2015年8月1日

突如、立ち退きを迫られる

いまいる街に住んで15年目になる。

越してきた2000年頃、ここはまだ静かな垢抜けない町で、駅周辺は南武線の沿線らしく技術者風のグレーのシャツが目立つ土地柄だった。

それが何年か前から、日本のマンハッタンとも呼ばれるような高層ビル群の街に移り変わってきた。それらほとんどの高層ビルは、タワマン(タワーマンション)と称する高層住宅である。一気に賑やかになったが、人が増えたため朝夕の駅の混雑が急激に増した。

やがて人の増加につれて、駅を中心としたショッピングモールがいくつもでき、いつの間にやら田舎ぽかったこの町が、ちまたで「おしゃれ」といわれる町に変貌してきているようだ。

15年も住んでいると、いろいろな馴染みができる。人が急に増えてうるさくなってきたといっても住み慣れた我が町であることは変わりはない。

ところが今年の春先、住んでいる賃貸マンションの大家から突如立ち退きを迫られた。大家は、日本の海運業最大手企業の子会社である。

現在の建物を取り壊し、いまの2倍の高さのマンションに立て直して活用したいらしい。川崎市が再開発促進区と定めて容積率の規制緩和を行ったことが、今回の開発計画の背景にあるんだろう。

だけど突然立ち退けとか言われても困るわけで、長年住み慣れた場所を離れるつもりはなく相手の要求に首を縦に振らずにいたら大家であるその企業から手紙がきた。立ち退きを求める訴訟を起こす準備を進めるとの通知だ。

その手紙のなかで、彼らが立ち退きを迫る「正当事由」としてあげているのが以下の文中の7点。


ここに書いてある建物の競争力とか経済的合理性とかは、ぼくらには関係ない。これらが住人を追い出すための正当な理由だと真面目に考えているんだろうか。それと、最後に書いてある<あとはお前だけ、だから出て行け>と主張する妙な理屈。

この件は、友人や知り合いの多くが気にしてくれている。まあ、ほとんどの連中は興味半分でもって事の行方を気にかけているのだろうけど、いずれにせよ一人ひとりに報告していく代わりに、自分の頭の整理も含めていきさつを少しずつメモしていこうと思う。