落語家の立川志の輔が「志の輔らくご in PARCO」を始めて20年になるという。毎年1月から約1ヵ月間にわたる「ロングラン」である。場所が場所なら、そのやり方も落語というより「芝居」である。
僕は1、2回しか観たことないから偉そうなことは言えないが、まさに芝居を観ているような気軽な感覚で楽しめることができ、サービス精神満点で笑わせてくれる舞台だ。
志の輔ら立川流は、1983年に落語協会を脱退してから、原則として寄席定席(東京には新宿末広亭など4つある)には出ない。そこで彼が目を付けたのが、芝居小屋であるパルコ劇場だとか。
ところがだ。1974年、当時大学生だった志の輔が、東京で初めて観た芝居が当時の西武劇場、現在のパルコ劇場でのものだった。その時、彼は「自分はいつかこの舞台に何かの形で立つなって思った」という。
これなんだよなと、膝を打った。彼のその時の思い、そこには何の根拠もない。けれど本人にはそのことが確固とした未来として脳裏に写ったに違いない。
そうした「思い」は気持ちの奥底に深く深く沈み込み、普段は本人も気付くことないけど、そのための「計画」は静かに進行しているものなのだ。こうした予言めいたものが実現するかどうかは、志の輔が初めてパルコ劇場(西武劇場)に行った際に思った「感じ」をどれだけ持てるかどうかである。