡

暮れのニュースで印象的だったのは、なんといってもカルロス・ゴーンの日本からの逃亡である。いつの間にか国外に脱出し、到着したレバノンで「私は今レバノンにいる」と言う声明を出した。まるで映画の一幕のような話。

どうやって脱出したのか、その詳しい足取りは今現在詳細はわかっていないが、日本の関西の空港からプライベートジェットで出発しトルコに向かったとか、その後トルコからベイルートに入ったという話が日本のメディアではなく、ウォールストリート・ジャーナルやフィガロからの伝聞の形で日本のテレビで紹介されていた。

元々日本での出来事のはずなのに、日本のメディアは一体どうしてしまったのだろうか。年末の休みで機能していないかのように思える。だとすると、ゴーンらはそれもしっかり計算に入れてのプランだったと思ってしまう。

それにしても彼のパスポート、それも3冊(!)を日本の弁護士が保管していながらなぜ出国できたのだろう。そして他国に入国ができたのか。謎は深まる。

外国メディアの報道によると、ゴーンはフランスのパスポートを持ってレバノンに入ったという。ということは、弁護士に預けた以外にフランスのパスポートを持っていたのか、あるいはフランスのパスポートを偽造したということが考えられる。

いずれにしても法的に認められることではないことから、そのことが確認されれば何らかの手段で日本に引き戻しされて裁判を継続するようになるのだろう。

今回のことで指弾される事として、日本の司法制度の問題と出入国管理が挙げられる。またそれにとどまらず、日本のシステムが広く時代遅れであり、前近代的で現代にマッチしていないことを示す1つの象徴的な例として、今回のことが全世界に示されてしまった。司法制度しかり、政治しかり、経済しかりだ。

ガラパゴス化しているのはかつての日本メーカーの携帯電話の話だけではなく、日本という国そのものだった。世界の趨勢から外れていることを全世界に向けて発信することになってしまった。不幸というか、幸いというか。