これまでの在任中に好き勝手放題、し放題で私腹を肥やし、社会と社内を欺き通してきた日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)が解任された。ゴーンがついに行っちゃったわけだ。
経営学者やビジネススクールはゴーンが好きだ。苦境に陥っていた世界的な自動車会社・日産を立て直した経営者として名が知られているからという理由。コストカッターと呼ばれてもひるまず、工場を畳み、社員を解雇し、取引先を大胆に整理していった。
企業における優れた改革の実例としてこれまでも頻繁に語られ、多くのビジネスケースにもなっている。企業人を対象にしたセミナーでも、彼がスピーカーとして登壇するとなると集客効果も絶大だ。
それまでの日産の日本人経営者たちには頭では必要性が分かっていてもできなかったことを彼がやった功績は大きい。非日本人のゴーンだったからこそ、日産という企業に情緒的な繋がりを感じることなく、目的合理性だけで意思決定ができた。また彼は、仏ルノーから送り込まれていた立て直し屋だから、日産内でどう思われようが関係なく、ルノー内で「よくやっている」との評価が得られればよいとの割り切りもあったはず。
ハロー効果というのがある。ハローというのは後光の意味であり、その光に目がくらみ実態を見失わせてしまうことを表す。彼はどこどこ大学を出ているから、、、彼女のお父さんは誰々さんだから、、、あの人はどこそこの企業の部長さんをやっていたから、、、だから立派なひとに違いない、と勝手にある特定の状況や視点から全体を光り輝くものと勘違いし、本質を見間違えてしまう。
早稲田大学は2005年、彼に対して「日本企業の経営者に勇気を与え、日本経済の復活に大きな貢献をした」として名誉博士号を授与した。これまでに名誉博士号を授与したのは、アジア初のノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センら142人。そのなかで逮捕者がでたのは、今回が初めてだ。大学は今後、学位を剥奪するのだろうか。