2017年1月29日

人口減と地方について、また考えてみた

今日の「木村達也 ビジネスの森」(FM NACK5)のゲストは、『人口減が地方を強くする』(日経プレミアムシリーズ)の著者で、日本総研上席主任研究員の藤波匠さん。


日本創成会議の推定では、896の市町村が消滅するとされている。しかし、それらはいきなりその数の市町村で人口が完全に消えてしまうと云うことではない。実際は、地方自治体が従来の行政サービスを提供できなくても、そうした場所に住み続ける人は残り続けるだろう。それが人のいとなみだ。

多住居生活という暮らしの仕方が、これから進んでいくかもしれない。全体では国の人口は減少するが、ゆとりのできた空間をみんなでもっと活用する手はあるはずである。余暇を過ごすなり、期間限定で仕事をするなり、ボランティアという方法もあるだろう。そうすることで、人口減少地の活力を保つことができるかもしれない。

ただし、国の移住促進策にはわれわれは注意する必要がある。地方の村落の延命措置のために、国が一時的な経済支援を人参としてぶらさげ、都会から若い夫婦などを移住させるのは長期的には誰のためにもならない。

引っ越し費用を持ちますとか、最初の何年間は家賃を大幅に割り引きます、そんな目先の話でやってきた人たちは、いずれそうした「お得さ」が薄れた時には別の場所へ移ってしまう。生きていく場所として、どのような生計の手段をその場にみんなで作っていけるか、そこがポイントだろうと思う。


今日の一曲は、RCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」。



2017年1月16日

不合理なチケット料金

新聞に掲載されていたスティングの来日公演の先行予約受付広告。


ロック系のコンサートはずいぶん行ってない・・・。何年か前にブルックリンのバークレイ・センターで観たボブ・ディランのコンサートが最後かもしれない。どうも日本のコンサート会場でやられる「総立ち」が駄目なせいだ。

でもスティングということで、行ってみようかとも考えてるんだけど、料金がS席13,000円とA席12,000円しかない不思議さ。14,000席以上の日本武道館で、この2つしかシートを用意しないのおかしいと興行主は考えないのか。まあ、客のことなんかほとんど考えてないんだろう。昔から何も変わってない。

だいたいSというのは、Special(特別)ってことだから、2種類しかシートを用意しないのだったら、A席とB席でいいはず。

2017年1月14日

自由に生きて死ぬ

水木しげるさんは、人生の達人だった。自らを「水木さん」と呼ぶその独自のアイデンティティの持ち方と、肩肘張らない飄々としたもの言いに多くの人が影響を受けてきた。僕もその1人だ。

彼をインタビューした本『水木さんの「毎日を生きる」』のなか、東日本大震災の被災地で自殺者が増えているという話題になった。特に原発事故のあった福島県で自殺者が多く、深刻度をましている。

それに対する水木さん(彼は自分のことを水木さんと呼ぶ)の答えは、シンプルだ。
水木さんは、どんなときでも生きたかったから。自殺する人は、それが幸せだと思って死ぬんです。止める必要は無いんじゃないですか。
水木さんは、ニューギニアのラバウルに出征し、爆撃で左手を失う。戦場では、毎日毎日上官から不合理な理由でぶん殴られていた。最後、小隊の他の全員が亡くなった状況の中で、1人生き残って帰国した。そうした壮絶な体験は、実際に経験したことのないものには真のところは分からない。

そうした経験からの自殺に対する感想である。言われてみれば、その通りである。

2017年1月1日

「日本一のスナバはある」。小さきものの戦い方。

今日の「木村達也 ビジネスの森」(NACK5、朝9時20分から)は、先週に引き続き『小さくても勝てる』(中央公論新社)を出された鳥取県知事の平井伸治さんをお迎えしました。


鳥取県は、人口が57万人。47都道府県で人口が一番小さな県である。隣の島根県と「どっちがどっちだっけ」と間違われることが多いらしい、ちょっと可哀相な場所。しかも山陰地方という名前から、日の当たらない暗いイメージを持たれてしまっているとも。実際は、山陽地方、山陰地方というのは陰陽道の陰と陽から名づけられたもので、ただAとBといった違いらしい。

しかしその言葉のイメージから、太陽光発電の企業を呼び込むときに苦労したという。たかがイメージだが、されどイメージである。これだけは、時間をかけて戦略的に変えて行くしかない。

そうした「小さな」県から情報発信するために平井知事はかけずり回り、トップセールスマンとして僕らの番組にも気軽に出演してくださるのが気持ちいい。 

57万人という県民人口のサイズは、東京や大阪、神奈川などとは比べようもないが、僕が昨年の夏に訪ねたアイスランドは人口が33万人という「国」だった。それでも他にない自然資源や島国という立地を最大限に活かし、世界中から観光客を呼び込んでいる。

平井知事は、かつてお隣の島根県にスターバックスができ、スターバックスがない県は日本で鳥取県だけになった時にその事への感想を聞かれたテレビのインタビューで「(鳥取県には)スタバはないが、日本一のスナバはあります。鳥取砂丘です」と答えて有名になった。「○○はないが、○○はある」というフォーカスの利いた発想で、小ささを逆手にとった打ち出し方をこれからも見せてほしいものである。


先週、今週の選曲は、ポール・マッカートニー&ウイングスの「Band on the Run」とスターシップの「Nothing's Gonna Stop Us Now」。