2013年3月9日

無効請求は棄却されたが

一人一票、これは民主主義の基本のはずである。それが、一票の重みが住んでいる地域によって違っている。その差は、2.43倍まで拡がっている。

その是正を目的に前回の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決で、東京高裁は「最高裁が違憲状態とした選挙区割りを是正しないまま選挙が行われたことは看過できない」として、「違憲」の判決を言い渡したが、「今後、国会による格差是正が期待できる」として、選挙無効の請求は棄却した。

「期待できる」というのは可能性であるが、それを持って違憲の判決をしながら無効の請求を棄却したのは、日和っちゃってるとしか言いようがない。

選挙のやり直しは手間がかかるし多少の混乱も伴う。だからといって「今回はこのままやり過ごそう」という発想がベースにあったとしたら、正義を容易に犠牲にした事なかれ主義として批判されるべきものだ。

判決内容に沿ったかたちで選挙の無効を言い渡すか、「期待できる」なんてつかみ所のない話で済まそうとするのではなく、具体的な是正案が設定された期限内に提出されることを条件として付けるべきだったろう。そして、その内容が十分なものと判断されなかった場合、またはその通り実行に移されなかった場合は、遡って無効とする必要性があるのではないか。