2014年12月15日

ソニーのハッキングとイエロー・ジャーナリズム

日曜日のNew York Times に今の米国を代表する(と僕は思っている)劇作家でシナリオ・ライターのアーロン・ソーキンが The Sony Hack and the Yellow Press というコラムを載せていた。

3週間ほど前に米国のソニー・ピクチャー・エンターテイメント社がGuardians of Peace(平和の守護者たち)と自らを呼ぶ違法集団から大規模なハッキング攻撃にあった。

その結果、SPE社は何万点にも及ぶ社内資料や電子メールの内容を奪われた。

その「平和の守護者たち」とやらは、SPEが公開を準備している、セス・ローガンとジェームズ・フランコが主演する新作映画「インタビュー」の公開中止を求めている。この映画は、北朝鮮の金正恩へのインタビューに行った2人がCIAから金の暗殺を依頼されるという内容のコメディである。

SPE社の全社員に “Not only you but your family will be in danger” とのメッセージが届いた。実際、社員たちの社会保障番号(ソーシャル・セキュリティー・ナンバー)、自宅住所、コンピュータで使用しているパスワード、銀行口座の詳細、人事評価、電話番号、さらには従業員とその子どもたちの医療記録が盗まれネットに公開された。

アーロンは、公開された情報の中にはソニーが何か法に反することを行っていたというようなものは含まれていない、と主張する。
Do the emails contain any information about Sony breaking the law? No. Misleading the public? No. Acting in direct harm to customers, the way the tobacco companies or Enron did? No. Is there even one sentence in one private email that was stolen that even hints at wrongdoing of any kind? Anything that can help, inform or protect anyone?
彼は政治家でもジャーナリストでもない。ハリウッドで生計を立てているひとりである。だから彼は、そのコラムで盗まれ漏らされてしまったソニーの社内文書やその社員のメールに含まれる情報をメディアが「ニュース」として取り上げないように、ユーモアを込めながら釘を刺している。メディアが盗まれた情報を面白がって取り上げることこそが、小汚いハッカーたちの狙いなのだから。

それにしてもこの「インタビュー」という作品。早く観てみたいものである。今回の事件をきっかけにそう思った人が世界中にたくさんいることだろう。(製作会社による予告編最終版)


(追記)
12月18日に予定されていたNYでのプレミア上映はキャンセルされたらしい。
http://jp.reuters.com/article/entertainmentNews/idJPKBN0JV0IR20141217
(12/18記)