2015年4月18日

ひとり出版社は、強くてしなやかだ。

きょうのゲストは、『あしたから出版社』(晶文社)の著者で、夏葉社という出版社を経営している島田潤一郎さん。6年ほど前に出版社を立ち上げ、いまも編集から書店対応、営業まですべて自分一人で担当されている。


彼の語り口は静か。そして朴訥とした語り口の中に、本への愛情がこもっている。


彼が出版社を立ち上げたきっかけの一つは、転職に失敗し続けたこと。50社に履歴書を送ってもすべて選考に落ち続けてしまった苦い経験。

もうひとつは、親しかった従兄弟を亡くし、悲しみを抱えていた時に出会った一編の詩。それを本にして、子どもの頃から親のように面倒を見てくれたおじさんとおばさんの心の痛みを少しで和らげることができたら、との想いからだとか。

年間8万点を超える新刊書が発行されている日本の出版事情のなかで、出版社を続けていくのは大変な事。だけど、彼の発想はたとえ初版3000部の本でも、10年かけて少しずつ売っていけばいいじゃないかというもの。

売れそうだから売るのではなく、自分が売りたい、人に読んでもらいたい本を作って売っていくという基本姿勢を守るのは大変そうだけど、これからも健闘を祈りたい。

今朝の一曲は、ボズ・スキャッグスで "We're All Alone" 。


2015年4月11日

旅行の醍醐味は、いかに気持ちよく、普段と違う金の使い方をするかだ

今朝の「木村達也 ビジネスの森」のゲストは、先週に引き続き『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』の著者、デービッド・アトキンソンさん。


彼は、ソロモンブラザーズやゴールドマンサックスなどで金融アナリストとして活躍された後、国宝や重要文化財の補修を手がけている小西美術工藝社の社長に転身したという方で、日本語は日本人以上に流暢だ。


日本への海外からの2014年の渡航者は、年間1300万人ほど。2013年が1000万人ほどだったので、ずいぶん急に増えた印象である。下のA)には世界各国・地域への外国人訪問者数のランキングが掲載されていて、それによれば日本は33番目らしい(2012年度)。

A) http://www.nippon.com/ja/features/h00046/
B) http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/visitor_trends/index.html

9番目にロシアが入っているのが、ちょっと意外だったりする。それに、オーストラリアが入っていないのはなぜだろう?

もとのデータは入出国管理上の数字だろうから、例えば隣国への出稼ぎ労働者が出たり入ったりするのも毎時カウントされているのかもしれない。それに国によって集計の取り方はそれぞれだろうから、こうした統計は、まあ参考程度にながめておいた方がよい。

つまりこれをもって、日本はどこそこに負けているからなんとかしなければとか(余計な予算をつけてヘンなキャンペーンを組んだりとか)、そうした表面的な考えに踊らされないようにすることが大切だと思う。

海外からの観光客は大切にしつつ、どうやって少しでもたくさん(そして気持ち良く)お金を使ってもらうかを戦略的に考え、仕掛けていかなくちゃいけない。

団体ツアーで東京へやって来た海外旅行者が、一泊数千円のビジネスホテルに泊まり、買い物はディスカウント・ストアとドラッグ・ストア、あと秋葉原の家電量販店、銀座に観光バスで乗り込んできたかと思うと、ウインドウショッピングだけして、昼食に牛丼屋に並ぶような現状は困りものである。

今朝の一曲は、エルトン・ジョンの "Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long, Long Time)"。1972年のアルバム Honky Chateau から。