2018年12月15日

日本は本当に出遅れたのか

ある新聞社がキャッシュレス決済について調査したところによると、日本人の8割がQR決済について知らなかったらしい。で、記事の見出しは「日本の出遅れ鮮明に」とある。
これは中国やインドなどと比較しての評価だ。中国では10億人がQR決済を利用し、すでに都市部の実店舗決済全体の7割近くをQR決済が占め、現金による支払いをはるかに圧倒してる。中国でアリババやテンセントのスマホ決済が市場を独占している様子がうかがえる。
この背景には、中国の現金決済のこれまでの環境がある。日本のように、すぐ近くに銀行や郵便局、さらにはコンビニのATMがあっていつでも現金を引き出すことができるわけではない。

また、現金で買い物した時におつりがよく間違っていたり、またごまかされたりするという。偽札が頻繁に出回っているため、おつりをもらった時には高額紙幣の場合それを光に透かして本物かどうか確認したりする必要もあるらしい。さらには、日本と比べて古い紙幣が中央銀行によって交換されないまま流通しているために、異常に汚れ、ヨレヨレで触るのも憚れるようなものが一般的にまだ用いられているという状況だ。
そうした中で電子的に処理で済ませられるスマホ決済は、きわめて安全で安心、そして清潔な決済手段だ。利用者にとって利便性は高く、また流通業者や決済機関にとっても大きなメリットがある。
そうしたものがスマホとネットワークの普及、そして情報処理スピードとコストの改善によって実現され急速に普及してきたというわけだ。
インドにおいてもスマホでの決済を使う人は3億人に上るという。その普及の理由は、中国とさほど変わるところはないだろう。つまり、どちらにしても日本とは基本的に貨幣を巡る社会環境が全く異なっていることが指摘される。
にもかかわらず、日本が中国やインドの後塵を拝してるとか、出遅れてるという判断はどうなんだろう。有り体に言ってしまえば、日本人の多くは必要がないから使わない、ただそれだけなのである。遅れいているとか、進んでいるというものじゃない。