日経新聞「私の履歴書」欄のコトラーの連載が終わった。彼はもともと数学や経済学、意思決定論を専攻した後にマーケティングの分野の研究者に移ったことは知っていたが、そのきっかけなどを興味深く読んだ。
ただ、いくら彼がマーケティング概念の拡張論者であるにしても、回を重ねるにつれて語られるマーケティングについての拡大解釈がエスカレートしてきたのは「?」である。
マーケティングを、世の中を豊かにし、環境問題など各種の社会的課題を解決してくれる「魔法の杖」のように語るのは違和感がある。「マーケティングが、世界の平和と繁栄を実現する役割を担う余地は十分ある」と言われても、具体的なアプローチが示されなければ残念ながら納得できるものではない。
コトラーは、まるで「マーケティング教」の教祖のようになってしまったかのようである。