知り合いから先日お菓子をいただいた。箱には「宮内庁御用達」
とある。よく聞く文句であるが、
その定義は調べてみるまで知らなかった。
宮内庁御用達制度の前身は、
1891年に宮内省が産業振興のために設けた宮内省用達称標出願
人取扱順序にもとづき許可した宮内省御用達であり、社会的な信用が条件とされた。その後、
1935年に広告での不正などがあれば出入り禁止、
許可期間は5年という改正がなされ、1949年の許可を最後に、
ということは1954年に制度は消滅したのである。
1935年から54年の間に許可された御用達は83社。現在、
自分で御用達を名乗るのは、
旧制度時代に許可を受けたことがあるか、
あるいは今も納入業者となっているところだが、
自分たちから品を献上したり、
数回収めただけでそう名乗っている店もあるという。現在では、
宮内庁は御用達を公式には認めていない。
よく知られたところでは、醤油のキッコーマン、
カステラの文明堂、お酢のマルカン酢、
味付け海苔の山本山などがある。
御用達は法的な根拠のないまったくの俗称である。
自ら御用達を名乗るかどうかは、その経営者の姿勢次第。
またそれを有り難がるかどうかも個人の価値観次第だろうが、
日本人的メンタリティの一面を見る気がする。