2013年6月29日

鍵を捨てる

筆記具を収めた机の引き出しをゴソゴソやってたら、奥から一本の鍵が出てきた。

どこかの合い鍵だが、それが何のためのものか分からない。いつ作ったのか思い出そうとしても思い出せない。ひょっとしたら大事な鍵かもしれないという思いが頭をよぎる。取りあえずは思い出せないまま、それがあった場所にまたその鍵を戻すことが一番なのかもしれないが、ゴミ箱に捨てることにした。これまで何年も使わなかったってことは、なかったと同じ。「万が一」は、万が一でしか起こらないから。

映画にもなったジョナサン・サフラン・フォーの小説、Extremely Loud and Incredibly Close を思い出した。9/11で父親を失った少年が、父親の部屋から一本の鍵とメモを見つける。その鍵が何を開ける鍵か分からないまま、少年はニューヨーク中を 歩き回ることになるーー。映画ではトム・ハンクスもサンドラ・ブロックもよかったが、マックス・フォン・シドーが印象的だった。


残念ながら、鍵の先にある謎探しの「旅」が似合うのは、少年だけである。おじさんにはその時間も体力もない。