2025-07-20

家電量販店の店頭掲示

友人が、都内の家電量販店で目にしたという店内ポスターの写真を送ってくれた。各フロアのレジに掲げられているらしい。

(クリックで拡大)

「STOP!  カスタマーハラスメント」の下には、「みなさまに気持ちよく過ごしていただくために」と書いてある。それにしては、まるで子どもに行儀を教えるかのように客に作法を説く。


掲示されたメッセージの受け取り方は人それぞれだろうが、ぼくは一読して嫌だなと感じてしまった。

上記のようなことを言わなきゃならないってことは、自分たちの客がそうしたレベルであるってことを言っているようなもの。そして、客にこのような言い方をする店側もまた、そうしたレベルであることを表している。 

ポスターの下の方に国土交通省、経済産業省、消費者庁、厚生労働省、法務省、警察庁、農林水産省の7省庁の名前をずらりと並べている。お上の名前で来店客を威圧しようというわけだ。

この家電量販店チェーンは、それほど悪質顧客に悩まされ続けているのかネ。

彼らが「カスハラ」と呼ぶものが年間どのくらいの件数発生してるのか、その会社の本社に問い合わせてみたら、「回答は拒否します」と言われた。その理由を問うたら、「それも拒否します」と返ってきた。

店頭の店員たちに気を遣ってやることはもちろん重要。だが、顧客も大切だという基本をこの企業は忘れているんじゃないか。

2025-07-18

相手は疑う、自分たちは信用してもらうしかない、とは

しばらく前、家族用のケータイの機種変更をKDDIで行った。料金プランは変えてない。

その後に郵送されてきた文書で料金プランの継続は確認済みだったのだが、先日届いた通話料の請求内訳を見るとなぜか料金プランが変更になっていた。

問い合わせたところ、相手は詳細を確認をして後日連絡するということで電話を切った。

本日知らない番号から着信があり、たまたま出たらKDDIだという。相手が私の名前を確認した後、私に生年月日を言え、という。

目的を尋ねたら「本人確認のため」。相手が言うには、本人になりすました第三者の指示で料金プランなどが変更されないようにするためだとか。だが、これはどう考えても失礼だし、おかしい。

電話をかけてきたあなたたちは自分が本当にKDDIの人間であることを先に証明すべきだろう、と言ったら黙ってしまった。で、信用してもらうしかないと。

だったら電話してきておきながら、相手に生年月日など言わせるなよと腹が立った。 

相手は疑ってかかる、だが自分のことはただ信用しろ、というのが彼らの考え。顧客を馬鹿にしてないか。

電話をかけてきた女性はその辺のことは分かっているようす。だが、そうしろと言われてやっている。こうした手続きをつくり、現場に押し付けている管理側の人間に問題がある。

料金プランが勝手に変わった原因はまだ分からない。 

2025-07-16

アメリカには今、スーパーヒーローが必要なんだろう

今日のニューヨーク・タイムスが歴代のスーパーマン6人を取り上げ、それらを詳細に比較した記事を掲載していた。

なんで? という印象だが、アメリカ人は今、こうしたスーパー・ヒーローをどこかで求めているからかもしれない。

などと思ってしまうのは考えすぎかもしれないが、自分のことを「キング」だと勘違いしているアメリカ一の、いや世界一の権力者でならず者がいるからね。 

僕が個人的に好きなのは、何と言っても映画の第1作目から4作目まで(1978ー87年)スーパーマンを演じたクリストファー・リーブである(写真左上)。 なんというか端正でハンサム、優男(やさおとこ)で女性にもてそうだ。

力強さはもちろんだが、知性も表現できた。それは役作りによるスーパーマン(クラーク・ケント)のキャラクターというより、リーブがそうした人だったのだろうと思う。経歴を見ると、彼はコーネル大を卒業した後、ジュリアードでも学んでいる。 

後年、乗馬中に落馬して脊髄を損傷。以降、障がい者として車椅子の生活を続けながら映画監督などを行った。自ら車椅子の主人公を演じたりもした。リーブは、エミー賞やグラミー賞まで受賞している多彩な人だった。

NYTで「原型」と評されたクリストファー・リーブのスーパーマン

2025-07-13

観天望気

このブログのタイトルについて質問があった。 

あらためて辞書で確認したら、観天望気とは「雲や風や空の色などを目で観察して,経験的に天気を予想すること」とあった。まあ、ざっとそんな感じか。

辞書の定義を少しだけ修正すると、観察するのは必ずしも目だけとは限らない。風や湿度や気圧の変化は視覚でなく体で感じて、その変化からこれからどうなるか推理を働かせる。

そうやって知識と経験と体の感覚すべてを使って天気を読むのは簡単ではないが面白い。

観天望気の技術を身につけたのは学生時代。何日も山に入っていると、先の天気がどうなるか分からない。しかも山の天気はただでさえ変わりやすい。安全に登山を続けるためには翌日、翌々日の天気がどうなるか正確に予見することはとても重要になる。

だから夜10時になると、テントの中でポケットラジオから聞こえてくる気象通報をもとに天気図用紙に日本各地の気圧、風向、風力、気温を書き込み天気図を描き、翌日以降の天気を自分で予測する。

天気の流れを知るためには、高気圧と低気圧の位置を知ることが大切だ。また等圧線のかたちも重要な情報になる。

陽が沈む夕暮れ前にはテントの外で空を眺めて雲の高さや空の色、風の具合も確かめておくことを忘れない。そうやって目に映る雲の状態のほかに、体で感じる気温、湿度、風から天気を読む。

実際に観天望気で分かるのは、せいぜい明日は一日雨に降られずにすみそうだ、とか、午後からは一雨来そうだというレベルだが、それでも貴重な情報であることには変わりない。

今、手元のスマホにウェザーニュースのアプリが入っている。無料版ながらアプリの「レーダー」でこれからの天気の変化が時刻ごとにピンポイントで分かる。

とても便利だが、気をつけなければとも思う。こうしたお天気アプリに慣れてしまうと、自分で空を見て天気を読むチカラを失ってしまうような気がする。

それはクルマを運転するときに毎度ナビを使っているといつまで経っても道を覚えず、方向感覚や距離感覚が鈍っていくのと似ている。

万一、そうした高度な技術ツールが使えなくなったとき、生身の体一つでどれだけ状況に対応できるかが人間に欠かせない力だと信じている。 

だから、このブログのタイトルは観天望気。周りの表層的な言説に左右されず、自分の感覚を頼りに社会という天気の先を読む。 

2025-07-12

ジェノサイドで儲ける世界的企業

未だに止まないイスラエルによるパレスチナへの攻撃。そのなかには病院や学校、子どもまで標的にした明らかに国際法に違反した攻撃が多い。食料の配給場所に集まった住民に向けてのイスラエル兵士による発砲まで行われている。

国連のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者が、イスラエルによるパレスチナへの攻撃を可能にしている各種技術や情報の提供元を報告書で明らかにした。

2025年7月1日付の報告書「From economy of occupation to economy of genocide(占領の経済からジェノサイドの経済へ)」である。

そのなかで名指しされている主な企業の名前をあげる。多くは米国の企業だ。

🌑 軍需・防衛関連:
    Lockheed Martin
    Boeing
    General Dynamics
    Leonardo
    Oshkosh Corporation

🌑 重機・建設機器:
    Caterpillar

🌑 テクノロジー&クラウド:
    Microsoft
    Alphabet Inc.(Google)
    Amazon
    IBM
    Palantir Technologies
    HD Hyundai

🌑 航空宇宙・部品:
    Israel Aerospace Industries (IAI) 

🌑 金融・資産運用:
    Allianz(PIMCO)
    Barclays
    BlackRock
    BNP Paribas
    Pimco
    Vanguard

🌑 ロジスティクス:
    Maersk

🌑 コンサルティング:
    Boston Consulting Group

🌑 エネルギー:
    Chevron

🌑 航空・誘導兵器関連:
    Honeywell

米国の主要な軍需・防衛企業が登場するのは予想どおりだが、アマゾンやグーグル、マイクロソフトまでもかと・・・。ボストンなんたらというコンサル会社の名前も見える。報告書の中、日本企業ではファナックの名前が挙げられている。

https://www.theguardian.com/world/2025/jul/03/global-firms-profiting-israel-genocide-gaza-united-nations-rapporteur

https://www.reuters.com/business/aerospace-defense/lucrative-business-deals-help-sustain-israels-gaza-campaign-un-expert-says-2025-07-01/

https://www.bbc.com/news/articles/cx2039xpv87o

https://www.nytimes.com/2025/07/10/us/politics/gaza-francesca-albanese-sanctions.html?searchResultPosition=1

2025-07-11

あなたはどこまで「ファースト」か

今回の参院選で気になる動きの一つが「日本人ファースト」といった排外的な考えを前面に打ち出した党の台頭と、それを支援しようとする有権者たちである。

どの政党を支持するかは、それぞれの有権者の自由。ただ、「日本人ファースト」という考えを支持している人たちには、自分が「ファースト」として本当に処遇される側にいられると思っているのか問うてみたい。

「オレたち」と「アイツら」を二分することで人々の帰属意識をくすぐり、集団の傘の元へ引き寄せるやりかたは為政者による人心をつかむための常套手段である。

万が一、そうした考えに沿って日本にいる外国人を排斥したあと、何が起こるか考えた方がいいと思う。きっと次に起こるのは「エリート・ファースト」「富裕層ファースト」「既得権者ファースト」、つまるところは「権力者側の身内ファースト」だ。

「日本人ファースト」を政策とする政治家がやりたいことは、決して日本人すべて(1億2千万人の人口)をファーストな存在として取り扱うことでなく(そもそも不可能)、対立の構図をつくり人々を煽ることで自分たちに目を向けさせたいだけ。

外国人排斥に気持ちよさを感じるような人たちは、「日本人ファースト」で自分がファーストな扱いを受けられると思って歓迎しているのだろうが、次はそうした連中に向かってブーメランの先は向かっていく。 

2025-07-09

“調査によると「日経新聞」を信用していない若者が8割を超えた”

昨日の日経新聞のある記事に「都内では薬剤師の7割がカスハラにあったことがあるとの調査がある」という記述があった。

「調査」と書いてあるだけで具体的な調査名が示されていなかったので、それは何の調査なのか新聞社に問うてみた。

それに対して、同社カスタマーセンターから返信が届いた。

お尋ねの件ですが、読者の皆様にお伝えできるのは記事に書かれていることが全てでございます。お問い合わせされてきた方にだけ、記事に書かれていない詳しい内容や情報などを特別にお伝えすることは、できないことになっております。 

もし『週刊文春』が(別に文春でなくても他の週刊誌でも新聞でも構わないのだが)記事の中で「ある調査によると、日本経済新聞の記事の信憑性に疑問をもっている若いビジネスマンは8割を超えている」と書いたら、日経側はどう反応するか。

フツーに考えれば、彼らはその記事を掲載した雑誌社や新聞社に対して「その調査とは何なのか明らかにせよ」と求めるだろう。

それは至極当然のこと。というか、もしそのまま放置するようなら新聞社であることをやめた方がいい。であれば、なぜ先のような回答を読者に寄こして平気なのか。

「・・・との調査がある」という場合、それがどのようなサーベイなのか明らかにするのは報道機関としての基本的な責務である。それがなければ、「調査によれば・・・である」とした勝手な記事がいくらでも書けることになる。 

「お問い合わせされてきた方にだけ、記事に書かれていない詳しい内容や情報などを特別にお伝えすることは、できないことになっております」というなら、自社サイトに読者からの質問とそれへの回答を掲載すればいい。

記事に対しての無責任さ。そして、読者を見下したお粗末な新聞社の対応である。

2025-07-06

「なんでそうなるの」

今朝の日経新聞、その一面トップ記事に首を傾げた。

企業の経営計画を取り上げ、「数年単位の中期より10年以上の長期目線で経営に取り組む企業の方が、 利益の伸び率が大きいことが分かった」と書くのだがーー。

記事の書き手は、根拠として2024年にあずさ監査法人が行ったという調査をあげている。その調査結果では日本企業を将来の計画への時間軸の長さで区分けし、1年、3年、6年と答えた企業より10年以上としている企業の方が業績(過去5年間の営業利益の平均伸び率)が良かった(前者が18%、後者が52%)と述べている。示されているのは相関関係である。

だが記事は、10年あるいはそれ以上の長期的目標を設定する方が企業は高い業績をあげられると結論づける。目標を中期ではなく長期的に持つことによって、長期的な人材教育や投資が可能になるからだと説明しているが、理屈が通っていない。 

これって、因果関係の説明が逆転してるのではないか。データの範囲内で解釈を試みるなら、幸いにして過去5年間の業績(営業利益の伸び率)が好調だったからこそ、長期的な目標設定をすることが可能な経営状態にあるというのが実態ではないのか。

そしてそれほど儲かっていない企業は、まずは3カ年程度の収益目標をたて、それをどうきちんと実現させるかに注力せざるを得ないのが実状だろう。

そもそも、それこそ10年以上前から10年超の長期計画を目標にしてきた企業と、従来の中期を目標にしてきた双方の企業群の業績を10年間遡って比較してみなければ記事が言っていることは証明できないはず。だが、そうした検証は行っていない。

記事を書いた人物は、経営者には長期的な視点こそが重要であり、長期的に人材教育を施し長期的な視点で将来へ投資する企業こそが成功する、と言いたいようだ。彼(女)はファクトではなく、自分がそう思う(思いたい)ことを書いている。そして、最近では中期経営計画は廃止する企業が出始めているとしている。

しかしそれは、未来を確実に予見できればの話。今後10年先に市場がどうなっているか、顧客がどこにいるか、主要な競争相手がどこか、さらには世界経済はどうなっているかなど、そうした種々のことが明確に分かっていれば超長期目標でやればよい。

だが、常識的に考えればそれはムリ。もしできるのなら、どうやって予見するのか教えて欲しい。超能力でもあるのか、あるいはAIが教えてくれるとでもいうのか。 

書き手の思い込みと誤った推論をもとにした典型的な記事である。

2025-07-02

ルノワール

映画「ルノワール」の主人公は11歳の少女。時は1980年代後半。主な登場人物はその少女フキ(変わった名前だ)とその母と父。

父親(リリー・フランキー)は闘病中で入院している。医師から余命宣告は受けていないが、入院先の出す薬を自分で調べて自分がガンだと知っていて、死ぬ覚悟はもう気持ちのなかでほぼできている。母親(石田ひかり)は仕事と家事、それにフキの世話に追われて神経が尖っている。

そうした家族環境の中での少女のある夏が、いくつかのエピソードをパズルのように組み合わせながら展開していく。

ぼくには11歳の少女の気持ちを想像することや、彼女の周りに起こるだろう日々の出来事を思い浮かべることはたやすいことではないけど、それにしても映画の中で起こる事件のような出来事はまるでスペインのファンタジー映画を観ているような印象だった。

そんななか、一つだけ日本的というか土着感を感じたのは、入院している父親が病院を抜け出して自宅のアパートに帰り、寝室の扉を開けると、そこに女物の喪服が衣紋掛けに駆けられていたシーン。

ゾッとするとともに、これってあるかな〜? えっ? なに? あるんだ。

早川千絵監督の「PLAN 75」はテーマがストレートで、いかにも(良くも悪くも)新人監督のメジャーデビュー作といったものだったが、「ルノワール」は難しい。
https://tatsukimura.blogspot.com/2022/08/blog-post_17.html 

11歳だという少女の気持ちの変化や波打つ感情を、もう推測できなくなっているからかもしれない。 

2025-07-01

Amazonから Appleへ切り換え

音楽のストリーミングサービスをAmazon Music Unlimited(AMU)からApple Musicに代えた。

AMUはアレクサでも使えてまあまあだった。だが、iPhoneとiPadでは最後まで使えなかった。

海外に住んでいたとき、現地のアマゾンのアカウントをつくり書籍やアプリを購入していた。そのため今もアマゾンのアカウントが2つあり、それらが影響し合ってiPhoneやiPadでAMUが使えなくなっているというのがアマゾン側の説明。

それが本当かどうかは、残念ながら自分では調べようもない。ぼくの問題解決のためにアマゾンではエンジニアのチームが日夜解決方法を探っている、という返答を受け取ってから1年以上経つが、その後の連絡はなし。

残る解決法は、アカウントの一つを削除することらしい。だが、そうすればそのアカウント名で購入したアプリや書籍など一切が使えなくなってしまう。

ならばと、AMUを止めてApple Musicに切り替えることにした。

つい先日、ジェフ・ベゾスはヴェネツィアで結婚式を挙げたらしい。オーバーツーリズムを理由に多くの地元住民が反対の声を上げるなか、72億円の費用を投じて6月27日から3日続く結婚祝賀行事を行ったとか。

ユーザーが手元のデバイスから音楽を聴けないで不自由しているなんて些末なこと、彼にはまったく関心はない。

われわれにできることは、まずは顧客であることを止めることなのである。