2020年9月10日

日本企業は、ここでもまた失敗する

「日本企業が「ジョブ型」の雇用制度の導入に動き出した」で始まる新聞記事を目にした。
「ジョブ型」には括弧が付けられている。強調のしるしだ。こうやってメディアは自分たちの新たなネタを作っていく。
ここでいうジョブ型雇用は、考え方として目新しいものでも何でもない。旧来の日本型の雇用形態とされてきた新卒の一括採用、終身雇用、年功序列とは異なる企業と個人との関係のことだ。ほとんどの外資系企業は、何十年前からそれが当たり前だ。
記事の中にこんな一節があった。
全社員のジョブ型雇用への移行を目指す富士通。総務部門はジョブディスクリプション(職務記述書)と呼ばれる文書の作成に追われている。
これを読んで、残念だが富士通は彼らの考えてるジョブ型への移行は間違いなく失敗するだろうと思った。
それはなぜか? 理由は簡単だ。まず、総務部門がやる仕事ではないのだよ。次に、全社員のジョブディスクリプションをいきなり整える必要性がどこにあるのか?
それぞれのポジションにおける必要な職務内容は、その上司であるマネージャーやディレクターしか分からない。例えば、同じ企業のマーケティング・マネジャーでも、担当する事業(ビジネスユニット)によって求められるジョブ・ディスクリプションは個々に違う。
そうしたことを総務部門が事務的に作文したからといって、ほとんど意味をなさない。
また全社員のジョブ・ディスクリプションを一気に整えようと考えるのも間違っている。採用や評価の方法を変えず、一括で新入社員として採用した人たちの各配属セクションにおけるジョブ・ディスクリプションを作ったからといって何になるのだ。
ピントがずれている。